第79話
二人の後についていく真。
連れられてきた先はとある喫茶店だった。しかし、そこは普通の喫茶店ではなかった。と言ってと外観とかはどこにでもあるような感じのチェーン店なのだが中に入るとそこが普通ではなかったのだった。
二人の後に少し遅れて店の扉をくぐる真。
変化は唐突に訪れた。扉とフロアを繋いでいる境界線みたいなものを超えた瞬間眩しい光に襲われる。
真は目の前に手を翳し光をなんとか抑えようと努力するのだが、それをあざ笑うかのように光はどんどん強くなっていく。あまりの眩しさについに真は視界を失ってしまう。
時間にしてどれくらいだろう。数秒だったかもしれないし、あるいは数分だったかわからないがなんとか真は視界を少しずつ取り戻す。
ようやく眩しさがなくなり周りの状況がつかめるまで回復した真は瞬きを何度も繰り返しつつもあたりの変化に驚きを見せる。
だが、その驚きも一瞬であった。辺りを確認した真は多少の懐かしさを感じていた。一面白い靄のようなものに覆われている場所。そこは初めてレイヤとあった場所に酷似していたからだ。
しかし、その懐かしさを感じたのは一瞬だけであった。
なぜなら……
「ようこそ『狭間の世界』に」
聞いたことが無い様な声が真の後ろから掛けられる。真はすぐさま声のした方に振り向くとそこには初めて見る人物が石造りでできた椅子に座って真の方を見ていた。そしてその椅子の両脇にはレイヤとファンが立っていた。
椅子に座っている人物は見た目は恰幅がよく適度に太っており、胸まであろうかという長い髭をたくわえ腰までありそうな長い髪をした人物であった。パッと見れば初老に差し掛かった運動不足の人物のように見えたが一点だけ違うところを真はすぐさま感じ取っていた。
それは目であった。何が違うかというとその鋭さである。目だけで人を殺せそうになるとはまさにこの事ではないだろうと感じさせる目だ。それにその目は少し特徴でもあった。左目と右目の色が違っていたのだ。俗にいうオットアイというやつである。左目は金色、右目は銀色とそこも特徴的だ。
「ど、どちら様でしょうか?」
真は恐る恐る声を掛けてきた人物に聞いてみた。どうやら真は多少威圧されているようだ。
「儂か? 儂は隣にいるフレイヤとファンの父親でファルトと言うもんじゃ。君が真じゃな?」
投げかけられた質問に対し真は声を発せず首を縦に振り肯定する。そんな真の様子をファルトは鋭かった目を緩め嬉しそうに話しかけてきた。
「そうかそうか、なるほどなるほど……」
ファルトはそう言うと目をスッと細め値踏みするように真を見つめてきた。
真を最初こそ多少たじろいだものの気持ちを持ち直し同じく見つめ返す。
「これなら問題はなさそうじゃな、フレイヤよ」
「本当!! お父様?」
「ああ、お前の好きなようにしてかまわないぞい」
「ありがとう、お父様」
椅子に座ってるファルトに抱き着くフレイヤを真は何が起こっているかわからなく困惑してどうしていいかわからなくなってしまった。
そんな真を見かねてかファンが真の傍によって来た。
「後で説明してあげるから今は気にしないであげてくれるかな。こちらにも色々と事情があるんだよ」
「……わかりました」
ファンの言葉に素直に従うことにした真は目の前の光景を黙って眺めていることにした。
そして、ファルトとフレイヤのやり取りが落ち着いたと思ったら
「それでは儂は帰るとするかの。真君も呼び出して悪かったな」
「……はぁ」
「では後の事は頼んだぞ、ファン、フレイヤ」
ファルトはそれだけ言うと椅子に座ったままゆっくりと消えていってしまった。それに対し真はもう何でもありかなという境地に達していたようで特に驚くこともなく成り行きを見守っていた。
そしてファルトが完全にいなくなるとファンが真に声を掛けてきた。
「さて、真君。これから説明したいことがあるんだけど大丈夫かな?」
「聞くのは問題ないですけど時間はどれくらいになるんですか?」
「時間の方は心配しなくていいよ。この場所にいれば時間はずっと止まっているからね。帰っても扉をくぐった直後に戻っているから」
「そうですか……」
「ほかに質問はないかい?」
「大丈夫です」
「そうか。では長くなるから座って聞いてもらおうかな」
ファンがそう言って指を鳴らすと真の後ろに先ほどファルトが座っていた椅子と、同じ材質でできていそうなテーブルが現れた。
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