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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
実家への帰郷
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第40話

 真は気がつくとベットの上で寝ていたようだ。

 車の中でも寝ていたのにまた寝てしまうとはそれなりに疲れているようだ。

 意識が少し覚醒したところにふと傍から話し声が聞こえてくる。目を開けてとりあえずベットから上半身を起こし周りを確認すると目を疑いたくなるような光景がそこにあった。

 部屋の鍵は施錠していたはずなのに部屋の中に慧、蒼空、レイヤが真の部屋で寛いでいたのだ。あまりにも状況が掴めていない真は口を大きく開けたまま言葉が出てこないようだ。


 「やっと起きたか真。なかなか目が覚めないから勝手に部屋の物使わせてもらっているぞ。あと真琴さんから起きたら用事があるから一回下に降りてきなさいってさ」


 起きた真に慧が声をかけ、終わるとすぐに蒼空とレイヤと一緒に部屋にあるゲームを再びやり出してしまう。

 蒼空とレイヤも一緒になってゲームをしており特にレイヤのほうはかなり楽しそうである。

 その光景を真は茫然と眺めているだけであったが少しずつ意識が現実に追いついてきた。そしてすぐに頭に浮かんだのは慧に、もしくはこの部屋にいる全員に対して聞かなければならない事があるという事だ。 

 目を擦り意識を完全に覚醒させるとすぐさま真はゲームをやっている三人に語調を強くして声をかけた。


 「ちょ、ちょっといいか。とりあえず聞きたいことがあるんだけ……」


 真に言葉に三人はゲームを一時中断すると真のほうに揃って顔を向け真の言葉に耳を傾ける。

 しかし、すぐに続きを話そうとした真だったが一瞬たじろいでしまう。それはレイヤが本当に楽しんでいたのだろう、邪魔するなと言わんばかりのきつい目付きで見てきたからだ。

 何時もの真であればここで話せなくなってしまうような状況であったが真としても重要な事なので気圧される訳にはいかない。

 

 「何で三人はこの部屋にいるんだ? 確か俺はしっかり鍵を掛けた筈なんだけど……」


 本当のところはもっと強めに聞こうとしていたのだが気圧されたのは否めない。言葉の最後ほうは少し聞き取りづらい感じで尻つぼみになってしまった。

 真の言葉を聞き三人は顔を見合わせる。三人は苦笑いをしたと思ったらすぐに真の方を顔を向けると慧が真の質問に答える。


 「さっきも言ったと思うけど真琴さんがそれも含めての用事らしいから、詳しいことは真琴さんが話すって言ってたぞ。とりあえず起きたんならすぐに行った方がいいんじゃないか」


 「そうか……。そしたら行ってくるわ」


 慧の答えに少し落胆をしてしまった感じは否めないがそれもそうだと思い直し下に降りることにする真。

 ベットから起き上がるとそのまま部屋から出て行く為扉の前まで来ると真は鍵がしっかり掛かっていることをその場で確認した。

 疑問は沸き起こる一方であったが母親が教えてくれると言うことで疑問を持ちつつも扉を開け下へと降りていく。廊下に出るとそれなりに暗かったので部屋についているスイッチで廊下及び階段の電気を点ける。

 階段を下りていると途中に窓があるのだがかなり暗くなっているようでここでようやく現在の大まかな時間を知ることになる。


 下に降り居間に入る扉を開けるとそこには健司と真琴がテレビを見ているようで、二人仲良くソファーに寄り添うように座って見ていた。

 そしてどうやら真が居間に来た事に対して気がついていないようなので真はわざとらしくゴホンと咳き込むフリをして存在をアピールする。

 それにより真の存在に気がついたのか二人揃って真の方に顔を向けてきた。

 

 「やっと起きたのね真。何か言いたそうな顔をしてるけど先に母さんの話を先にさせてもらっていいかしら? とりあえずこっちに来て座りなさい」


 居間の入口に立ちっぱなしだった真を健司達の前にあるテーブルの向かい側に座るように言ってきた真琴。

 真はその言葉に従い健司達の向かい側にある椅子に座る。そして二人は寄り添うのをやめて姿勢を正すと真をしっかりと見つめてきた。


 「真の言おうとしてることはわかっているわ。部屋の事よね?」


 真琴の言葉にその通りだと肯定する為に首を縦に振る。

 真の様子を確認したその後すぐに話し始めたのは健司の方であった。


 「まず事前に一つ言っておくことがある。これから話す事については三人には話してはいないからお前も軽々しく話すことの無い様にな。まあそんな事言わなくても話す事は無いと思うが一応お前の安心の為に先に言っておく」


 真は父親の言葉を理解するのに一瞬思考が止まってしまいすぐに理解は出来なかったが数秒遅れて胸を撫で下ろす。

 真にとっての最大の不安を払拭された一方で真は内心驚きを隠せないでいた。

 なぜなら普段あまり喋ることが無い父親が率先して喋っているからだ。目の前に両親の二人が並んで話すとき決まって話していたのは真琴が全てと言ってもよい。真自身生まれてきてから今までの記憶の中でも健司が喋るのは無く、姉達が同じ状況になったとしても結果は変わらないだろう。

 そして話の続きを話すのもどうやら健司のようだ。


 「まず第一にお前の部屋の事についてだが……。お前の部屋の隣は前から客間だったのは知っているな?」


 「ああ……」

  

 真は肯定するために言葉と共に首を縦に振る。

 

 「そしてお前は大学に進学する時にこうも言っていたな。『家には帰るつもりはないから部屋は好きに使っていいよ』と」


 「……言ったなそんな事」


 真ははっきりと記憶している。元々姉達から逃げるために進学したようなものだ。どの道大学の受験が失敗した時でも家は出ようとしていたから覚悟と決心を込めて受験の前に二人に話したのだ。

記憶を思い出しながら健司の次の言葉に耳を傾ける。


 「だからお前の部屋と隣の客間を繋げて広くしようとしたんだが母さんがお前が大学卒業するまでは残しておこうと反対されてな。しかしすでに話は業者まで話が終っていて工事を取り掛かる目前だったんだ。仕方が無かったのでお前の部屋と隣の客間の間に扉をつけることで母さんに納得してもらった訳なんだが……。まあお前が帰ってこなければ何にも問題は無かったんだがこうして帰ってきてしまったからには話さなければならないと思ってな………………。先に謝っておく。すまなかった」


 健司は話していくたびに申し訳なさそうに顔になっていく。そして最後に真に対して頭を下げてきたのだ。

 真は部屋に扉が付いている事にも驚いたがそれ以上に健司がここまで申し訳なさそうにしていることの方が驚きだった。

 常日頃からそれなりに威厳に溢れ、普段から無口な事もあり冷たい印象を持っていた父親がこれほどまでに多くを話し頭を下げる。これがどれほどの衝撃かわかるところであろう。


 真は言葉を出せずどうしていいか困惑しているところに健司の横に座っている真琴から追加で驚きの事実を告げられる。


 「あともう一つ。こっちのほうは真にとっては朗報って言ってもいいのかしら。詩織と咲奈と彩子の三人はもうこの家に住んでいないからそんなに身構える事もないと思うわ。まあ真が家にいるから来ないって事ではないけど夜とかは前みたいに騒がしくなることはないわ」


 「……そうなの!? いや、だって車に一緒に乗ってきて一緒に降りたじゃん。そうしたら姉さん達は何処に住んでいるのさ?」


 真琴の言葉に驚き度合いを更に増すことになる真。言われてみればこんな居間で三人に知られてはいけないような話をしていることに今更ながらに気がつく。

 

 「家から歩いて五分も掛からない所に三人で住んでいるわよ」


 「そうなんだ……」


 さらっと真琴から答えを言われて呆れかえってしまう真。一応は親元から離れて暮らしてはいるのだが何か納得が真の中でいかなかった。

 まあ単純に思っているのは親元を離れるのであればもっと遠くに行けと言いたいだけなのだが……。

 家に居ない事に対しては多少の喜びはあるものの近いということに複雑な気分になってしまう。

 しかし、今はいなくても近くにいると言うことは実家に来るのもたやすいという事。真がいるのに来ないわけがない。だが現状は家に居る気配は無い。


 「それで姉さん達は今何処にいるの?」


 姉達の所在を確かめるべく二人に聞いてみることに。


 「今、あの娘達は晩御飯の食材を買出しに行っているわ。さっき出て行ったばかりだからまだ帰ってこないと思うわ」


 「そっか。とりあえず部屋に戻っているから晩御飯できたら呼んで」


 「わかったわ」


 そう言うと真は立ち上がり居間から出て行こうとする。が、何かを思い出したかの様に歩みを止め二人のほうへ振り返る。


 「そういえば。扉の場所って部屋の何処に造ったの?」


 「言ってなかったわね。あなたの部屋のクローゼットの中にあるわ。客間の方の扉は今本棚の後ろにあるから後で確認しておきなさい。それと扉には鍵は付いてないから隣の部屋に行って変な事しちゃ駄目よ」


 最後の言葉は真琴にとってからかうつもりで言った言葉であったのだが、その言葉に真は過敏に反応してしまう。


 「そんな事する訳ないだろ!!」


 声を荒げさっさと居間から出て行く真。居間からは二人の笑い声が聞こえてくるのであった。





 「おかえり。聞いてきたのか?」


 真は部屋に戻るなり慧からすぐに質問をぶつけられる。真はすぐに答えずベットまで行くと腰掛け、一つ溜息をつく。


 「聞いた………………。おっと確認しないと」


 そっけなく慧に聞かれたことに対して答えるとすぐさま真は思い出し、扉の場所を確認するため部屋のクローゼットの前に移動する。クローゼットの引き戸を開けて中を見るとそこには紛れも無く扉がついていた。

 開けようと扉を押してみるのだが開きそうにないので引いてみるとこれまた開かない。

 再度押してみたときに少し違和感を感じる。どうやら何かに引っかかっている感じだ。

 そんな事を考えていると不意に後ろから声がかけられる。


 「向こう側に本棚置いてあるから簡単には開かないぞ」


 いつの間にか後ろに来ていた慧から答えをもたらされる。

 真は扉を開けるのを諦めすぐさま隣の部屋に移動する。

 中に入ってみるとベット四つとテーブル、それにテレビがあるだけのシンプルな部屋で昔と殆ど変わっていない。唯一点を除いて。

 あからさまに不自然な感じで本棚が落ちており棚には父親の本であろうかぎっしりとつまっている。

かのように見えるが実はそうではないことに気がつく。

 本棚にある本は傍から見ればケース付きの本が並んでいるように見えるが手にとって見るとその殆どが中身が無かった。何冊かはケースに入っているものもあるのだが半分以上は空ケースが並んでいるだけだった。

 真は本棚を動くのか確認するべく本棚に手を掛け動かそうと力を入れる。

 するとそれなりに力を入れれば動くことがわかった。少し動かして後ろを確認すると先程部屋で見た扉と同じ扉が目に入ってくる。

 何も言わず真はすぐに本棚を元に戻しすぐさま自分の部屋に駆け足で戻る。


 部屋に入るとすぐにゲームをやっている三人に真は言った。


 「向こうの部屋に戻れー!!」


 真の部屋に真の大声がこだますのであった。

お読みいただきありがとうございます

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