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この結婚は王命ですから。初夜で拒絶された花嫁です、それでは自由にやらせていただきます!  作者: 夏目みや
第四章 ネザークロウの洞窟

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 耳を傾けるイザークに言葉を続けた。


「結晶を一つ、ここに持ってきてくださいませんか?」

「わかった」


 イザークはすぐさまうなずいた。


「それより、寒くないのか?」


 イザークは椅子にかけていたガウンを私の肩にそっとかける。暖炉の火が小さくないかと確認し、かいがいしく世話を焼く。


「まあ、大丈夫ですから」


 クスクスと笑ってしまう。


「だが、一つ聞きたいんだ」


 急にイザークが真剣な顔つきになる。


「魔力を使うと体に負担をかけてしまわないのだろうか? 例えば、魔力を使った対価で、寿命が縮まるなど――」

「それはありません」


 ゆっくりと首を横に振った。


「自分の限界はわかります。今回はそう容易くはない件でしたので、一か八かでしたが。一度で終わってよかったです」


 なぜかイザークは眉間に皺を寄せた。


「では、ネザークロウの洞窟に向かったのは、最初からそれが目的だったのか?」


 探るような眼差しを向けるイザークに、視線をそらす。


「……勘弁してくれ」


 顔を伏せ、深いため息をつくイザークに慌てる。


「でも、結果的に良かったじゃないですか」


 イザークは弾かれたように顔を上げた。


「だが、無茶はしないでくれ。魔力が強かろうと、力で向かってくる魔物には、太刀打ちできない場合もあるだろう。くれぐれも危ない場所には近づこうなどと思わないでくれ」


 目を合わせて力説され、静かにうなずいた。


「でも……ありがとうございました。私の無理なお願いに付き合ってくれて」

「ああ、まったくだな」

「えっ?」


 あっさり認める発言をしたものだから、思わず噴き出しそうになる。


 そこは、そんなことはない、って言うところでしょう!


 二人で顔を見合わせて笑い、温かい空気になる。


「イザーク……」


 名を呼ぶと、彼は喉をごくりと鳴らした。


「もう少し、落ち着いたら話があるの」


 イザークは静かにうなずいた。


「……ああ。俺も伝えたいことがあるんだ」


 イザークはフイッと視線を逸らすと、どこか躊躇した素振りを見せる。だが、唇を噛みしめグッと顔を上げると、そっと手を伸ばし、私の頬に触れる。


「本当に、もう大丈夫なのか?」

「――ええ」


 心配しているらしく、その気遣いに胸が温かくなる。


「一応、セレナの診察を受けてくれ。彼女には疲労から寝込んでいると伝えている」


 大げさだと思ったが、それでイザークが安心するなら、診察を受けよう。

 まさか魔力の使いすぎで倒れましたなんて、言えやしない。イザークの心遣いに感謝する。


 ***


「こんにちはー! シャルロット様!」


 午後になり、陽気なテンションでセレナがやってきた。


「すっかり顔色が良くなりましたね! 寝込んでいた時もイザーク様に言われて、様子をうかがいにきましたが、その時よりもグッと明るくなりました」


 セレナは聴診器を取り出し、一通りの診察をする。


「本当、イザーク様がすごく心配していましたよ」


 セレナは思い出したのか、クスリと笑いながらもテキパキと診察を進める。


「脈も正常ですし、特に問題ございませんわ」

「ありがとう」

「ふふっ。あのイザーク様を振り回すとは、なかなかやりますね」


 なにが面白いのかセレナは、始終楽しそうだった。

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