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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
冬春の闘い
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第72話

 薄暗くなりあたりの街灯が付きだしてきた帰り道。真と蒼空は多少の距離はあるものの同じ方向に向かって歩いている。

 しかし、響いてくるのは歩いている足音、もしくは偶に通りかかる車の音だけで二人の会話の音は帰りの途に就いてから一度もなかった。


 真はこの雰囲気に一応の気まずさは感じ取ってはいるのだがいかんせんそこは真、自分自ら打開する力などは端から持ち合わせてはいない。

 そして、蒼空も普段から積極的に喋ってくるような性格はしていない。

 ということは必然的に会話など成立することはないのであった。


 だが、そんな時間がずっと続くことはなかった。十分前後の沈黙を破り話を切り出してきたのは蒼空であった。

 急に立ち止まったと思ったら


 「どう?」

 

 「…………えっ!? 何が?」


 「…………」


 何の事柄に対して何を質問してきたのかわからない真は聞き返してみるのだが蒼空はジッと真の顔を見ているだけで何も答えてくれなかった。

 真としてもこれ以上どうすることもできず途方に暮れ、再度沈黙が続いてしまう。


 その場に立ち尽くしそして時間も五分程何もないまま過ぎていく。

 このまま黙って立ち尽くしているのもどうかと思った真は歩きだそうとしたのだが蒼空の言葉に一歩を踏み出すことはできなかった。


 「ねえ、どうなの?」


 「だから何がどうなのかそこのところ説明してくれないと何を答えていいのかわからないんだけど……」


 「…………今度戦うって聞いたから」


 蒼空の言葉を聞いた瞬間真の顔つきはすぐさま驚きに包まれる。

 なぜなら、大道勇樹と戦うことは誰にも話してはいないのだ。それはもちろん慧や七海、梓もそれに含まれる。

 状況を知っている人間は極僅かで人数としては両手の指の数で足りるぐらいしかいないのだ。

 それがなぜ蒼空がそのことを知っているのか驚くのは仕方のないことであろう。


 「それ……誰から聞いたの?」


 「……ないしょ。言ったらダメって言われているから。それでどうなの?」


 真は溜息を一つ吐き出す。しつこく聞き直そうかと思ったのだが蒼空の顔を見る限りなんとなく答えてはくれなさそうだったのでそのまま蒼空の質問に答えることにした。

 あわよくば話の流れで切欠でもつかめればと思いある程度の情報も話すことに。


 「まあ身体の方は順調だと思うよ。石田さんからも順調に進んでるって言われているしね。ただ結果がどうなるかはやってみないと何とも言えないかな。それほど勇樹さんは強そうだったし。後は天に任せるしかないって感じだよ」


 「そう、わたしもそう思う。けど真なら勝てる。応援するから」


 「ありがとう、蒼空」


 (そう思う……。何に対してそう思ったんだ)


 微かなヒント的なものがあったが決定打となる様な言葉はなかった。

 色々と考えを巡らせながらもそれを表情にはださず笑顔でお礼を言う真。蒼空の方もどうやら気が付いてはいないようであった。


 話が区切られたところで再び歩き出す二人。

 その後は先ほどまでの沈黙が嘘だったかのように楽しく話を弾ませ歩いていくのだった。





 蒼空と別れ家にたどり着いた真は部屋に入るや否やベットに飛び込んだ。

 いつもであればご飯を作りそのまま時間を過ごすのであるが今日は違う。なぜ蒼空が知っていたのか気になってしまいいつもの行動を棚上げし考えを巡らせる。


 聞かれた後特にそれらしい会話があったわけではなかったのではっきりとしているのはワンフレーズだけだ。

 何に対してそう思ったのか。もし石田や勇樹の所で思ったのであれば間違いなくどちらかの知り合いもしくは近しものだと言い切れるのだが、いかんせんはっきりと言ったわけではない。

 それにほかの部分に対してだとしたらどうすることもできない。

 だが真にはなぜか確信に近いものを感じ取っていた。単に直観と言えばそれだけなのだが真自身なぜかそれにはNOとは思っていない。

 

 そして真は思い立ちすぐに行動を移すことにした。


 まずは確認のしやすい石田トレーナーに確認をする為携帯を手に取り電話を掛けてみた。


 ……結果はハズレであった。


 次に勇樹に確認しようとしたのだが今になってハッと気が付く。

 連絡を取れないことに。

 会うことはあったが連絡先を聞いたことなどは一度もない。というか交換しようなんて思ったことなどないのだ。

 結局真は真偽のわからないままその日は悶々と過ごすことになる。

お読みいただきありがとうございます

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