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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
実家への帰郷
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第56話

 真と慧は蒼空の姿を確認してからと言うもの一言も発せず、且つ動けないでいた。

 二人共その場に立ち尽くしてしまい何も出来ないでいると


 「真は大丈夫?」


 蒼空の言葉に二人はようやく動きを取り戻す。

 すぐに反応したのは体調のよろしくない真ではなく慧のほうであった。


 「ま、まあ……あんまり大丈夫ではないけど……それより蒼空ちゃん何時からいたの?」


 「少し前からだけど」


 「そっか。それより蒼空ちゃんにお願いしていいかな? 見ての通りあんまり真の体調が思わしくないから皆に先に行っててって伝えてきてもらえない」


 「…………………………」


 二つ返事で伝えに言ってもらえると思っていた慧は何も答えず立っている蒼空に首を傾げてしまう。その後ろで顔色が若干悪そうにしている真も首を傾げていた。

 そして、蒼空は何もする事も無くその場に佇んでいる。


 「ど、どうしたの蒼空……ちゃん」


 慧が問いかけたのと同時ぐらいに蒼空が慧のほうへ歩いてきた。流石に慧もその行動には困惑の色が隠せないようで目を白黒させている。

 蒼空はそんな慧の様子等気にも留めずどんどんと近寄ってくる。

 そしてそのまま慧の横を通り抜け真のほうへ歩みを進めていった。


 慧も真も蒼空の行動を見つめるだけで何もする事はなく、茫然と見つめている。

 だが流石にかなりの距離まで近づいてきた蒼空に対して真は見つめているだけの事を止め、辛い身体に鞭を打って何とか体勢を蒼空の方に向けると掌を広げ蒼空の方に向けこれ以上来ないでくれとジェスチャーで拒否の構えを示す。


 それには流石に蒼空も理解したようで歩みを止め真の方を見つめている。

 真は蒼空の様子を気にかけることなくまずはホッと胸を撫で下ろす。そしてそのまま真は再度木に寄りかかるように倒れていく。

 それを見て呆気に取られていた慧もようやく自分を取り戻しすぐに真の方へ駆け寄っていく。


 「いきなり何してるの蒼空ちゃん!!」


 真の様子を見て問題ないと理解した慧は振り返ると慧には珍しく声を荒げて蒼空に問い詰めるため近づいていった。

 慧の態度に流石の蒼空も驚きを隠せないようだ。その表情には多少の怯えも混ざっているように見受けられる。

 しかし、それもつかの間蒼空は表情を戻すと慧に向かって驚く言葉をはなってきた。


 「真の様子は私が見てるから慧は皆に伝えてきて」


 「はっ!?」

 「えっ!?」


 真と慧は二人揃って素っ頓狂な声を出してしまう。

 まあ、そうなってしまうのも仕方ない事であろう。蒼空の口から出た言葉はそれほど衝撃的な言葉であったのだから。

 二人はどうしていいのかわからなくなってしまい表情も変えず微動だにしない。


 「お願い……慧」


 蒼空はそれなりの感情の篭った言葉と表情で慧に訴えてきた。

 慧は蒼空の表情を見た瞬間真剣な顔つきになり蒼空と見詰め合っている。真のの方も蒼空の言葉から自分を取り戻す事には成功したのだがあ、蒼空の顔は慧の方に向いているため表情を窺い知る事は出来ないでいた。

 真は真剣な表情で考え込んでいる慧を見つめる事しかできないでいた。もちろん心の内では断ってくれと思っていたのは違いないのだが。


 だがそんな真の思いは慧の一言により霧散してしまう。


 「わかった。じゃあ真の事よろしく頼むわ」


 慧はそれだけ言うと振り向きそのまま皆のほうへ歩いていこうとする。


 「ちょ、ちょっと待てよ慧!!」


 真の叫びは聞こえているはずなのだが慧は聞く耳持たずといった感じでそのまま歩いていってしまった。

 そんな慧の様子を真は茫然と見送る事しかできなかった。

 しかし、そんな茫然としたのもほんの数秒でしかない。


 慧が見えなくなったところで蒼空が真の方に振り向き歩みを進めてきたからである。流石にそれには真も蒼空の進んだ歩数分だけ後ずさりする。


 「大丈夫、真?」


 「………………」


 声をかけながらも近づいてくる蒼空と擦れにあわせて離れる真。真には蒼空の問い掛けに答える精神的な余裕は無かった。


 一分ほどそんなやり取りが続いていたのだが然しもの蒼空も諦めたようで近づくのを止め足を止める。

 それには真も心からホッとしたようで大きく息を吐き崩れるようにその場に座りだす。


 その様子を見た蒼空はすぐに真に近づこうとしてきたのだが


 「ちょっと待ってくれ。蒼空は俺に何をしたいんだ? 俺を苦しめたいんなら迷惑だから向こうに行ってくれないか?」


 真は蒼空に対しては初めてであろう、底冷えがするような凍てつく冷たい声で突き放しにかかった。表情もそれに伴い的を射抜くような矢のように尖った目付きで蒼空を睨みつけていた。


 しかし、そんな真の表情や声色は蒼空の言葉によって霧散してしまう。


 「真の事が心配だったから……」


 顔をほんのり朱に染めた蒼空の言葉に真は口を開けて見つめるしかなかった。

お読みいただきありがとうございます

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