第80話
後ろに現れたテーブルとイス。現れたことに多少驚きつつも真はイスに腰を下ろす。それを見たファンとフレイヤも同じくイスに座る。
そして再度ファンが指を鳴らすとテーブルにはティーセットが現る。もちろん中身もしっかり入っておりカップからは仄かに香る紅茶の香り。目に見えるぐらいの湯気が出ている。
「さて、これから話す事に対して先に二つほど言っておくことがあるけどいいかい? まず、一つはこれから話すことに対して怒らないこと。二つ目は、これから話すことはすでに起こってしまっていて過ぎてしまっていることなので反論は受け付けない。この二つが先に言っておくことだけど大丈夫かい?」
「それって簡単に言うと文句を言わず聞けってことでいいのですか?」
「まあ、大まかに言っちゃえばそういうことだね……。それにしても理解が早いね? 以前にこういうことでもあったようだね」
人が悪そうな笑みを浮かべ真に聞いてきたファン。真としても以前に同じような感じの事があったのは否定はできないがあからさまにピンポイント過ぎることに違和感を覚える。
真はすぐさまハッと思い出す。
「人の中をのぞかないでください」
不満げたっぷりな顔でファンに抗議をする真。
ファンの方も真の抗議を聞いて肩を上げおどけて見せる。
「これはまいったね。けどこれは仕方のないことなんだ。意識的に読もうとしているのではなく勝手に再生されるラジオのような感じで自動的に入ってくるものだからね。どうすることも出来ないものなのさ。まあ、それで不快な思いをさせてしまったことに対しては素直に謝ろう」
「そういう事情であればわかりました」
納得の言葉を述べながらも真はフレイヤの方を軽く睨みつける。なぜ睨みつけたのかというと、ファンが言ってくれたことに対して以前説明してもらった時にこんなに詳しく説明がなかったことに対する抗議の睨みつけであった。
「そんなに怒らなくてもいいんじゃないの?」
「…………」
どうやら真の心の内がすぐにわかったフレイヤはすぐに反論してくるが真は何も言わずひたすらにフレイヤを睨みつける。
まあ、喋らないのは単純に怒っているからではなく、どうせわかってしまうならこの際心の内で散々言ってやろうと開き直っただけだったりする。
「そりゃあ、い、言わなかった私が悪いのかもしれないけど――」
「そこまでだ、二人とも」
フレイヤの言葉をファンが遮り話を終わらせてきた。
「真君の言いたいことも分かるが今はそこまでにしてくれないか。可愛い妹が困っているのを見るのは忍びない。ここは偉大なお兄様の顔を立てるということで――」
「何を言ってるの気持ち悪い。いつも言ってるでしょ、そういうのは――」
二人が話し始めてしまい真のにどうやら入る余地がなかった。
と言っても傍から見ればただの兄妹喧嘩なのだが……
地味に二人の兄妹喧嘩は十分程続いていた
状況としてはフレイヤがファンを罵り、ファンがその言葉を変な解釈をして受け止める。そんなやり取りであった。
流石に真としても十分もこんな状況を眺めていては嫌にもなってくる。仕方なく介入して話を進めることにした。
「……あのー、いいですか?」
「なんだね?」
「なによ!」
「いい加減にして話を進めてもらいたいんですけど……」
真のその一言にファンとフレイヤは今更ながら気が付いた顔をした。その顔を見て真は呆れることしかできなかった。
「そう呆れないでくれたまえ。これはいつもの事。そう、兄妹のスキンシップなんだよ」
「何がスキンシップなのさ。気持ち悪い!!」
「そうかそうか、そこまで私の事が好きなんだねフレイヤは――」
どうも話は終わらなさそうでまたもや話が再燃しそうになってきた。流石に真もここまでくると堪忍袋の緒が切れた。
「いい加減にしろって言ってるだろうが!! 話すことさっさと話して、それが終わったら喧嘩だのじゃれ合いだのよくわからんが終わってからやれ!! わかったか!?」
「……はい」
「……わかったわ」
真の豹変に二人して驚きながらも素直に返事をしてきた。
「で? 話っていうのはなんだ? 聞いてやるからさっさと話せ」
先ほどとは打って変わって真はイスに座りながらも若干ふんぞり返り、足を組み、上から目線な感じで話しかける。
お読みいただきありがとうございます




