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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
戦いの終わりと闘いの始まり
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第91話

 真は閉じていた目をゆっくりと開ける。

 我ながら嫌なことを思い出してしまったと顔にはありありと出ているかと思いきやそうではなかった。

それを見たのは真に時間が迫ってきていることを伝えに来たスタッフであった。


 「神代さんそろそろお願いしま……す」


 真のいる部屋がノックされすぐに入ってくるスタッフの男。しかし、真の様子を視界にとらえた瞬間から言葉は小さくなっていった。

 それもそのはず。真は自分でも気が付いてはいないようだが笑みを浮かべていたからだ。それもただの笑みでは無く、端的に家は邪悪な笑みであった。

 その顔を普段の真からは想像もできない程の物であっただ。スタッフがそうなってしまうのも仕方がないだろう。


 「……わかった」


 何も気が付いていない真はスタッフの様子など露にもかけず言われたとおりに準備を始める。それほど今の真は集注しているといっても過言ではないだろう。


 まあ準備と言っても特にすることは無い。

 座っていた椅子から立ち上がり会場に向かうだけだ。


 扉をくぐりスタッフに案内されそのまま後に続く。真ににとっては毎回の事。だがそれも今日勝てば無くなる。

 その事を頭の隅で考えた瞬間真は再度笑うのであった。ただし今度は欲望丸出しの感じが否めない顔で。





 スタッフに案内されどんどん会場に近づいていく。それを真は耳で、肌で感じ取っていた。

 通路の向こうから湧き上がる歓声。近づいていくにつれその大きさはどんどん増していく。


 そして、ついに扉一枚向こうは会場というところまで来たとき真の後ろから声が掛けられる。


 「ついにって感じか、真?」


 真に放たれた言葉に心の中ではうんざりとした感じになってしまうが、それを露わにしてしまうほど真は愚かでは無い。

 そもそもここは関係者以外は出入りなどは固く禁じられている。真に声を掛けてくる人物など限られているのだから。


 真が後ろを振り向くとそこには予想通りというか、クルールのオーナーである優志がいた。


 真はさも集中している感じを醸し出す為、もしくは自分の心の内を悟られない為優志を一瞥した後前に向きなおす。そして……


 「何がですか?」


 聞かれたことに対して素っ気ない感じで真は言葉を返した。しかし真の言葉に対する返事はすぐに帰った来ず不思議に思っていると


 「くっくっくっ……くっくっくっ……」


 聞こえてきたのは微かに聞こえる笑い声。どうやら優志は声を押し殺して笑っているようだった。

 真としては若干むっとなるが耐え、優志が喋るのを待つことにした。


 「くっくっく……、わっはっはっはっ」


 どうやら本当に我慢しているのも限界だったようで本格的に笑い声を響かせ始めた。流石にこれには真も限界を迎えたようで


 「いったい何ですか?」


 後ろを振り向き感情を隠さない顔をさらす。その顔をどう見ても苛立ちに満ちている。


 「ふっくっ、すまんすまん。必死に隠してるお前が面白くてな。ふっくっ、すまん」


 言葉で誤っているが笑いながら言われてもまったく説得力がなかった。だが真は肺の中にあるすべての空気を吐いた感じの大きな溜息を漏らす。その顔には苛立ちはすでに無くなっていた。


 「何がそんなに面白いんです? それに隠しているとかなんですか?」


 先ほどとはまるで違う起伏の声で再度優志に問いかける真。優志もどうやら落ち着いたようで笑わずに答えてくれた。


 「だってな。お前の背中が喜んでいるんだよ。報酬の事に対してだろうとは思うんだけどな。それをお前は……くっふっ、必死に隠そうとしているのが面白くてな」


 それなりに優志とは長い付き合いだ。真の心の内などはだいたい見透かされていた。

 優志の言葉に真は特に気にする様子も驚く様子もなかった。こちらも同じだけの長い付き合いだ。その程度では揺らぐことは無い。


 そして真は隠す必要がなくなったのかストレートに優志に聞く。


 「再度確認するけど、勝てば最後でいいんだよな?」


 「ああ。勝てればな」


 「そうか……」


 その瞬間会場への扉が開け放たれる。どうやら時間のようだ。


 「まあ頑張れよ」


 そう言い残すと優志はその場を立ち去る。


 真は会場を見つめなおしその一歩を踏み出していく。


 しかし真は気がついいていなかった。去り際の優志の顔を。

お読みいただきありがとうございます

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