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この結婚は王命ですから。初夜で拒絶された花嫁です、それでは自由にやらせていただきます!  作者: 夏目みや
第二章 北部の発展を目指して

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19

「わ、私たちはただ、ミーシャに従っただけです」

「そ、そうです、彼女がわざと冷めた食事を出しましょう、って……」


 メイドたちの発言を聞き、


「そうなの?」


 私の表情がパッと明るくなる。彼女たちはコクコクとうなずいた。


「なら、良かったわ。北部の食事はこれが普通なのかと思ってしまったじゃない。そこまで食料はひっ迫していない、ということかしら?」


 少なくとも朝食にこげたパン一つじゃないことに安堵する。


「はい、いつもはスクランブルエッグやベーコンなど添えられています」


 嬉々として語るメイドだが、私に対して意地の悪いことをしたと、堂々と認めているような発言だ。


「それは良かったわ。北部はこの食事が普通なほど、貧しいのかと心配したわ」


 ともあれホッとした。


「だから、皆の栄養が足りなくて痩せているのかと思ったの」


 私はメイドたちの胸を見回した。背が高くスラッとしているが、圧倒的に肉が足りない。


「でも良かった、その胸は自然なことなのね。ちっとも肉がついていないから心配してしまったわ」


 メイドたちは皆、遠い目をしていた。やがて黙って力なく、うなずいた。


「シャルロット様、無邪気なボディブローはそこまでにしてください」


 それまで黙って控えていたドリーが口元を手で押さえ、笑っていた。


 私とドリーの間を和やかな空気が流れたので微笑んだ。

 だが、次の瞬間、ドリーは厳しい声を出す。


「お前たち、なにをしている。突っ立っていないで、シャルロット様に朝食をお出ししろ」


 厳しい声色を聞いた三人はすぐさまダイニングの奥に引っ込んだ。


「ふぅ。やっと朝食にありつけそうね」


 椅子に座り、一息ついた。


「ええ。それでは朝食後、すぐさま封書をインペリア国王へお出ししましょう」

「え、出さないわよ?」


 私が言ったことで、ドリーは不服そうな顔を見せる。


「この結婚に反対しているのは、ミーシャ一人ではないはずよ」


 いったい、南部出身の私をどれだけの人が良く思っていないのだろうか。

 結婚相手であるイザーク本人が一番、納得していなさそうだし。


「それに国王への封書は、もっと効果的な時に出させていただくわ」


 ドリーの目を見つめ、にっこりと微笑んだ。ドリーはやれやれといった様子で大きく肩を下げた。


 その後、食事が運ばれてきた。


 熱々のスープにスクランブルエッグに分厚いベーコン。そして柔らかそうなクロワッサン。


「さあ、いただきましょう」


 私はにっこりと微笑み、食事に手をつけた。


 そして朝食後、早速街へ行く準備をした。善は急げといいますし。早い方がいい。

 準備をしていると扉がノックされた。返事をすると顔を出したのはロゼールだった。


「おはようございます」

「あら、ロゼール」


 彼もイザークと一緒に魔物討伐に行ったと思っていたので、訪ねてきたのは正直意外に思った。


「今日も街に行くとお聞きしました」

「ええ、準備をしていたところ。でも、どうしたの? あなたも討伐に行ったとばかり思っていた」

「はい、自分もそう思っていたのですが、イザーク様からシャルロット様と街へ行くように言われましたので、今回は居残りです」


 つまり、イザークは私のためにロゼールを残してくれたのだ。


「ありがとう。とっても助かるわ。今すぐ行くから、西門に馬車を準備してて欲しいの。用意ができ次第、私たちも向かうから」

「はい、わかりました」


 ロゼールに指示したあと、パタンと扉を閉めた。


「いいのですか?」

「なにが?」

「あの男、きっとイザーク・カロン侯爵に告げ口しますよ」

「別に構わないわよ。悪いことをしに行くわけじゃないし」

「……まあ、そうなんですけどね」


 ドリーはロゼールに対して、思うところがあるみたいだ。


「大丈夫よ。私がなにをしても、きっと興味がないと思うから」


 ドリーに向かって微笑んだ。

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