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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
実家への帰郷
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第42話

 真は目の前にある料理の数々を次々に口に入れていく。

 

 「どう? おいしい真?」


 「ああ……」


 料理の感想を聞いてきた咲に対してぶっきらぼうな態度で答える真。

 そんな真の態度とは裏腹に咲奈は嬉しそうだった。


 「咲奈姉のばっかり食べてないで私が作ったのも食べてよ真」


 「こっちにも真の好きな物もあるわよ」


 彩子も詩織も真に対して次々に料理を勧めてくる。

 大皿に盛られている料理を姉達は小皿に移すとそれをすぐに真に渡してくる状況だ。

 もちろん真には直接渡されることは無くしっかり真琴が経由して真に渡している。

 この状況が食事が始まってからかれこれ十分ぐらいは経っているのだが衰える気配はなさそうであった。

 実のところこれは結構落ち着いている状況であり食事する直前まではかなり酷いものであったのだ……。





 真の部屋の前での一時から三十分近く経った頃であろうか、部屋のベットでのんびりしていた真や隣の部屋で寛いでいた蒼空、レイヤ、慧の三人を真琴がご飯が出来たと呼びに来たのだ。

 真達はその言葉に従って其々部屋から出ると下の階にある居間に向かった。


 通常であれば食事をするスペースのようなものはあり普段であればそこで食事するのが神代家の日常であるのだが、今回は蒼空達三人がいることでそこのスペースでは全員が入ることは出来なかったので急遽居間で食事することになったのだ。


 居間の扉をあけ入るとそこにはかなりの量の料理と姉達がスタンバイしていた。何にスタンバイをしていたかと言うと誰が一番初めに真に食べてもらうかのスタンバイである。三姉妹それぞれが違う料理を作っており入ってきた真専用で別に料理を作りそれぞれが真を期待の篭った目で見つめていた。

 真は溜息を付きながらも自分専用の席に向かう。そして真は知らないのだなぜここまで姉達が期待の篭った目で見ているのかを。


 今回の料理を作った姉達三人は真が住んでいる当時は料理のりの字も知らないほど家庭的な事はできない人間であった。なぜならばそんな事をしている暇があるのなら真との時間に使いたいって言うのが三人の言い分である。

 しかし、真が大学に行くと同時に家からも居なくなってしまい、時間を持て余すようになってしまった三姉妹はその時間を料理などの家庭的な事の時間に当てていったのだ。

 元々、三姉妹とも運動神経や知力等はそこそこの物を持っておりそれなりに何でもこなせる人間であった。

 唯一の欠点としては視野の狭さぐらいだったので伸び白としてはかなりのものがあったのだが、いかんせん何でもこなせてしまうが故に当初は軽く流すような感じでやっていた。

 それを見かねた母親の一言により恐ろしいぐらいまでに上達をしたのだ。

 もちろんその一言とは真を餌にした言葉を言ったのは想像が簡単に付く。その言葉に簡単に乗せられてしまう三人も三人だが真を出汁にしてしまう真琴も真琴であろう。

 それからは半年も経たない内にものすごい勢いで上達していったのであった。

 

 そして今日という日、真に自分達が作った料理を食べてもらえる機会なのだ。期待の篭った目で見るのも納得というところであろう。


 そこからが大変であった。


 誰が一番最初に真に食べてもらうか、それを巡って軽く喧嘩を始めたのだ。もちろん殴り合いの喧嘩ではなく口喧嘩なのだが。

 初めのころは穏やかに話し合いをしながら順番を決めようとしていたのだが、もちろんそれぞれが譲るつもりは無かった。

 普段であれば喧嘩をしたとしても最終的に丸く収まるところであるが、事、真の事に関しては詩織も咲奈も彩子も譲るつもり等毛頭ないのである。

 途中からは真に選んでもらう話しが始まると真まで巻き込まれ、というか話の中心は真なので巻き込まれるという言い方もおかしいところではあるが、話が大きくなってきた。

 流石にこの状況を良しとしない真琴の一声により何とか納まりを見せたのだが流石に決着が付いていないので完全に収まることは無かった。

 

 最終的な妥協案として上げられたのが其々の料理を一番になるように一回ずつ食べていく案で纏まりがつき、完全な一番手を決めるのは年齢順と言うもっともらしいものでおちついた。

 これにはもちろん真琴の圧力が最終的に決めたと言うことはここだけの話である。





 出される料理を食べていく真であったが流石にお腹の方が限界に達しようとしていた。

 只今二周目が終わったところで、まだ後一周食べなければならない。

 

 そもそも姉達が作った料理は一つでお腹が一杯になるものばかりであった。もちろんどれもが真の好きなものには違いないのだが。

 姉達が真用に作ってきた料理は


 詩織が親子丼

 咲奈が海鮮チャーハン

 彩子がチーズリゾット


 図ったかのように和洋中がそろい踏みであった。

 これを順番に食べていくのは辛いものがある。

 実際、ちょっとずつ食べればそんなことにはならないのだが三姉妹は頑として全部食べてもらうことだけは譲らなかったのだ。

 そこだけは泣く泣く真も受け入れたのだが流石に一人前の量があるものを三つ食べれるほど真は大食いではない。

 

 残り一周分をなんとか真は気合を入れて乗り切ることに成功したのだが感想を心待ちにしている三姉妹の視線が今の真にとって迷惑この上なかった。

 実際のところおいしくなければ話しが早かったのだがどれもがすばらしいぐらい美味しく今までの中でどれもが一番になるほどのものであったのだ。

 答えの出せない真は最終的に「どれも美味しかったよ」と素直な気持ちを言ったのだがそれがまずかった。


 その答えで姉達が納得するはず無く今度は全員で食べている物を小分けにして与え始めたのだ。

 そして状況は最初の部分に繋がっていくのだ……。





 出された物を限界まで入っているお腹に入れることはほぼ無理無理に近かったのだったが小鳥の餌ぐらいの量を無理やり口に入れているそんな感じだ。


 そんな様子を初めてみた蒼空とレイヤは其々の受け取り方は違っていた。


 蒼空は茫然としており途中からは料理を食べる箸が完全に止まっていた。

 レイヤは蒼空とは違い笑いを堪えるのが必死な感じで顔を隠して震えていた。


 慧なんかはなれた感じで多少の笑いはあるものの、健司や真琴、詩織、咲奈、彩子なんかとも普通に会話しながら食べている。


 結局そのままの状況が三十分ほど続き真は解放されたのであった。





 「やべえ。お腹が痛え……」


 部屋に戻った真はお腹をさすりながらベットに飛び込み横になった。

 そのまま目を閉じて体を休めているところに突然部屋の扉がノックされる。


 「……はい」


 怪訝な表情で扉を見つめる真。しかしすぐには返事がこなかったので真は尋ねることにした。


 「だれー?」


 「……今大丈夫?」


 聞き覚えのある声に真は一つ息を吐くととりあえずベットから体を起こす。

 「大丈夫だけどどうしたの蒼空?」


 そう。部屋に来たのは蒼空であった。


お読みいただきありがとうございました

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