第81話
「それで、話っていうのは何なんだ?」
真の態度はかなり横柄なものになっていた。その態度で話しかけられているファンとフレイヤは多少ばかり恐縮気味だ。
「じ、実は話というのは真君の眼の事についてなんだ」
「眼の事?」
「そうなんだ。君の眼に起こっていることはいとし……いやフレイヤから聞いてるとは思うけど、それとはちょっと、いやそんなに違わなくはないんだが……」
「何が言いたいんだ?」
「最近君は疑問に思うことはないかい? フレイヤからその眼の力を与えられた当初はその能力を十二分に発揮していたのに、最近はそんなことも全く起こっていないことに?」
「それはこれを付けているから起こらないのとは違うのか?」
真は自分が掛けている度なしの眼鏡を指しファンに問いかける。返ってきた答えは真の予想を裏切るものであった。
「そんなちっぽけなもので僕たちの能力が防げると思っているのかい?」
「は? 現にこうやって防いでいると思うんだが……」
「それは大きな勘違いだよ真君。そんなもので防げるのならば授ける意味がないからね。まあそうなってしまったのにはしっかりとした訳があるんだがね……」
ファンが真に説明しながらも目線はフレイヤの方を向いている。真もそれにつられて視線をフレイヤの方に向ける。二人から視線を向けられている当のフレイヤはバツが悪そうな顔で下に下がっていく。そして幾分か身体が小さくなったようにも見える。
「訳って何ですか?」
「君はフレイヤから能力を授かった時の事を覚えているかい?」
「はぁ……まあ」
「その時フレイヤはどんな格好をしていたかな?」
「そりゃあ……水着を着てましたけど……」
授かった当時の事を思い出し話す真。幾分顔が赤くなっているのは間違いなくフレイヤの恰好を脳内にイメージしてしまったからに他ならないであろう。
そんな真を羨ましそう、もとい微笑ましそうに見ていたファンは話を続ける。
「そうなんだよ。フレイヤのその時の態度が問題でね。本来能力を授けるときはきちんとした手順を踏んで儀式を行ってから授けるものなんだよ。けして片手間で授けるようなものではないんだよね。それを事もあろうかフレイヤは自分の欲求を優先してしまってその必要な部分をサボって君に授けてしまったんだよ。だから現在はそんなちゃちな眼鏡で防いでいられるって訳なんだよ」
「そうなんですか!?」
「実際の所はほとんど能力としての効果は無いに等しいと言ってもいい」
「…………」
あまりの事実に真は言葉を失ってしまう。
「君の思っていることはよくわかるがこれは事実なんだよ」
黙っている間も真は色々考えていたのだがどうやらそのすべてを悟られてしまいすべてを肯定されてしまった。
溜息を吐き頭の中の整理を図る真。それをわかっているのかファンの方は話しかけてはこづ、状況を静観している。
時間にして約5分程
頭の整理が付いた真はいつの間にか下を向いていた顔を上げファンを見る。
ファンのすぐに察したようだ。にこやかな笑みを浮かべると続きを話してきた。
「どうやら落ち着いたようだね。だが、これから話すことが本番だ」
真剣な顔つきに変わったファンを見て真は息を飲む。
「実はそのことは僕達の父親にばれてしまってね。それでさきっきの状況につながるわけなんだが……」
「それで……」
真の頭の中ですべてが一本の道としてつながった。なぜファルトが居たのかということが。だがそこに真の中で新たな疑問が持ち上がる。
しかし、真が思って聞こうとしたことはファンに先に答えられてしまう。
「君が思っていることはもっともだよ。そして、その答えも君の思っている通りなんだよ」
「まじか……」
「君がそう思ってしまうのは仕方のないことだけどこれは事実だよ」
溜息しか出てこない真。しかし今の真にはこの場をどうにかできる力はなかった。
「これからすぐに始めたいと思うけど大丈夫かな?」
「……はい」
真は諦めた顔で返事をする。
「よし。じゃあ始めようか。君に能力の授けなおしを」
言葉としての事実を突きつけられた瞬間真は項垂れるしかなかった。
お読みいただきありがとうございます




