第88話
つい先日の事
真がトレーニングを励んでいるジムにいるとある二人。
二人は真が終わるのを待っていた。
なぜこの二人は真が終わるのを待っているかは真自身にもわからない。というか真は知らない。
「ふぅ。やっと終わったか……?」
真の為に個別に使用している部屋から真が出てきてすぐに自分の目を疑うことになる。そこにいたのは蒼空とレイヤの二人であった。
そして、どうも様子がおかしいことに真はすぐに気が付く。
「ふ、二人ともなにしてるのか……な?」
先ほどまで一緒にいた二人とは思えないほど空気に緊張感が漂っている。
それもそのはず蒼空とレイヤの二人はお互い見つめ合っている。見つめ合っているといっても百合百合しい雰囲気ではない。真自身がすぐに感じられるくらい二人はお互いを睨みあっていた。
「レイヤが」
「蒼空が」
真の問いかけに二人同時に答える。だがその言葉もお互いに被ってしまい再度お互いを睨みあってしまう。
「そんなところに突っ立ってどうしたんだ真?」
すると真の後ろからもう一人部屋から出て来て真に声を掛ける。トレーナーの石田である。
そして、石田は真から蒼空とレイヤの方に視線を移す。石田も何かを感じ取ったのであろう、真の傍によってきて小さな声で真に耳打ちしてきた。
「なんか様子が変じゃないか? どうしたんだこれ?」
「俺にだってわかりませんよ」
「そういわれてもこの状況はお前が関係してるしか思えないような状況だぞ。それでわからないは無いだろう」
「そう言われても……」
真と石田が小声で話し合っている感も蒼空とレイヤは微動だにせずお互いを睨みあっていた。
しかし、このままこの状況が続くのもまずいと感じた真は再度二人に声を掛けてみることにした。
「二人ともどうしたんだ?」
「…………」
「…………」
今度は真の問いかけにも答えずただ黙って真に顔を向けてきた二人。その瞬間真はふいっと顔を二人からそらす。
真のその行為にすぐに反応したのは蒼空であった。
「何で顔をそらしたの?」
「いや……何でって……」
顔をそらした理由。それは今の真には言えないことであった。
そこにその理由を知っているレイヤが茶々を入れてきた。というかからかっている感じでもあったのだが
「そうだよ! 何でそらしたのさ」
そう言ってくるレイヤの顔は若干笑いを帯びている。本人的には隠しているようだが傍から見ればモロ解りであった。
だがその行為と言葉が真の沸点を上げる。
「そんなことどうでもいいだろう!! とりあえずそこからどけろよ二人とも。石田さんが通れないだろう」
真の豹変に蒼空は驚いた顔をしながらもスッと移動し道を開ける。レイヤの方はすべてがわかっている分性質が悪かった。
道を開けたのはいいが真の傍によるように移動したのだ。そして
(怒ることないじゃない。ちょっとからかっただけでしょう)
(五月蠅い。黙ってどけろ)
(まっ。ひどーい)
(…………)
寄ってきたレイヤを何事もなかったかのようにさらっと躱した真は石田と二人で空いた道を通っていく。
しかし、蒼空とレイヤの二人はそのまま真達の後ろを付いてきていた。
そのことをすぐに気がついいた真は石田に先にいってもらい二人に再再度問いかける。
「二人とも俺になんか用なのか?」
真としてはまだこの後もトレーニングが待っているので手早く済ませたかったのだが、その真の願望は叶うことはなかった。
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