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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
実家への帰郷
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第38話

少し短めになっております

 車の助手席に座っている真の顔は明らかに不機嫌な顔をしていた。

 

 12月の年越し前の最後の日曜日、真は実家に帰るため迎えに来た車に乗っているところなのだが、なぜ真が不機嫌になっているのかは今の状況に他ならない。

 車は真の事を迎えに来た父親の車なのだが一緒に乗っている人物達に不満を持っているのだ。

 真の家族構成は父親と母親、それに3姉妹と真いう感じなので迎えに来た車はその家族構成に合わせてそれなりに大きい車であり最大で8人は乗ることが可能なのだ。

 そして、その車の中には現在、運転席に真の父親である健司、助手席に真、後ろの席には順に慧、蒼空、レイヤが座っておりここまでは以前に話していた通り同行するのは納得していた。

 問題は一列目より後ろにある二列目の席に座っている人達に不満があるのだった。

 その二列目に座っているのが真にとっては最悪な相性である三人の姉達が座っていたのだ。

 真は車に乗ってから何度目になるかわからない溜息を吐くしかなかった。


 なぜこのような状況になってしまったのかは単純に真のミスだといえよう。

 真は事前に父親の予定をしっかりと確認をして休みの日を選んだわけだったのだが姉達の予定は聞いていなかったのである。

 まさか父親の休みに姉達が仕事が休みだったのは予定にはないことだったのだが、事実は実際とは違っていた。

 

 実は姉達は本当は今日は長女の詩織だけが仕事が休みだった。

 しかし事前に連絡をしていたことが拙かったところだった。真が帰ってくるという話題は神代家の食事の団欒の時に話されないわけがない。

 真の大学の学園祭から帰ってきてすぐに嬉しそうのその場で話す真琴の話しに姉達三人は狂喜乱舞していた。

 だが何時帰ってくるのかはその日はわからず姉達は悶々とした日々を過ごすことになるのだが十二月に入り真から連絡が来たときはプレゼントを心待ちにしている子供となんら変わらなかった。

 しかし真の帰ってくる日にちを聞いたときそのその態度は二種類に別れた。

 仕事の休みと被っていた詩織とその日が仕事であった咲奈と彩子の二人だ。嬉しそうな笑顔を見せる詩織とは対照的に今にも泣きそうな咲奈と彩子。

 普通に考えればここで諦めるのが通常なのだが真に対する歪んだ愛情は時として恐ろしいことを言い出す。

 なんと二人はその場ですぐに会社を辞めると言い出したのだ。流石にそれは許容できることではない健司と真琴はその日は夜の時間を一杯使って説得を試みたのだ。実際のところは説得と言うより説教に近いものがあったのだが、それが功を奏すことになる。

 その場は何とか落ち着かせることにした健司と真琴は解決策を次の日に二人に提案する。

 それは単純な話だ。その日が休みでないのであれば休みにしてもらえばいいという事を二人に話してあげる。

 その言葉を二人は聞くや否やすぐに会社に向かい咲奈が代休を、彩子が他の人に休みを代わってもらい真が帰ってくる日を万全にしたのだ。

 流石にその行動の速さは健司と真琴はその事をその日の食事のときに聞いたときは苦笑いを浮かべるしかなかった。


 そんな裏事情があるとは知らない真は一言も発することも無く黙ったまま助手席に深く座り関わることがないようにするしかなかった。

 健司も淡々と自宅への道を一言も発することも無く黙々と運転している。

 後ろの席に座ってる六人は違っており楽しそうに会話をしていた。特に話しているのは蒼空を除く五人だ。

 慧と詩織、咲奈、彩子は昔からの顔なじみだからまだわかるのだがそこにレイヤが自然に入っておりあまり違和感がないのが凄いところだろう。

 話に興味がない真は少し後ろに意識を向けた後そのまま深い眠りに入っていくのであった。





 後ろの座席に座っている六人は話しに花を咲かせている。

 主に話しているのは慧、レイヤ、詩織、咲奈、彩子で蒼空は座っている場所の為話に強制的に加わっている感じは否めなくはない。

 話の話題も殆どが真に関しての話ばかりだ。

 話の舵を取っているのは慧がほぼと言って過言ではない。それをレイヤ、詩織、咲奈、彩子が真剣に聞いているような状態だ。

 話の内容としては真がどんな感じで学校生活を送っているのかという事が主として話されており、それに付け加えて蒼空やレイヤ、ここには居ない七海、梓の関係なども話されている。

 姉達三人が一番気がかりなのは今この場に居る蒼空とレイヤ二人と真の関係の事がかなり気になっているらしくその話になると席から身を乗り出すような形で蒼空とレイヤの二人に色々な質問を投げかけていた。

 特に一番質問してきているのは詩織であった。これは単純に年齢的な序列でそうなっているのであろう。

 

 「それにしても二人共すごく綺麗だよねー。二人共そう思わない?」


 話の区切りが少し付いたところで詩織は横に居る妹二人に同意を求めるような口調で話しかけている。

 まあ同意を求めなくて咲奈と彩子は思っていることは同じだ。

 すぐに二人は詩織の言葉に同意するように頷いている。


 「そりゃあそうでしょう。なんてたって去年と今年のミス双葉なんだから」


 慧は嬉しそうに真の姉妹達に補足説明を入れてあげる。その嬉しがり様はまるで自分のようにも感じることが出来そうなぐらいだ。

 初出の情報だったらしく三人は慧の説明にすごく驚いているようだ。

 レイヤは三人の表情を見てなぜかドヤ顔になっている。蒼空のほうは特に何をするということはなく前を見つめ一応は話に耳を傾けていた。


 「そんなに驚くことはないんじゃない。あなた達だってなかなかなものよ」


 どう考えても上から目線の言葉遣いでレイヤは三人にそんな事を言う。流石にそれには慧も驚愕な表情でレイヤを見ていた。

 そして慧はゆっくりと三人のほうに顔を向けるがどうやら大丈夫なようだ。

 レイヤの言葉をまんざらでもないようで少しテレ気味に笑っている。


 実際のところ真の姉達三人の容姿としては蒼空やレイヤに対しても劣るものはそんなに多くないであろう。

 性格を抜かして容姿だけで言えば大方の意見を求めれば十人中八人ぐらいは綺麗と言われてもおかしくない容姿をしている。

 まあこれは真琴の恩恵によるものが殆どであろう。それに運転をしている健司も容姿としては悪くはないので三人の容姿には納得がいくのも頷ける。

 ただしこれに性格が加わるとそうでもないのが残念なところではあるが……。


 閑話休題


 レイヤに褒められて? 嬉しそうにしている三人を尻目に蒼空は只管に前を向いていた。正確に言うならば見ているのは真だった。

 真はどうやらそれなりに深く眠っているらしく話し声の間から微かな寝息が聞こえてきていた。

 自分の意思とは無関係に微かな笑顔を浮かべ真の見つめる蒼空。

 何時しか蒼空はいつも真を目で追うようになっていた。皆で集まっている時も特に話をするのではなく目で姿を追いかけるだけ。

 そんな事をしていて勘の鋭い慧や七海が気づかない訳がないのだがそこは蒼空たる所以なのであろう。表情や感情の少なさがそれをうまく隠しているのであった。


 そんな蒼空の密かな楽しみをしている時に咲奈が蒼空に声をかけてきた。


 「蒼空ちゃんだっけ? 何してるの?」


 「別に……。前を見てただけ」

 

 声を掛けてきた咲奈に一瞬顔を向けるもののすぐに前に向きなおす蒼空。

 蒼空のそっけない態度に興味がなくなったのかそれ以上は咲奈は声をかけてくることは無かったのだが、咲奈の中では違っているようだ。

 睨むような視線を蒼空に送り警戒心を露にしている。しかし前を向いている蒼空にはそれに気が付くことは無かったのであった。

 

 蒼空にそんな視線を送っていることに気が付いた彩子が咲奈に話しかける。


 「どうしたの咲奈ちゃん? 何か目が怖いよ……」


 「んっ……。なんでもないよ彩子。ちょっとだけ気になることがあっただけだから気にしないで」


 「ならいいけど……」


 彩子に言われてすぐに何時もの表情に戻った咲奈はその後も何も無かったかのように会話をしていく。だがしかし視線はそれ以降はほぼ蒼空に向けられたままなのであった。





 どれくらいの間眠っていたのであろう。

 隣から声を掛けられ真は目を覚ます。

 

 「……こと。……真。真起きろ。そろそろ着くぞ」


 父親の声に起こされ目を開ける真。

 目の前には一面の銀世界が広がっていた。


 真の実家がある地域はそれなりに雪が降りどちらかと言えば豪雪地帯の部類に入る。

 真一家やこちらに実家がある慧は幼少の頃より見慣れた光景だったので驚くことは無かったが初めてきた蒼空とレイヤはあまりの雪の多さに驚いているようだ。


 大学に入学してから初めての帰郷になるわけだが真にとっては何も感慨深いものは沸き起こることはなく車はその後何事も無く真の家に向かうのである。

お読みいただきありがとうございます

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