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閑幕2

遅くなりました!!

 何時からだっただろうか……。


 子供には沢山恵まれ四人もいる。三人続けて女の子が生まれた時は嬉しくもあり悲しくもあった。

本当の望みは男の子が欲しかったからだ。夫も私のその事を理解していてくれたようで四人目は待望の男の子が生まれた。

 私はあまりの嬉しさに自分と同じ名前を付けてしまい後から後悔することになったのは今となってはいい思い出だ。

 しかし、待望の男の子が生まれてきたことは私にとってはそんな些細なことはどうでもいい事で記憶のアルバムにしまいこまれていく。


 男の子が生まれてから幾年かの歳月が流れたときにそれが発覚したのはもう手遅れだった。

 

 私の愛情は訳隔てなく注いできたつもりだったのだがどうやら傍から見るとそれは違っていたのであった。

 待ち望んでいた男の子が生まれて事により過度な愛情を注いでいてしまったらしい。

 

 『子供は親の背中を見て育つ』

 とはよく言ったもんだ。その諺を考えた人物には関心してしまう反面、多大なる憎しみも湧いてきてしまう。

 そして、なぜその言葉通りに子供は成長してしまうのだろうと今更ながら後悔してしまうが時は戻ることなくすでに遅い。


 その問題がでてきたのは小学校に上がってからであった。

 突如として鳴り響く電話を取り話を聞いたときは耳を疑ってしまった。電話をしてきたのは小学校の先生、担任からである。すぐさま私は学校に駆けつけ電話での話を再度聞くことになる。そしてそのまま子供の手を繋ぎ家路につくことになるのだがその時の言葉は今でも忘れず頭の中にこびりついて離れない。


 『女の子が恐ろしいよ』


 その言葉はあまりのも衝撃的で私としてもその場ではうまい言葉は見つからず途方に暮れてしまった。

 その夜、仕事から帰ってきた夫と相談をし次の日に病院に連れて行くことになった。

 

 病院で言い渡された病名を聞いて愕然とすることになる。

 心的外傷による精神疾患といわれたのだ。


 医者と話し合いを続ける中でふとした疑問が頭の中から首をもたげてくる。

 心的外傷とはなにか? 原因に検討も付かなかった私はその場で頭を悩ませることになるのだが原因はすぐに見つかることになる。


 家で過ごすこと数日。

 色々と気を張り巡らせ結果原因の全てが三人の娘達という事がわかった。

 発見は偶然のものであったのだがそれを見たとき私は混乱と驚愕しかなかった。


 私たちの家は言うのもなんだが夫の仕事の関係上それなりに裕福と言える。世間から見ればそれなりに豪邸と言っても過言もない家であったのだがそれがいけなかったのであろう。


 四人の子供達には一人で布団で寝れるようになるとそれぞれに部屋を与えていたのだがその中の長女の部屋の一室で行われていた行為を目にしてしまったのだ。


 そこには子供達が全員集まっていたのだが完全におかしなことになっていた。唯一の男の子である息子が一人だけ裸にされて泣いていたのだ。

 三人の娘達はそれを笑うでもなく優しい口調であやしていたのだが服を着せるようなそぶりは全く無かった。

 私はすぐさま部屋の中に飛び込み泣いている息子を抱き上げると部屋から連れ出しタオルを掛けてあげる。その日は泣き止むまで一緒に居てあげることを一番に考えあやす事に終わることになる。


 次の日。


 私は学校から娘達を集め何をしていたのかを怒りながら聞いてみることに。しかし、娘達はすぐに答えることはなく泣くばかりであった。

 今までは娘達を甘やかしていたのだがさすがにこの時ばかりはそんな事をすることはない。語調も荒く私の中でもやりすぎでは無いかと思うくらいだったが心を鬼にして咎めながら聞く。

 しばらくは泣いていた娘達であったが少し落ちつい居てきたようでポツリポツリと語りだした。そして私は娘達の言葉に衝撃を受ける。


 聞けば苛めていたいたのではなく愛情を注いでいたのだという。まだ思春期も来てない娘達から愛情という言葉が出てきたことにも驚いたがそれ以上に裸になった息子と愛情がどう関係してくるのであろうと疑問は募るばかりであったがその後の言葉を聞いて私は崩れ落ちそうになる。

 

 どうやら私の息子への過度な愛情は歪んだ形で娘達に伝わってしまったようだ。それもその筈だ。普通に考えれば姉弟との恋愛や愛情などはあまりない。あったとしても一部だけで世間一般にもありえることではない。

 その事を必死に説明をして諭すようにするのだが娘達はそれでも納得はしてくれない。

 説明のさなか長女が言った一言が私の全てを打ち砕いてしまう。


 『お母さんの真似をしているだけで何で怒られなきゃならないの? ねえ、何で?』


 その一言はあまりにも衝撃的で私は何も言い返せなくなってしまう。そしてそれには私の中でも心当たりがあったからだ。

 息子がまだ小さい頃事あるごとに頬擦りをしたり抱きしめていたりしていた。それも決まって裸の時にだ。その頃は息子は生まれて間もないしあまりの嬉しさにべったりだったのは否定はできないところだ。

 

 それ以上言葉の続かなかった私は無理やり話を終らせ強引ではあるが叱り付け部屋から出て行く。

 目からは涙が出そうにもなったがそれは何とかこらえる。そしてその夜に仕事から戻ってきた夫にその事を相談するものの二人して答えは出ることは無かった。それほど娘の言葉は衝撃的であった。だがこのままにはしておけないということでその日以降は娘達が理解してくれるまで頑張っていくことを夫婦で誓う。





 月日は無常にも過ぎていき、娘達は結局歪んだ愛情を持ち成長をし息子の病気は酷さを増していく。

 その中でも希望の光はあった。息子には理解がある親友と呼べる人物ができそのおかげで息子はぐれることなく成長していく。

 あわせて息子には格闘技を習わせることも成功した。元々気弱であったがどうも馬が合ったらしい。

 

 しかし願わくば息子の幸せ。

 こんなことになったのは自分の性でもあると思うと罪悪感が湧き上がってくる。

 私は祈るようにお願いする。何にと問われるとそれは神以外にすがるものは残っていなかった。叶うとは思っていないしいるかどうかもわからない神に祈るのもおかしい話だが祈らずにはいられない。


 ある夜。

 夢枕には見たこともない女性が出てきて何かを言ってきたのだが起きたときには忘れていたのだが、目には光るものが頬を伝って零れ落ちていく。


 頬を伝うもの。それが何なのかはわかっているが何ででてきたのかは疑問が残ることであるが気分がスッキリしている事と嬉しい感情がこみ上げてきている事に笑顔で起きることになる真琴であった。

お読みいただきありがとうございました

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