第75話
試合の日までもう何日もないある日
真はいつも通りジムで汗を流しいつもの日課を消化し夕日が見える時間に家でのんびりとしていた。そんな真の元に一本の電話が掛かってきた。
掛けてきたのは慧であった。
「こんな時間に悪いな。今大丈夫か?」
「問題はないけど……なんか用か?」
あまり歓迎をしている体ではなかったのだが真は大人しく慧の話を聞くことにした。
いい予感はしていない。
そして真の予想は見事に的中する。
「これから出てこれるか?」
「は?」
「いや、だから今から家から出て来てくれるかって聞いているんだけど」
「何で? そもそもどこに来いって言っているのよ?」
「俺の家だけど……」
「何でそこで言いよどむんだ。……まあ行くのはかまわないけど、何で今から行かなきゃならないんだ? ちゃんと理由を言えよ」
「理由は……今は言えないんだ。けど今すぐに俺の所まで来てほしいんだよ」
「だからなんでだよ?」
「来てくれたらわかるから、頼むから来てくれ」
ここから真と慧は同じやり取りを五分程繰り返すことになる。理由を言わないと行かないと言う真。理由は言いたくないけど来てくれと言う慧。
こんな堂々巡り繰り返していたのだが最終的に真が折れることになった。
というかいつも最終的には真が折れるのだが。
「わかったわかった。じゃあとりあえず行くだけ行くから」
「そうか。サンキュー真。じゃあ俺の家で待っているからならべく早く来てくれな」
「ああ、わかったよ。じゃあ後でな」
電話を切り出かける準備を始める真。
溜息を吐きながらも渋々服を着替え部屋を後にする。
理由の言わない慧は碌なことを企んではいないと最初から決めつけ重い足取りを一歩一歩踏みしめ慧の家へ向かう。
歩いて数分
その途中思いのよらない出会いがあった。
「あれー。こんなところで何してるの真君?」
「そっちこそこんなところで何しているんだ梓?」
「私は慧君に呼び出されて慧君の家に行く途中なんだけど……真君は?」
「俺も慧に呼び出されてあいつの家に行く途中なんだよ」
「そうなんだ。じゃあ一緒に行かない?」
「ああ」
そしてそのまま梓と慧の家に向かうことになった。
梓と一緒に歩きそれから再度数分後
「梓に真君でしょ。何しているのこんなところで?」
「そういう七海こそどうしたのさ」
「慧君の家に行くところなんだけど二人は?」
「あれー、七海も!? 私達も慧君の家に行くところなんだよー」
「そうなの!? ……ってあれ?」
驚きながらも七海の視線は真達の後ろ側を向いており、どうやら驚いているようだった。
不思議に思った真と梓は後ろを振り向くとそこには蒼空とレイヤが後ろから近づいてきていた。
「みんなこんなところで何やっているの?」
「そういうレイヤと蒼空こそ何してるのさ? ていうかなんか珍しい組み合わせだね」
「私と蒼空はさっき会ったんだよ。それで話を聞いたら慧君に呼び出されたみたいなんだよね。私も呼び出されたから一緒に行こうってことになったんだけど……」
「レイヤ達もそうなの!?」
「達もって事はそっちも?」
「そうなんだよねー。なんだろうねみんな呼び出して?」
「さあ」
「行けばわかる」
蒼空の一言に納得した全員は一緒に慧の家を目指すのであった
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