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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
冬春の闘い
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第74話

 車に揺られること二〇分程。

 途中コンビニにより色々と買いこんだりもした。

 蒼空が連れてこられたのは見知らぬマンションであった。


 車を駐車場に止め詩織達が車から降りたので蒼空もそれにならい一緒に降りる。そしてそのまま後についていきある一室に通される。


 「どうぞー。私達が借りている部屋だから遠慮しないで入って」


 蒼空の傍にいた咲奈が蒼空を迎え入れる。


 部屋に入って蒼空はふと気が付く。

 部屋にはどう見ても生活感と呼べるようなものを感じるところではなかった。無造作にしかれている三組の布団。冷蔵庫や洗濯機なども置いてはいない。部屋にあるのは袋に入っている多数のごみ袋、そして旅行用のバックがあるくらいであった。

 蒼空がそんな部屋の様子を見回していると横から声を掛けられる。


 「友達が海外に行って留守になってる部屋を借りているだけだから何もないんだよねー。寝泊まりしているだけだから」


 蒼空が疑問に思っていることに咲奈が教えてくれる。

 思っていることを解消された蒼空はすぐに本題についてきりだす。


 「真の昔のことを教えてほしい」


 「まあそんなせかさなくても話してあげるからまずは座って飲み物でも飲みましょう。汚いところだけど適当に座ってもらっていいわ」


 詩織に促されるまま蒼空はその場に座り、彩子が持ってきたジュースを受け取る。

 彩子は詩織と咲奈にも飲み物を手渡すとその場に三人共座り飲み物に一口、二口、口をつけ代表して詩織が蒼空に語りだした。


 「そうね、何から話そうかしら…………。あれは――」


 語りだした真の過去の話。蒼空は真剣な表情で聞いている。


 その話は実に一時間近く話が続いた。その間蒼空は一度たりとも表情を変えず聞いていた。


 「――ということなんだけど、どう? これで満足かしら?」


 「はい」


 「あんまり驚いていないようだけどこれを聞いても何も思わなかったのかしら蒼空ちゃんは……。これを聞かせた人は大抵驚くか呆れるかのどっちかなんだけどねぇ」


 そう話しながらも詩織は呆れた表情で蒼空を見つめている。蒼空的にはむしろそっちがだろうと思ったのだが、その思いは飲み込み聞かれたことに対して素直に答える。


 「これでも驚いている」


 その言葉に詩織をはじめ咲奈も彩子も声を上げて笑い始めた。三人が笑っている間も蒼空の表情は微塵も動かなかった。

 どれくらい笑っていただろうか。あまりに笑いすぎていて三人共お腹を押さえ苦しんでいるほどである。


 そして、笑いが落ち着き大きく息を整えた三人がようやくしゃべりだす。


 「なかなか面白いね蒼空ちゃんは」

 「ホントそうだね」

 「こんなに笑ったのは久しぶりかもしれないわね」


 三人は蒼空をそっちのけにして三人で蒼空について思い思い話し出す。本人を目の前にして遠慮などすることなく。

 しかし、すぐさま蒼空が割り込む。


 「これ以上はないの?」


 「これ以上はないわね。他にも聞きたいことがあったら後は真本人に聞くか慧君に聞くぐらいしかないんじゃないかな」


 「慧?」


 「そう、慧君。なんだかんだ言って彼は真と付き合い長いから私達の知らないことも知っているんじゃないかな。もしかしたら知らないこともあるけどね」


 「わかった」


 それだけ言うと蒼空は立ち上がると足早にこの場から立ち去ろうとする。しかしとある言葉に足を止める。


 「これだけの事を聞いても真の事を嫌ったり怖がったりはしないの?」


 聞いてきたのは彩子だった。

 蒼空は振り返り言い放つ。


 「真は真。それ以上でもそれ以下でもない」


 「……そう」


 「お邪魔しました」


 蒼空の言葉に三人は複雑な表情を浮かべていたのだが蒼空はすぐにふり向いた為見ることはなかった。


 「待って蒼空ちゃん」


 扉に手を掛けようとしたところで再度呼び止められる。


 「送るわ」


 詩織の言葉に蒼空は頷いて受け入れるのであった。

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