↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラスボスと空想好きのユア 3 More Adventures  作者: ReseraN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/10

第7話「異世界でバーベキュー」

 数日後のフィーヴェ。

 ビルダー機能で作ったアジトの前で、ディンフルを除くメンバーでバーベキューをしていた。

 ディンフルは魔物退治に出ており、後から合流する。


 ユアが、リアリティアで一式の道具をそろえ、バーベキューのやり方を皆へ教えていた。


「外で作って食べるのはフィーヴェにもあるけど、この炭で焼くやり方は初めてだな」


 炭火の香りを楽しみながら、ティミレッジが感心した。


「うわ! この肉、うめぇ! ほっぺも舌も、落ちるぜ!」


「落ちるのは、ほっぺだけにしてくれ! 舌まで落ちたら、しゃべれなくなるだろ!」


 肉に感動するあまり、変な言い方になるオプダットへ、フィトラグスがツッコんだ。


「ソールネムやチェリーも、来れたら良かったのに……」


「しょうがないよ。ソールネムさんは、今日は別件で忙しいから」


「チェリーも、帰って来たクロウズと鍛錬だってさ」


 ユアが残念そうに言うと、ティミレッジとオプダットがそれぞれの仲間について答えた。


「今日は初めてのバーベキューだし、俺たちだけでも良いとしよう。後でディンフルも来るしな」


「そうだね!」


 フィトラグスに言われ、ユアは元気よく返した。

 彼女にとっては、ディンフルを含んだ五人でのメンバーが一番よかった。


「それにしても、まさか、泥棒と再会するとはな」


 フィトラグスは肉を焼きながら、ユアの同窓会を振り返った。


「ゲームも戻って、謝ってくれたんでしょ? もういいんじゃない? ユアちゃんが許したなら」


「そうそう! でも、フィットは正義の国の王子様だからな。こういう悪いことには心が()()んだろう」


「逆だ! こういう時は“心が狭い”だ!」


 ティミレッジもオプダットも、ゲームを返し、何度も謝ったソウの誠意には感心していた。

 ただ、オプダットはいつものように言い間違え、フィトラグスからまたツッコまれてしまった。


「で? その子から、連絡来てるの?」


「ううん」


 ティミレッジから聞かれ、ユアはきっぱりと答えた。

 フィトラグスら三人が、ガクッとなった。


「連絡ないのか……? あれだけ知りたがってたのに?」


「たぶん、忙しいからじゃないかな? 向こうも受験に失敗した浪人生で、予備校に行ってるみたいだし」


 信じられない様子のフィトラグスへ、ユアはソウをフォローするように言った。


「ローニンセー? ヨビコー?」


 一方でオプダットは、初めて聞くリアリティア用語に頭を悩ませた。

 ここでティミレッジが話題を変えた。


「それより、ユアちゃんのその力って、誰も信じてくれなかったんだよね? 僕、思ったんだけど、お友達と一緒に異世界へ来ることって出来ないの?」


 フィトラグスとオプダットが息をのんで、彼を見た。

「その手があったか……」と言わんばかりの表情だった。


「出来ないよ。一回、小学生の時に試してみたけど、私しか飛べなかったんだ」


 ユアが否定すると、三人は残念そうにうなった。


「しかも不思議なことに、友達の目の前で消えたのにみんな、私が“トイレに行った”だの、“どこかに出かけた”って言ってるの」


「……どういうことだ?」


 三人で顔を見合わせた後、フィトラグスが代表して尋ねた。


「よくわからない……。異世界から帰ってから、みんなに会いに行ったら“長いトイレだったね”って言われるんだ。何か、私が“トイレ行って来る”ってみんなに言ったことになってるの」


「記憶が書き換えられたってこと?」


「そんな感じ。一日掛かりで行ってたら大騒ぎになってて、帰ったら先生たちにすごく怒られたよ」


「一日は怒られるって……」


 ティミレッジは呆れた目でユアを見た。


「でもさ、その力のおかげで俺らと会えたじゃねぇか! ユアはいいもの持って生まれて来たよな!」


 オプダットが、ユアの力を讃えるように明るく言った。


「うん。この力のおかげで救われて来たし、感謝だよ。でも、何で私だけなんだろ?」


 ユアが自身の力に疑問を持つと、フィトラグスとティミレッジの顔がこわばった。


「何か、イマストのディファートみたい!」


「そうそう! ユアって実は……!」


 彼女が冗談ぽく言うと、オプダットが口を開いた。

 それをすかさず、フィトラグスが塞いだ。


「な、何……?」


 ユアが驚いて、オプダットを止めるフィトラグスを見た。


「い、いや! “ユアがディファートだったら面白いな”って言おうとしたんだろ!」


「そ、そうそう! オープンって、すぐ楽しいこと考えるからさ!」


 続いて、ティミレッジもあわててフォローした。


「そ、そう……」


 よくわからないまま、返事をするユア。

 すると、急に立ち上がった。


「よし! 待ち切れないから、ディン様を迎えに行ってくるよ!」


「やめた方がいいよ! 今日は特にモンスターが出てるらしいし、ユアちゃんもチアーズ・ワンドを没収されてるんでしょ?」


「大丈夫! トウソウの力があるから!」


「トウソウ……あぁ、イポンダートじいさんからもらった逃避能力か」


「あの、“闘争”と“逃走”を掛けているやつだね」


 フィトラグスとティミレッジが、ユアにあるトウソウモードを振り返った。

 次はオプダットが尋ねた。


「確か、色んな攻撃から守ってくれるんだよな?」


「そうだよ! エグからの攻撃も防いでくれたし、この付近のモンスターも大丈夫だよ。私、走って逃げるから!」


「ユア、長く走れたか……? やっぱり心配だ。俺もついて行く」


 疑い深く聞いた後で、フィトラグスは一緒に行くことにした。

 ユアは少し口を尖らせた。


(私だって、もう一人前なのにな……)


 だが、よく考えたら「守られているうちが華」でもあった。

 特に、イマスト(ファイブ)は、彼女が今一番好きなゲームだった。

 そのキャラに守られるのは、ユアにとって嬉しいことだった。


(守られるのもいいけど、やっぱり、助けにもなりたいな……)


 ユアの心は二つの思いで揺れ動いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。