第43話 国際連合ぽいものの設立
WBCを見るためにネットフリックス入らないかんのか。
じゃぁ入ろう。
世界中に支店を持つ物流の巨人、ギルガメッシュ・ライト。
そのグローバルな輸送ルートに沿って、俺たちは光ケーブルを張り巡らせた。
権利関係がクリアになっている道を使うので、工事は爆速だ。
当初は各国から反発もあった。
「これは資本主義の罠だ!」とか「悪魔の囁き(光る線)だ!」とか。
だが、全て繋がってサービスを開始した瞬間、文句はピタリと止んだ。
便利すぎるからだ。
ちなみに、ネット接続用に配布したのは、
第2世代の新型PC**【XX68000(ダブルエックス・ロクハチ)】**。
これを各国の首脳や重要機関に、太っ腹に30台ずつ無償支給した。
わずかな予算(と龍のウロコ)でこれだけのインフラを提供しているのだから、
もっと感謝されてもいいはずだ。
◇
そして、運命のテスト接続日。
チーギュウ時間の正午。
世界中のモニターが一斉に点灯した。
北の魔法大国、南の資源国、東の商業国家、そして魔族の国。
強力な南北縦断鉄道(ヤマダカツテナイ線)が走り、情報のハブとなったググレカス王国が、
名実ともに「世界の中心」になった瞬間だ。
まさに、ググレカスで愛を叫ぶ。
モニターには、各国の首脳の顔が分割画面で映し出されている。
俺が開発した【自動翻訳システム】により、彼らの発言はリアルタイムで翻訳され、
画面下部に字幕として表示される。
『……あー、テステス。聞こえてますかー?』
司会進行を務めるのは、サングラスにマスク姿の怪しい男――「山田」だ。
正体はもちろん俺だが、次期龍王がITサポートをするわけにはいかないので変装している。
『……うむ、聞こえておるぞ』
『こちらの画質もクリアだ』
各国の王たちから感嘆の声が上がる。
違和感はあるが、顔を見ながら話せる便利さは圧倒的だ。
定期的にこの「ウェブサミット」を開催し、きな臭い火種を会話で解消していくことになった。
まあ、それでもダメな奴は直接(物理で)叩くけどね。
これが、後に「国際連合」っぽい組織の走りとなった。
◇
インフラが整うと、経済も変わる。
金持ちの貴族や商人が、こぞってPCを導入し始めた。
そこで立ち上げたのが、ECサイト**【ギルライ・イチバ】**だ。
ここでは高額商品や希少な魔道具が取引されるが、配送はギルガメッシュ・ライトが独占しない。
「ラストワンマイル(最後の配達)」は、各地の従来の商店や行商人に委託するシステムにした。
これにより、地元の業者も「取引が増えた」と喜び、俺たちの懐には手数料がチャリンチャリンと
入ってくる。
独り勝ちは恨まれる。
利益を分配しつつ、保守点検で稼ぐのが賢いやり方だ。
◇
一方、動画配信サービス【ギルライ・フリックス】では、スポーツ番組が盛況だ。
特に人気なのが、サッカーによく似た球技「蹴球」だ。
昔から国際大会が行われており、賭けの対象にもなっているため、オッサンたちの熱気が凄い。
そこへ来年、俺の肝煎りで「第1回 国別対抗・野球国際大会(WBC的なもの)」が始まる。
ルールも知らない国ばかりで無茶な企画だが、始まってしまえばどうにかなるだろう。
野球はドラマが生まれやすい。
ちなみに、俺は最近、深夜に一人で起きていることが多い。
リビングの大型テレビで、南大陸から中継される「女子ビーチバレー」を食い入るように見ている。
「……うん、いいアタックだ」
多分、俺は純粋にビーチバレーというスポーツが好きなのだろう。
決して、妻であるファミマとクレメンスの二人が、身ごもってから
「大事な時期だからダメ」と構ってくれないからではない。
断じて、20歳の健康な肉体が持て余しているからではない。
……南の海は、眩しいなぁ。
カワイ!
ナカガイチー!
モトコー!




