表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この結婚は王命ですから。初夜で拒絶された花嫁です、それでは自由にやらせていただきます!  作者: 夏目みや
第二章 北部の発展を目指して

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/55

18

 視線を向けるとそこにはミーシャの他に、いつの間にか二人のメイドがいた。

 集まってチラチラとこちらを見つめ、嫌な視線を向けている。


「失礼だろう、貴様ら」


 ドリーはいち早く声を荒げた。


「おお、怖い。そのような乱暴な言葉遣い。南部では普通なのかしら」

「まあ、苦労知らずの南部ですからね」


 メイドたちは三人集まったことで、強気になっている。加えてイザークの不在に、昨夜の彼の態度を見て、察したのかもしれない。


 主人であるイザークと私の仲が冷え切っていると。


 だから、自分たちも雑に扱っていいと思ったのだろう。


「私たち、賭けをしていたのですわ」


 ミーシャが腕を組み、ズイッと前に出た。


「賭けとは?」


 気になって聞いてみた。ミーシャはビシッと指を突き付けた。


「お飾りの奥様が、いつ南部に逃げて帰るかと」


 ミーシャが鼻で笑うと、側にいたメイドも噴き出した。意地の悪い笑みを向けられる。


「…………やるか」


 ドリーが小さな低い声でボソッとつぶやき、一歩前に出た。先日、ドリーに口でやられたミーシャはビクッと肩を震わせた。


 その時私はドリーの腕をガシッとつかんだ。

 目を合わせ、首を横にふる。


「シャルロット様……」


 ダメよ、ここはまず我慢して欲しい。


 視線で訴えるとドリーは大きくため息をつく。


「……わかりました」


 すっごく渋々と、ちっとも納得のいっていない声を出す。


 ドリーが引いたことで、ミーシャはあからさまにホッとした顔を見せる。そしてますます調子に乗ったのか、饒舌

だ。


「ここでは、あなたを歓迎してる者などいないですわ。北部には北部のやり方があるのです。大人しく、南部に帰られたらどうですか」


 強気な態度を取るミーシャをジッと見つめる。二人のメイドもうなずき、ミーシャに同意している。


「だいたい、なにが目的で王命結婚なのか、意味がわからないですし」


 それはミーシャごときメイドが知るよしもない、大きな使命があるのだ。


 この結婚が決まった時、南部でも反対の声が上がった。特に家族は嘆いたが、結局は王命には逆らえない。それは反逆罪を意味するのだから。


 王命という力技を使ってでも結婚した、私がここにいる意味、考えたことはないのかしら?


 不意ににっこり微笑んだ。


「……そう、あなたはこの結婚に反対ということなのね」


 私は静かに椅子から立ち上がる。


「ええ、反対ですとも。イザーク様にはもっと相応しい方がいるはず。あんなに北部のことを考えている方は他にいない。もっと相応しい方と一緒になるべきだわ」


 ああ、この方はイザークのことが好きなのだわ。

 だからこそ、なおのこと私のことが許せないのだろう。


「そう、それでは、その考えを私がお伝えするわ。――インペリア国王に手紙を書いて」


 この結婚の真意は、王と私たち家族しか知らないこと。


「ミーシャ・ヘイロン。あなたを反逆罪としてインペリア国王へ報告いたします」

「なっ……」


 反逆罪と聞き、ミーシャの顔色が変わった。他の二人のメイドも動揺し、口を大きく開けた。


「だってそうでしょう? 王命に反対だと、堂々と口にするだなんて。私なら、そんなことはできないわ」


 そう、国王から直々に下された。

 それは有無を言わせない、いわば命令だった。

 絶対王者からの指示、逆らうことなど、できやしない。


「反逆罪は一族死刑と決まっているけれど、それも承知の上での発言なのよね」

「そ、そんな、ちょっと口を滑らせただけじゃない!! 誰も本気だと思わないわ」


 動揺するミーシャにスッと冷めた視線を向けた。


「いいえ。私が信じるわ。それだけのことをあなたは口にしたの」


 背筋を伸ばし、動揺するミーシャをジッと見つめた。


「インペリア国王はあなたと私、どちらの言い分を信じると思う?」


 目を細め、フッと微笑む。


 今さらながら自分のしでかしたことを後悔しても遅い。口から出た言葉は、もう戻らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ