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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
戦いの終わりと闘いの始まり
92/127

87話

 扉の外からは歓声が聞こえてくる。


 今、真がいるのは決戦当日の控室。自分の出番が来るのを椅子に座りながら待っている。部屋には真一人だ。


 扉の外から聞こえる歓声は前座の試合がやっていてそれなりに盛り上がっているのだろう。見に行こうと思えば行けるのだが真はいつもそのようなことはせず、静かに自分の時を待つのが常であった。


 ここのクルールでは試合は一試合ではなく常に複数の試合が組まれており、その結果で色々な物が手に入ったりはしない。出場するほとんどの選手は求めるのは自分の欲求。強さなど権力やお金などとかけ離れたものを求めるのがほとんどであった。

 まあ、実際のところ多少のお金は出るのだが。


 見に来てる客はほとんどが同じような理由で来ているのがほとんどで、自分では行えない行為に対する欲求を埋めに来ているというわけだ。

 ちなみに試合に対する賭けなどは行われていない。そこのルールはかなり厳格にしいているようで賭けなどの行為をやっている者には厳しい制裁がくだされる。

 まあ、実際のところやっている者は多少はいるようだが……。

 

 閑話休題


 真が待っている部屋の扉がノックされる。どうやら誰かが来たようだ。真が入室を促すと入ってきたのはオーナーの優志であった。


 「調子はどうだ……って聞くまでもなさそうだな」


 軽く笑いながら聞いてくる優志に真は視線だけ向けて何も答えない。優志自体も解っているようだし、このやり取りは真の試合の時の毎度の事である。


 「しっかしお前もいつもの事だけど試合の時になるとものすごく怖くなるよな。普段ならそこらへんにいるようなにいちゃんみたいなのに毎度のことながらそのギャップには驚かせられるわ」


 「…………」


 「そしてだんまりなのもいつも通りか」


 「…………」


 「少しぐらいは話してくれてもいいんだぞ。ってこの言葉も毎回言ってるか」


 「…………これからは見れなくなりますから」


 皮肉ともとれる真の言葉に驚き半分嬉しさ半分の表情になる優志。驚きの方は急に喋ったことによる驚きであるが、嬉しさの方は真が皮肉めいたことを言ったことに対する喜びであった。

 普段の真、試合の時の真と今までにない真の一面が垣間見れたので自然と嬉しくなったというわけだ。


 「ハッハッハッハッ。嬉しいこと言ってくれるじゃないか」


 優志は本当に心の底から笑っている顔であった。しかし……


 「だが今回の相手は簡単にはいかないぞ。なんたって昔の王者なんだからな」


 急に真面目な顔で言ってくる優志。そして優志が言った突然の情報に真は目を大きく見開く。

 だが真は何かを思い出したかのように優志からすぐさま顔をそらす。


 「ん? 急にどうしたんだ?」


 「…………」


 真の行動に不信に思った優志が聞いてくるのだが真は答えることはなかった。

 優志は首をひねりながらも話の続きを話し始める。


 「今回ばかりはお前も簡単にはいかないだろうな。いつものように一方的にはならないだろうし、お前の退屈を埋められるかもな」


 「…………別にそんなのじゃないですから」


 「そうか……まあ今日も頑張って盛り上げてくれ」


 優志はそれだけ言うと部屋を立ち去ろうとする。と思ったら最後の最後に爆弾を投下してきた。


 「そういえば……お前の友達、慧だっけか? しっかり招待しておいたからな」


 「はっ!?」


 「後それと、蒼空ちゃんと七海ちゃんと梓ちゃんとレイヤちゃんっていう娘達も一緒に招いておいたからしっかり頑張れよ」


 「ちょっ――」


 真が引き留めようと声を掛けようとしたのだが無情にもその前に優志は扉を閉めて出て行ってしまった。

 呆然となる真は一瞬そのままの状態で時が止まってしまう。がすぐに我を取り戻し盛大に大きなため息を漏らす。


 そして、真は思い出す。

 先日あった出来事を。


 真は再度盛大に溜息を吐くと座っている椅子に顔をうずめるのであった。

お読みいただきありがとうございます

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