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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
実家への帰郷
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第45話

 慧の母親から解放された真達はブラブラと当ても無く歩き出していた。

 実際のところ真達の地元を案内するなんて言っていたのだが完全にノープランだったりする。

 しかし一番先頭に立って歩いている慧の足取りを見る限りどうやら慧には目的地は決まっているように感じられる。

 

 「何処に向かって歩いているんだ慧?」


 「ちょっと行きたい場所があるんだよ。寄らせてもらっていいかな?」


 慧は聞いてきた真だけではなく蒼空とレイヤにも聞いてきた。

 蒼空とレイヤは頷いたのだが真だけはそのまま話を続ける。


 「行きたい場所? それって何処なのよ?」


 「……付いてくればわかるよ」


 慧はそれだけ言うとそれ以降は何を聞いても目的地の事だけは答えてくれないようになってしまう。何度か聞いたのだが答えてくれそうも無かったので真はそのまま黙って後に付いていくことにした。


 しばらく歩いていると真にも大体ではあるが何処に向かっていのか理解する。

 着いた場所は真が予想をしていた通り駅であった。駅はまさに地方の駅と言っても過言ではないくらい閑散としており人が賑わっている様子も無く響くのは駅の周りを走っている車の音がほとんどである。そんな駅の入口のところで慧は歩みを止め足を止めた。

 しかし場所には着いたが何をするのかは全くわからなかった。

 それは慧以外の誰しもが思っているようで真が聞く前にレイヤが慧に聞いたのだった。


 「慧君、こんな場所に来て何かあるの? まさか誰か来るの待ってたりしないよね~」


 「ま、まさか、そんんな、そんなことはないよ」


 レイヤの言葉に慧は驚いた表情を見せ、明らかに動揺もしていた。レイヤは慧に対して満面の笑みである。

 それを見ていた真は溜息をつきそうになった。


 (どうせ心を読んで全部知っているんだろうな)


 (あったり~)


 真の考えていたことに対してすぐに答えを出してくるレイヤ。

 それに対して再度溜息をつきそうになるが出さずに肩を落とすだけに留まる真。

 そしてすぐに考えを切り替える。『誰か』を待ってる……。レイヤの答えで慧はその誰かを迎える為に駅に来たのはわかったのだがいったい誰が来るのかは想像がつかなかった。

 その時、真はふと朝に慧の部屋に行ったことを思い出す。


 (そういえばあの時慧は誰かに電話していたな……)


 そんな事を思い出していると駅に一両編成の列車が止まった。列車から降りた人間はそこそこいるようで一時的にではあるが駅が多少の人で賑わう。そして改札口から見慣れた人物二人、こちらに手を振って近づいてきた。


 「おまたせ~」


 改札口を通ってでてきた見慣れた人物は七海と梓であった。特に梓は元気よく嬉しそうに駆け寄ってきており七海はその後ろをのんびりと歩いてこちらに合流してきた。

 合流した二人に最初に声をかけたのは蒼空だった。


 「何で来たの梓? それに七海も……」


 捉え方によっては来て欲しくない感じの言葉で二人に聞く蒼空。実際のところ七海はそう捉えたようで蒼空の言葉を聞くなり少し不機嫌そうな顔つきになる。

 だが梓は違うようでそのまま嬉しそうな笑顔で蒼空の聞いてきたことに応える。


 「何でって……列車に乗って来たんだよ。何を言ってるの蒼空は?」


 「そうじゃなくて……」


 珍しく蒼空が溜息をついた。周りの四人は全く噛み合っていない会話に声をあげて笑ってしまう。その様子を蒼空は迷惑そうに、梓はよくわかっていない感じで四人を見ていた。


 笑いが落ち着いてきたところで再度蒼空は七海と梓に視線を向けると話しかける。


 「ここには来ないんじゃなかったの七海? 来るとしてももっと後からだと思ってたけど……。それに梓は実家に帰るって言っていたはず」


 蒼空の言葉に真も頷き同意する。

 当初の予定では七海は誘ったのだが実家に顔を見せないと言う理由で直前で断っており、梓の方も同じ理由より当初から辞退していた。

 まあ断ったと言っても七海のほうは実家が真達のいる地元からそんなに離れておらずすぐに来れる距離だからもしかしたら後で合流するかもと言う話は聞いていたのだが、梓の地元は真達の方とは反対側でここに来るだけでも一苦労なはずだ。

 蒼空が疑問を持って聞くのはもっともなことであろう。

 

 真は聞いている蒼空から視線をふとレイヤの方に向けてみると、レイヤは慧の方を向いていたのでそのまま慧の方まで動かす。そこには面白そうに笑っている慧がいた。それを見て真は何となくであるが理解しそして思う。


(全部こいつが仕組んだってことか……)


(あったり~)


 真の考えに再度答えるレイヤ。いつの間にか真に視線を向けていたレイヤを睨むとすぐに思っていることを伝える。


 (いちいち俺の考えに答えなくていいんだよ。さっきの事といい知っているんだったらさっさと教えろよな)


 (いや~、なんか面白そうだったから)


 語尾の最後に「テヘッ」なんてつきそうな感じで返してきたことで真はついに溜息をついてしまうのだった。


 真とレイヤが思考で会話している中、蒼空の質問に対して七海と梓、それに慧も加わって説明をしていた。

 どうやら元々ここには来る予定であったことが発覚した。本当のところ梓のほうは実家には帰る予定はなく正月はのんびりと過ごす予定であったと言う。因みに去年も実家には帰っていないそうだ。七海は実家には帰ることには帰る予定であったのだが去年は帰っても暇を持て余していたらしくこちらも親に顔を見せたらすぐに来る予定をしていたらしい。しかしそこにいらぬ知恵を授けた慧のおかげでこんな感じで来ることになったという事だ。


 全部の説明を聞いた蒼空は最後はきつい視線で慧を睨んでおり、慧もそれに気圧されて尻込みをしていたのだった。





 「それで、これから何処行くの~?」


 全員が落ち着いてところで梓が七海以外四人に聞いてきた。

 梓の言葉に聞かれた四人は困った顔をしてしまう。素直に決まっていないことを梓と七海に伝えると七海は苦笑いをしたのだったが梓は違った。

 

 「じゃあ私は行ってみたいところがと言うか会いたい人がいるんだけどいいかな~?」


 「ん? 梓ちゃんは何処に行きたいのかな?」


 梓の言葉に慧が聞いたのだがそのやり取りに何かぎこちない感じがしたのを真は感じ取った。それと同時に嫌な予感が胸の底から湧き上がってきた。


 「うんとね……それは――」


 一度言葉を区切り梓は真の方に視線を向けると次の言葉を発した。

 それを聞いた真は顔面が蒼白になりすぐさま反論と言うか拒否の言葉を早口でまくし立てる。


 「いやいや、なんでそんな所に行きたいの? ほ、他にも行く場所は沢山あるんだから別に其処じゃなくてもいいんじゃない。そ、そうだ、あそこ行こう。あそこ……」


 しかし最後の方などは行く場所が思いつかなく言葉が続かなかった。そしてすぐさま梓から突っ込みがはいる。


 「あそこって何処~? 決まっていないんだったら行こうよ~」


 「そ、それは……」


 必死に今からいける場所を頭の中で探すのだがなかなか出てこない。

 真がそうこうしている内に梓の行きたいところにいく事が決まってしまう。


 全員がその場所に向かって歩く中真だけの足取りは重く、そしてそれと同じくらい気分も沈んでいたのであった。

お読みいただきありがとうございます

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