第78話
「買い物に行ってくるって言ってなかなか帰ってこないと思ったら何してるんだこんなところで? それも真君と一緒に……」
真の後ろから声を掛けてきたのは優樹であった。
「親父。歩いていたら偶然真にあってな。それで色々と話していたんだよ」
「そうだったのか。それにしても……ふーん」
「どうしたんだ親父?」
「いや…………何でもない」
優樹は真の全身を舐めるように見たがそのまま優志の方へ向いてしまった。
真も優樹の様子が気になったがそれよりも優先するものがあった。
「オーナー、さっき何か言いかけませんでしたか?」
「いや……いい。気にするな」
あまり腑に落ちない真であったがこれ以上言っても話すような感じではないことを感じ取った真は話を終わらせることに意識を傾ける。」
「わかりました。どうやらお迎えが来たようなので行きます。勇樹さんもまた今度」
「そうだな。当日待っているからな。それとあんまり慧君を虐めるなよ真」
「虐めませんよ!! もういきますから」
そう言って真はその場から去っていく。
そして真の去っていく後姿をジッと見つめている優樹に優志が声を掛ける。
「そんなに真の姿見て、さっきからどうしたんだ親父?」
「さっきはあいつの前だったから言わなかったが……物凄いくらいつくりこんできてるなあれは」
「つくりこんできてる? 何をつくりこんできてるんだ?」
「気が付かなかったか? 服の下の身体……あれは前に見た時よりもおおよそで二倍ぐらいは膨れ上がっているぞ。そこまで評価してもらえるとは、嬉しい限りじゃないか」
「そうか? 俺は全く気が付かなかったが親父が言うのならそうなんだろうな……そうかそうかそこまでやるき出してるのかあいつは」
二人そろって人が悪そうな笑みを浮かべながら真の去っていった方向を見つめる。
「これは当日が楽しみになってきたわ」
「そうだな」
「それよりも今日の晩御飯の方はどうなっているんだ? お腹が減って仕方ないんだが」
「そうだったな。けど真と話し込んじまってまだ何も買ってきていないんだ」
「なんだと!! 何をやってるんだお前は……。もういい、このまま待たされるのも嫌だからどこかに食べに行くぞ優志」
「はぁ。わかったよ」
二人は真とは反対の方向に歩き出していくのであった。
真は歩きながら考え事をしていた。
「それにしても何で俺の事ジッと見ていたんだ」
一人先ほどの優樹の様子について独り言のように呟きながら歩く真。
傍から見ればぶつぶつと危ない感じではあるが、真にはそんなことを気にすることはなかった。
「まあ、あんまり気にしても仕方ないか……」
自己完結が付いたところで意識を目の前に向けるとそこには見知った人物が真の目の前から歩いてきていた。
ぶっちゃけ言うと会うのも久しぶりな人物だったりする。そしてその人物にはもう一人連れ添う人物もいた。
一人はレイヤ。もう一人はファンであった。
「久しぶりだね真君」
話しかけてきたのはレイヤではなくファンであった。
久しぶりと言われても真としては初対面の印象が強すぎて久しぶりには感じなかったのはここだけの話である。
どうやらこの出会いは偶然ではなく必然のようであった。どうも二人の様子がいつにもまして真剣であったから真はすぐに感づくことができた。
「二人そろってどうしたの?」
「ちょっと話したいことがあるんだけどいいかな?」
「ああ」
いまだに一言も発しないレイヤを不思議に思いながらも真は頷くと誘われるがままついていくのであった。
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