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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
実家への帰郷
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第55話


 「やっーとついたねー」

 

 肌寒そうな感じで梓が全員に声をかけてきた。


 目的の場所まで歩く事一〇分少々。真の家の近くにある神社に到着した。

 この神社は真の住んでいるところ一帯の人達が来るような所であり、建物の大きさは小さくなく大きくなくといったところだ。

 

 周りを見渡せばそれなりに人が集まってきているようで大体の目算でも百人ぐらいはいそうな感じである。時間も後残り三十分少々で年越しと言う時間を考えればまだ少ないほうであるかもしれない。

 

 神社の入口にある鳥居の下で冬の肌寒い風を横から感じながら本殿のほうに目を向ければ拝殿にそれなりに列を作って並んでいる人達、もしくは参道に出ている夜店にで食べ物を買っている人達等さまざまの様である。


 そんな神社の様子を物珍しそうに眺めていた真に横にいた慧が話しかけてくる。


 「なんか流れに任せてここまで来ちまったけど…………お前はどうするんだ? 流石にこんなに人がいたら並んだりなんて出来ないだろ?」


 「…………そうだな」


 男二人の会話からは重苦しい空気が流れるのが感じるようである。


 病気を発症してからというもの実のところ真は今まで大晦日や元日に神社に来ることは無かった。真は完全な無神論者ではないので絶対に来ないと言うわけではない。大晦日や元日に来ないというだけだ。ならばいつ行くのか。それは人があまり来ない一月の三日以降、世に言う三が日と呼ばれる日が過ぎてから来るのが通例となっていた。


 そんな真が物珍しいそうに見ていても仕方のないことであろう。

 そして、そんな真と同じように本殿の方を眺めている人物がいる。レイヤである。しかし真と決定的に違う点があった。それは真のように物珍しそうな感じではなく真剣な眼差しで時折満足そうに頷いていたり、または不機嫌そうに頬を膨らませたりと多彩な表情の変化を見せていた。


 「なんかレイヤの表情色々変わっておもしろーい。ねえねえ、どうしたのレイヤ?」

 

 レイヤの様子に気がついた梓が声をかけるが当のレイヤは真剣な表情になっており聞こえていないようだ。

 梓の言葉に全員がレイヤに注目する。そして梓の言葉を全員

すぐさま理解するのだがレイヤはそれでも気がつかない。


 「ねえ、レイヤってばー」


 梓は気がついてくれないレイヤに郷を煮やしたのか肩をつかみ揺さぶった。流石にそれにはレイヤも気がついたらしく目の前にいる梓に意識をむけた。そしてすぐにレイヤは注目されている事に気がつく。


 「どうしたの梓? それに皆も私のほう見て何かあったの?」


 「どうしたのじゃなくて! レイヤが色んな表情していて面白いからどうしたのかなって思って声かけたのに無視するんだもん」


 頬を膨らませ梓はレイヤに抗議する。多少なりは怒っているようである。

 それには流石にレイヤも少したじろいでいたのだがレイヤから答えを言ってくれる事は無かった。何度もしつこく迫る梓を言葉巧みにかわし、最終的に「そろそろ行きましょう」という言葉で梓の追撃を完全に振り切ったのであった。





 境内のほうへ進んでいく真達。時間も梓とレイヤのやり取りでそれなりに経っており気がつけば多数の人手で賑わっていた。

 そして人が多くなるにつれ顔を青くしている真が歩きながらも集団から離れ脇に逸れる。

 真に行動にすぐに気がついた慧が他のみんなに一言断りを入れるとすぐさま真の後を追っていく。

 

 「大丈夫か真?」


 参道を横道から少し奥に行ったところにある木の下で真は木に身体を預け身体を震わせていた。そんな真の後ろから慧が声をかける。真のほうも慧が来た事にたいして特に何もいわず体勢も変えないまま話し出す」


 「……流石に結構きついものがあるな。こんなになるのは久しぶりだし、それに眼の事も考えるとゾッとしてきたわ。皆には悪いけどこれ以上は俺には無理だわ。皆にもそう伝えてくれないか」


 「そうか……」


 顔が木に方に向いている性か少しくぐもった声で聴き取りづらいが慧にはちゃんと伝わっていたようだ。それにしてもこれほど弱気な声色になっているのは久しぶりだなと思う一方で慧は違う事も考えていた。

 それは、真がここまで来た事に対する驚きであった。今までの真ならば普段は絶対に来ることがない場所と状況。それが誰にも強要される事なくここまでは来た事に慧は真の心境の変化を感じ取っていた。


 「わかった」


 慧はそんな事は口に出さず真に言われた事を向こうで待っている皆に伝えようと後ろを振り向き歩みを進めようとしたのだが、振り向いた瞬間慧はフリーズしてしまい動かなくなってしまう。


 顔を埋めていた真も慧がこの場所から去っていかない事に対して疑問を持ちはじめていた。慧の足音が全くしない。身体の震えが一段落したのを感じ取った真も疑問の解決の為慧のほうへ振り向く。


 そして真も慧と同様に振り向いた瞬間フリーズしてしまう。





 真が降り向いた先。慧の更に向こう側には蒼空が二人を見つめていた。

お読みいただきありがとうございます

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