表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
実家への帰郷
60/127

第57話

 真は今この状況をどうしていいのかわからないでいた。単純に心配してくれているのであれば問題はない。だが蒼空の何時もとは違う表情であんな言葉を言われれば仕方のないことであろう。しかしこれは真にだけであって世間一般的には割りとわかりやすい事ではある。

 こればかりは今までにそのような経験を全て体験してこなかった付けみたいなものであろう。


 「迷惑だった?」


 どのように対応していいのか頭の中で右往左往しているところに再度真の頭を混乱させる一言が掛けられる。

 

 「……いや……迷惑ではないけど……」


 とりあえず真はそれだけを言うと押し黙まり蒼空から顔を背けるように後ろを向いてしまう。

 蒼空のほうもその後何も話しかけてくることも無く無言の時が流れていく。


 しかし、そんな時間も長くは続かなかった。


 風により木々の揺れる音しか聞こえてこなかった音の中に歩く音がしたのだ。その音に敏感に反応した真はすぐに蒼空の方に向き直る。

 真が振り返り蒼空の方を向くとそこには少しずつではあるが近づいてきてる蒼空がいた。最初の状態では四メートルぐらいは空いていたのだがその距離は徐々に縮まってきていた。

 咄嗟に、とういか条件反射で真は縮められた分だけ距離を空けようと後ろに下がったのだがそれは悪手であった。

 今まで寄りかかっていた木が後ろにありすぐに真の後ずさりは出来なくなってしまう。

 

 普段の真であれば突っかかったしても得意の身体能力ですぐに対応してしまうのであるがいかんせん状況が悪かった。

 唯でさえ混乱している所に追い討ちをかけるかのように蒼空の接近。頭が状況の変化についていっていなかったのだ。


 真は背中を木に預けたまま蒼空が近づいてくるのを見ているしか出来なかった。


 彼我の距離が一メートルを切りそうなところで真はどうすることも出来ず目を瞑ってしまう。この後の展開を予測してなのだろう、真の身体は傍から見ても分かるくらい身体を震わせている。

 しかし、真が思っていた未来は訪れる事は無かった。何時までたっても蒼空が近くに来る事はなかった。


 恐る恐る真は閉じていた目を開けると蒼空は目の前、と言っても一メートルは切っているのだがそんな距離のところで蒼空が止まっていた。


 身体の震えは未だに治まってはいないのだがどうしていいかわからず真は蒼空を見つめるしか出来なかった。その時の蒼空の顔は既に何時もの顔に戻っているようだった。若干心配している面持ちではあるが。


 「顔色は大丈夫そう……」


 蒼空は真の顔を覗き込むように見て、それだけを言うと少し距離を空ける。距離を空けたことにより真の身体の震えも治まり多少は気持ちも落ち着いてきていた。そしてすぐに蒼空の言葉を頭の中で反芻する。


 「……本当に心配してくれていたんだね。俺はてっきり……」


 「さっきそう言った。それでてっきり……何?」


 「い、いや。気にしなくていいよ。大した事ではないから」


 「…………そう。わかった」


 どう見ても納得はしていなさそうな表情をしていた蒼空であったが追求が無かったので真は内心ホッとしていたと同時に恥ずかしさや罪悪感も感じていた。


 真としては零距離まで近づかれ意識を失う事も覚悟はしていた。それは真の杞憂であり考えすぎであった事に恥、尚且つ蒼空の事を今までの女性と一緒くたに考えてしまった事に恥じているのだ。


 「…………ごめん」


 「何か言った?」


 「いや、何にも……」


 呟くように真は蒼空に謝る。それは真の口から咄嗟にでた純粋な気持ちであったのだろう。不思議そうに真の事を見ている蒼空は首を傾げて真の事を見ているだけであった。

 

 「心配してくれてありがとう。けど、もう大丈夫だから皆のところに行っていいよ」


 笑顔で真は蒼空を促すのだが


 「真はどうするの?」


 「俺はさっき見てたと思うけどあんな状況だからね入口のところまで戻って皆の帰りを待っているよ。それに、ほら」


 真は蒼空の後ろの方へ指を指す。そこには皆のところに行っていた慧がこちらに向かって走ってきていた。


 「大丈夫か? 真」


 二人の傍に来るなり真の事を心配して声をかけてくる慧。そこには真の事を純粋に心配している様子しか伺えなかった。


 「ああ。結構落ち着いたよ。それで皆には事情は伝えてきたんだろ。皆なんて言ってた?」


 「そっか、それは良かった。一応説明して納得はしてもらったよ。皆先に行ってるってさ。それで真はどうするんだ?」


 「俺は入口まで戻って皆が帰ってくるの待ってるよ」


 「そっか、わかったわ。じゃあ俺は皆の所に戻るわ」


 そう言うと慧は踵を返し戻ろうとするのだが真はすぐに慧を呼び止める。


 「ちょっと待てよ。なに一人で戻ろうとしてるのよ。はやく蒼空も連れて行けよ」


 慧は立ち止まり一瞬後ろを振り向いたと思ったらすぐに元に戻ってしまう。その時真は見てしまう。慧の邪な笑みを。


 「ごゆっくりー」


 慧はそれだけ言うと足早に戻っていってしまった。すぐに真も声を掛けるが慧は振り返ることも無くそのまま居なくなってしまう。


 真はすぐに慧を追いかけようとするのだがそれは蒼空の言葉により制止されてしまう。


 「待って、真」


 蒼空の言葉に追いかけようとした足を止め蒼空の方を見る。そこには申し訳なさそうにしている蒼空がいた。そして思い出す。慧の邪な笑みを。全ての事を頭の中で整理した瞬間真は思う。


 嵌められたのだと!!


 すぐに真は怒りのメーターが上がっていくのだがこうなってはどうすることも出来ないとすぐ悟ってしまう。

 追いかけたとしても人ごみまで行ける訳でもないので真に選択肢は無かった。一つ溜息を吐くと空を見上げる。そこには澄み渡る夜空しかない。


 「蒼空はこれで・・・いいのかい?」


 呟くように真は蒼空に聞く。そこには諦めの声色しかない。真の中でも答えは予測しているのであろう。

 蒼空は頷いて肯定をしていた。それを見た真は再度溜息を吐く事になる。


 「………………そっか。それでこれからどうするわけ?」


 「聞きたい事がある」


 「聞きたい事?」


 「そう」


 「何を聞きたいの?」


 「………………………………真の眼の事」


 蒼空の言葉に瞬時に反応し、蒼空の顔を驚愕の表情で見つめる真。驚かずにはいられないであろう。

 真の眼の事を知っているのはごく僅かだ。そんな情報を知っているのだから驚くのは当たり前だ。


 「……なっ!? なんでその事を知っているんだ?」


 真はあまりの驚きにどもってしまうのであった。

お読みいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ