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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
冬春の闘い
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第69話

 「もしもし、どうしたの真?」


 通話音の所から聞こえた声に真は歓喜しすぐさま電話の向こうの相手に今の状況を事細かに説明する。

 そして、今のこの状況を打開する為に家まで来てほしいという旨を伝える。


 「家に行けばいいのね。わかった」


 電話の相手はその言葉を最後に通話を切った。

 そして、真はこれで助かると安堵の表情を浮かべ身体から多少の力を抜いてしまった。

 その一瞬の隙を姉達は見逃すことはなかったようだ。

 両開きのクローゼットの真ん中に軽く隙間が生まれてしまったのだ。そして姉達はその隙間にこれ以上を閉まらないようにと部屋に落ちている雑誌をすかさず突っ込んでこれ以上閉まらないようにした。

 隙間のサイズとしては普通の人の腕ならば通るか通らないかぐらいの隙間なのだがそれが真にとって命取りになる。スタイルの良い姉達にとってその隙間に手を入れるのは造作もないことで隙間から手が入ってきたのだ。真にとってその状況はお化け屋敷等でよくある壁から手が出てくる状況と同じようなものであった。

 真は意識を手放そうな感じになりながらもなんとか意識を保っていた。

 まあこれにはちゃんとした理由があって、今のこの状況で相手が姉達ではなかったら等の昔に意識は手放しているのだが、そこはこんなんでも一応家族である。長年付き合ってきた実績と言うべきか耐性と言うべきか、そんな感じのものが備わっている。ただし身体の大幅な接触をしてしまうと姉達でもさすがにもたないのだが。

 

 隙間から伸びてくる手が真に手にかけようと必死に伸ばしてくるのだが、クローゼットの扉を足で抑えており身体は幾分ではあるが離れていることで事なきを得てる状況だ。

 だがこのままの状況が続けば流石に真といえどももちそうにはなかった。


 隙間が開いてから何分経っただろうか。

 正確には五分少々ぐらいしかたってはいないのだが真にとってはそれ以上の長い時間に感じられていた。

 ギリギリなラインの一進一退な攻防が続く中、部屋のインターホンが鳴る。

 流石に真にとってこれはスルーできるものではない。


 「ちょっと姉さん。誰か来たから」


 「そんなものは聞こえませーん」


 真の言葉にすぐさま言ってきたのは次女の咲奈だった。

 どうやら来客は無視するようである。

 そして真もここにきてあることに気が付く。

 外部から助けを呼んだことに問題はない。今の状況でそれだけが真にとって希望の光なのだ。だがよくよく考えると真の住んでいるところはエントランスの所から鍵がかかっておりそれを解除するには部屋に備え付けてあるドワホンで操作するしか方法がないのだ。部屋の入口の鍵は姉達が入ってきたので閉める余裕がなかったので開いているはずである。エントランスの鍵をなんとかしない限り真には助かる道はない。

 しかし、この状況下でクローゼットの扉を開けようものなら真の未来は『死』しかない。

 八方ふさがりになってしまった真はついに考えるのを諦め人として最後の手段に出る。


 それは神頼みであった。


 空いている手を合わせ祈りを捧げる。

 そんなことをしてもどうすることもできないと分かっていながらもやらずにはいられなかった。


 しかし、そんな真の行動は無駄にはならなかった。頭の中に声が響いてくる。


 (なかなか面白いことになってるねー、真君)


 いつもはうざいと感じ邪険にするその言葉も今は反対の存在、まさに神の言葉そのものであった。

 真はすぐさまその声に縋りつくように声を返す。


 (面白いかもしれないけど俺は本当に困っているんです。お願いしますレイヤさん、助けてください。一生のお願いですから)


 (えーっ、どうしようかなー)


 (そこをなんとかお願いします。ご要望があればかなえられる範囲で何でもしますから)


 (うーん、しかたないなー。今回だけだよー。と言っても私は今忙しくて行けないから手助けするだけだよー)


 (マンションの鍵をなんとかしていただけるだけで大丈夫です。お願いします)


 (よし。お姉さんに任せなさい)


 レイヤからの声がなくなる。

 真としてはどうにかなっていることを信じたいのだがいかんせんクローゼットの中にいる以上外の状況など伺い知ることはできない。

 祈りながらその時を必死に耐えながら待つ真。


 すると微かであったが部屋の扉の開く音が聞こえたのを真は感じた。空耳であったかもしれなかったが違うことを次の瞬間わかることになる。


 「真のお姉さん達は何をしているんですか?」


 冷たくそして呆れを感じさせる声がクローゼットの扉の向こう側から聞こえてきた。

 その言葉に姉達は扉を開けるのを辞めゆっくりとした動きで後ろを振り向く。


 そこには仁王立ちをして現在の光景を眺めている蒼空がいたのだった。

 詩織達は固まっているようで真はその瞬間を逃すべく行動に移す。

 扉のつっかえ棒の役割をしていた雑誌を手早くよけるとクローゼットにしっかり蓋をかける。

 そして一息つくと扉の向こう側に聞き耳を立てる。


 「はぁー……。真のお姉さん達は本当に何をしているんですか?」


 蒼空のこの言葉がこの戦いの終了の合図になった。

お読みいただきありがとうございます。

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