第59話
「実は――」
心待ちにしている蒼空に真は話を切り出した。しかし、真としては蒼空に全部を話すことはしないと決めていた。話す内容は慧が知ってる事と同じぐらい、もしくはそれよりも情報量としては少ない程度だ。
内容としては
話した時間としては一〇分程であったが蒼空は何も言わず黙って聞いてくれた。
話し終えた真は一息つくと同時にあることを思い出す。慧達が近くにいる事を。すぐさま慧達のいた所に目を向ける、暗くて見づらかったがよく目を凝らして見るとそこには驚くべき光景がひろがっていた。
そこにはレイヤ以外の全員が倒れるように地面に横たわっていたのだ。正確に言えば地面に横たわってはいないのだが遠くて暗がりから見ている真にはそう見えたのだ。
その光景に真は流石に驚きを隠せなかった。何があったのかと駆けつけようとしたがすぐさまレイヤからほうれんそうが来る。
(こっちは大丈夫だよー。皆には気を失ってもらっているだけだからね。どうぞごゆっくりー)
レイヤの言葉はあまりにもフランクすぎて真はすぐにには付いていけなかった。気を失ってもらっているとかそんな簡単に言う言葉ではないだろうと思いながらもすぐさま、まあレイヤならありえるかと考えを改めた。
そして意識を蒼空の方に傾ける。すると、蒼空から真に対して疑問が投げかけられる。
「何でそんな事になったの?」
話していないことで一番もっともな事を聞いてきた。その言葉は真にとっても予想していたのだがどう答えるかは纏まっていなかった。
考える真。必死に考える真。悩み、悩み抜いた答えは……
「ごめん、それは答えられないんだ……」
と、ありきたりな答えで収まってしまった。まあ、どのみち女神から訳のわからん理由で授かったと言っても信じる事はないだろう。
蒼空は真の答えには納得してない表情を見せていたのだが、真としても答える気は無かったのでそのまま沈黙の時間が過ぎていく。
だが、その沈黙は蒼空のありえない言葉によって破られる。
「真にお願いがあるんだけどいい?」
「お願いって何?」
「今掛けてる眼鏡を取って私を…………見て」
「は!?」
「眼鏡を取って私を見て」
「……………………」
真は完全に言葉を失っていた。蒼空が何を言っているのかすぐには理解できなく混乱もした。そして、理解をして考えてみても言っている意味がわからなかった。
蒼空は真が恐怖症であることも、新たに顕著した病気?らしきものについても先程話を聞いて理解もしていた。だが、蒼空にはそれが信じられなかった。
蒼空は基本的には現実主義者で自分が見るまでは信じない人間であった。自分がその目で確認をし、納得する。それが出来ないうちは信じようとはしない。
この蒼空の考え方を知っているのは梓だけであり、知らない真にとっては蒼空の言葉は突拍子もないことであろう。
「い、いきなり、何を言っているの蒼空。そんな事出来るわけないだろ。そんな事をしたって青お空に迷惑が掛かるし、それに俺にだって…………」
「…………」
しかし、真が言っても何も蒼空は答えない。だが、その表情は真剣さの中にも期待が込められているような感じでもあった。
真としてはそんな事は断固としてやるつもりはないを思っていたところに横から余計な邪魔が入る。
(別にそれぐらいならいいんじゃないの? それに私も目の前で見た事ないしみてみたいなー)
(馬鹿じゃねえのか、おまえ!! そんな事おまえに言われたからってやるわけないだろ!)
(えっーー。そんなこと言わないでやってみてよー。何かあったら私が何とかしてあげるからさぁ)
(そういう問題ではないだろうが!!)
(けど、真君の心の中では何かあったときの事しか考えていないよー)
(…………)
レイヤの言葉の通り真は今蒼空の言葉のとおりの事を実行したときの後しか考えていなかった。その事をピンポイントに言われてしまい押し黙る真。
(大丈夫だって! お姉さんに任せなさいって)
レイヤの能力はわかっている。実際に今目の前で披露されているので疑う余地はない。
真が考えているのはレイヤの性格的な問題の方だ。面白がってやりすぎてしまうのを危惧しているのだ。そんな考えもレイヤには筒抜けだったようで
(私ってそんなに信用ないかな? やるときはしっかりとやるよー。神様なんだから嘘はつきませーん)
(そんな軽そうに話していたら信用なんて出来るわけないだろ)
(そお? そんな事ないのに残念だなー)
(どうするかは俺が決めるから、もう黙っててくれ)
(はーい)
それから真は全ての音や情報をシャットアウトするため目を閉じ集中する。
五分ほど経ったであろうか……
蒼空は微動だにせず真の答えを待っていた。
そして真の出した答えは…………。
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