第52話
夜ご飯も食べ自分の実家に戻ってきた真。結局あの後も大道優樹話す機会は無くそのまま特にあるわけでもなく解散することになっていた。
もう時間も日付が変わるぐらいの時間まで経っていた。真としてはそろそろ寝ようかとベットに横になって思っているのだがそうもいかない。
なぜなら単純な話で隣の部屋が五月蝿いからだ。実のところ隣の部屋には四人もの女の子がいるのだ。いるのはもちろん蒼空、七海、梓、レイヤである。あの後結局七海と梓はなぜか帰ることは無く真の家に宿泊することになってしまったのだ。理由は簡単で帰ろうにも移動する手段が無かったからと言う理由だったりする。
そんな訳で隣の部屋は話し声等結構騒がしいことになっている。女三人寄れば姦しいとはよく言ったもんだ。
隣の喧騒でまだ寝れないと覚った真は思考に集中することにする。もちろん先程出会った大道優樹の事についてだ。
意味ありげな言葉を残して去っていった事について考えようと色々と考えを巡らせてみるのだがどうも纏まりがつかないでいた。
『時が来れば分かる』という言葉は真にはどうも嫌な予感がする以外感じる事が出来ない。一番手っ取り早い方法としては大道優樹の息子である優志に聞いてみる事が一番早そうに見えるが真は優志を苦手としている事は否めないところである。だが答えを知りたいと言う欲求は真の中で大部分を占めているのも事実ではある。
真が頭を悩ませているところふと部屋のドワがノックされる音が聞こえてきた。真は思考を一時中断して音の発信源のほうに声をかける。
「……誰?」
「私だけど……。話したい事があるから入れてほしい」
ドワの向こうから聞こえてきた声は蒼空のものであった。真はベットから飛び起きるとすぐに立ち上がる。しかし真はすぐに自分の行動に疑問を持つ。なぜすぐに立ち上がったのか、立ち上がった後何をしようとしたのか、と。
真はベットに座りなおすとドワ向こうにいる蒼空に声をかける。
「話したい事? それは今じゃないと駄目な事なのかな?」
「うん。駄目」
「それはこのままの状態で話しても駄目なの?」
「……うん」
「…………」
真はそれ以上は聞くことは出来なかった。なぜなら蒼空の言葉からは普段とは違う意思が宿っているように聞こえてきていたからだ。
真はまたもや思考をぐるぐると巡らせる事になってしまう。そして真がまだ考えが纏まっていないのに蒼空のほうはすぐに答えを求めてきた。
「駄目?」
真は考えが完全に纏まってないが蒼空なら危険がないだろうと判断をし、蒼空を部屋に招き入れる事にした。
ドワの鍵を開けてすぐにドワからすぐに距離を取る。そしてぶっきらぼうな感じで「はいっていいよ」と伝える。その言葉を聞いて蒼空がドワをあけて部屋に入ってくる。
真は部屋に入ってきた蒼空の姿を見て一瞬息が止まってしまう。蒼空の格好は数時間前に見た姿とは打って変わってピンク色のロングワンピだった。
流石に目のやり場に困ってしまった真は視線を右往左往してしまっていた。
蒼空は真のそんな様子等どこ吹く風のようでそのまま床に座ってしまう。
そして蒼空は真の方を見つめるばかりで何も話さなくなってしまう。真としては一刻も早くこの状況を何とかしたいところだが用があるのは蒼空の方なのでそれが終わるまでどうすることも出来ない。真は打開するため話を振る事にした。
「は、話したいことってな、な、何なのかな?」
蒼空を見て話すことが出来ない真は言葉までまともではなくなってしまったようだ。顔に真っ赤にして言葉はかなり突っかかっていた。
「真はお姉さん達の事をどう思っているの?」
「…………はっ!?」
「どう思っているの?」
キョロキョロしていた真の目は蒼空を真っ直ぐ見つめていた。真には何でそんな事を聞いてきたのかは全く分からなかったが意外な質問が来たことで思考はニュートラルに近い状態になった。それにより素直に答える事が出来た。
「どう思ってるって…………姉は姉じゃないかな。特に特別な感情があるわけじゃないし、それにあんな感じだからむしろ迷惑だとは思っているけど。それがどうかしたの?」
「…………そう」
蒼空はそれだけ言うと立ち上がりドワのほうへ歩き始める。
「どこに行くの?」
「用事は済んだから帰る」
それだけ言うと蒼空は部屋から出て行ってしまった。
部屋に響いたドワのしまる音と蒼空の言葉だけが真の頭に響いておりそれ以上は考える事はできなかった。
その時の真の顔を鳩が豆鉄砲をくらったと表現するに相応しい顔であった。
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