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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
実家への帰郷
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第49話

 真の姉の二人を呼んで十分ぐらいは経ったであろうか……。

 真の以外は和気藹々と会話に興じていた。その間真は一人その場所から少し離れ窓際から外を眺めていた。何一つ喋ることなく外を。


 そんな感じで各々が時間を過ごしていたところに玄関のほうから微かにドワが開く音、その音を感じ取れた瞬間と同時で慌しい足音が聞こえてきた。

 誰もが予想できる状況に真と咲奈以外は苦笑いをしていた。

 そんな状況を一瞬で吹き飛ばすような勢いで玄関と居間を繋いでいる廊下の扉が開けられる。もちろん扉を開けたのは真の姉二人、詩織と彩子だ。


 開けるや否や二人は首を左右に巡らし何かを探しているようだ。もちろんその探し物は真に他ならない。そして二人は真の姿を捉えるとすぐに真の元へ飛び掛らん勢いでめがけて行く。それはさながら空腹の肉食獣が獲物を見つけたときを彷彿されるが如くの勢いである。

 

 「まことー。来てくれるんなら事前に連絡してくれたら休んだのにー」

 

 そお言葉を発しながら真にめがけて行く詩織。彩子もその詩織の後ろにピッタリとついてくる。しかしその突撃は止められてしまう。止めたのはもう一人の姉である咲奈であった。


 「ちょっと二人共落ち着いて。そして少しは周りを見て」


 真に対して残り一メートルあるかないか位のところで咲奈に言われ動きを止める二人。まあそのまま突っ込んだとしてもいつの間にか真の前に陣取っている慧に止められたのではあるが。

 二人は動きを止め周りを見渡す。そこには全員が完全に意思統一されたかのように苦笑いをしながら二人に視線を向けていた。

 それに気がついた二人は流石に恥ずかしかったのであろう罰の悪そうな顔で一言


 「……い、いらっしゃい……皆さん」


 「……い、いらっしゃい……ま……せ」


 詩織は何とか必死に作った笑顔、声色で凌いでいたが、彩子のほうは身体を震わしながら尚且つ消え入りそうな声で必死に羞恥に耐えていた。

 そして二人のその言葉を聞いた瞬間真以外の全員が笑い出すのであった。





 「面白いお姉さん達だねー」


 真にそう言ってきたのは梓である。満面な笑みで言ってきた梓に対して真は溜息を返すしかなかった。

 

 「それには同意する」


 梓の言葉に対して珍しく蒼空が同意をしてきた。七海も頷いて同意している。それを聞いた真は更なる溜息を吐くしかなかったのだった。


 因みに対象となっている真の姉達は現在この居間という空間にはいなかったりする。詩織と彩子は仕事着から着替えるために一旦自室へ行っており、咲奈も何かを取りに行くと言って自室に行ってしまったのだ。

 残されている六人……正確には真の姉達の実態を初めて見た梓、蒼空、レイヤが待っている間に各々真の姉に対して思っていることを言い合っていた。


 そんなかんなで過ごしていたところにどうやら三人が戻ってきたようだ。扉を開けて入ってきた三人に真と慧以外の全員が言葉を失っていた。

 なぜならなぜか三人はメイクをし、どう見ても余所行きの服だろうと思われる出で立ちで入ってきたからである。

 そんな中真は額に手を当て下を向き、慧は盛大に笑っていた。


 「なんか久しぶりに見た気がするわ。三人とも相変わらずのドレスアップですねー。というかなんか前よりもパワーアップしているようにも見えますけどね。それにしても普段は知らない人がいたらやらなかったはずなのにどうしたんですか?」


 「そ、それは……」


 慧の言葉に一番最初に反応した彩子が言いずらそうにしていたところに二番目に入ってきた詩織が彩子に言葉をさいぎるように被せてきた。


 「それは久しぶりに真に会ったんだもの、私達の気持ちが慧君は分からない訳ないと思うんだけど。……それに私達にも少し思うことがあってねー……」


 詩織の答えの最後の部分に対して首を傾げてしまう慧。真のほうも同様のようで何のことだか分かっていないようだ。


 「まあ、そこは気にしないで。とりあえず改めていらっしゃい皆さん」


 普通の男性であれば見惚れてしまうがごとき優雅な物腰で改めて代表して挨拶する詩織。それには梓が盛大に反応したようで三人を見る目がおかしな事になっていたのはここだけの話である。





 三人が合流してからそこからは完全に女子会の様相を呈してきていた。まあほとんどが梓ではあるのだが、どうも真の姉達に完全に懐いてしまった様である。それに七海やレイヤ、たまに蒼空が話しに加わる感じでこの場は盛り上がっていた。

 その輪から外れていた二人、真と慧は少し離れた所で二人で話し合っていた。


 「何か前よりも酷くなっているんじゃないか」


 「…………」


 「前だったらこんなことは無かったのにな。七海はまだしも蒼空ちゃんは一回だし、梓ちゃんに至っては初対面だぜ。逆に出てきたとき驚いたわ」


 「…………だよな」


 真は目を閉じ何かを思い出すように慧の言葉に対して呟く。


 「やっぱり会わなかったのが駄目なんじゃないのか。これじゃあお前が言っていた事より完全に逆効果になってるじゃねえか。これからどうするんだよ?」


 「それはこれからもう一度考え直すよ……」


 そう慧に言うと真は目を閉じかけていた眼鏡を外して天を仰ぐ。そして目を開けると見えるのは白い天井。真は色々な考えや思いを頭の中で巡らす。すると不意に……。


 (本当にいいお姉さん達だね。それに真君も)


 (…………)


 聞こえてきた声には反応を一切示さず、真は只管に天井を見ているだけなのであった

お読みいただきありがとうございます

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