表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/127

第35話

 真は母親の姿を見た瞬間完全に固まってしまった。

 口は開きっぱなしで驚愕の表情だ。


 その間にもティアラの授与は着々と進んでおりレイヤの頭にはミス双葉の証であるティアラが被せられると会場からは盛大な拍手が起こった。

 その拍手によりなんとか正気を取り戻した真は何度も瞬きをしながらステージを見るが間違いなくそこにいるのは自分の母親である真琴だ。

 出場者の列に並んでいる七海と梓を見て見るが二人共完全に驚いた表情で佇んでいる。今度はその視線をそっと横に向けてみるがどうやら慧も同じ表情をしている。

 慧の表情を見て全く知らないことを理解した真は再びステージに視線を戻すことに。


 どうやらティアラの授与は滞りなく終わっており司会者がミス双葉に選ばれたレイヤに再度盛大な拍手をお願いしますと会場に呼びかけ、それに応えるように会場からは今日一番ではないかと思うぐらいの拍手が巻き起こった。


 そしてその拍手の音が次第に鳴り止んでいくと司会者が今年度のミスコンの終了を宣言をする。

 出場者達は順次舞台袖より退場をしていく。真琴と蒼空と坂本さんはその後出場者と同じく舞台袖のほうへ消えていった。


 そして、真琴が居なくなったと同時ぐらいに隣に居る慧から声をかけられる。


 「な、何で真琴さんがあんなこと…………やってるんだ…………………………。ま、、真も知らなかったのか?」


 あまりの驚愕の事態だったのであろうと言葉が途切れたり詰まったりしている。

 話しかけられた真のほうもすぐには応えることはできず、数秒の沈黙の後何とか慧に答えを返す。


 「そもそも今日居ること自体知らなかったのにこんなことまで知るわけないだろ!! むしろ逆にお前の方が知ってそうなもんだけどその様子じゃ知らないみたいだな……」


 「……ああ」

 

 そしてそのまま二人はうつ向き気味になり押し黙ってしまうことになる。

 




 会場のほうはミスコンが終わり観客がぞろぞろと会場から帰っていき、関係者のほうもそれぞれが後片付けを始めていた。

 そんな会場の様子など尻目に真と慧の二人は黙って座り込んだままであったがある人物によりそれは破られる。

 

 もちろんそれは戻ってきた蒼空であった。

 蒼空は二階席出入り口から入り二人の傍まで行ったのだが当の二人は蒼空が居ることにまったく気がついていない。

 蒼空は仕方ないのでそのまま二人の前まで廻ったのだがそれでも気がつく様子は無く二人共黙り込んだままだ。


 「二人共どうしたの?」


 蒼空の声にようやく二人は顔を上げ蒼空がいたことに気がつく。


 「うおっ! …………いつからいたの蒼空?」

 

 真は驚きの声をあげるとそのまま蒼空に声をかける。慧のほうも真と大差ないほど驚いているようだ。

 真と慧の様子を見て呆れた感じで蒼空が真の問いかけに答えた。話す前に溜息を一つ吐きながら。


 「少し前からいたけど…………。二人共どうしたの?」


 蒼空の言葉に真と慧はお互い顔を見合わせる。多少の差異はあるものの考えていたことはほぼ同じだと覚った二人はお互いに苦笑いを浮かべると立ち上がり。


 「なんでもないよ。とりあえず七海と梓ちゃん迎えに行こうぜ」


 慧がそう言うと二人はそのまま出口に向かいだす。

 蒼空は首を傾げながらもそのまま二人の後を付いていくのであった。

 

 三人はそのまま二階の出入口から出ると一階に降り七海と梓が居るところまで行こうとしたのだがどうやらまだ着替え等が終わっていないようで控え室への入室を断られてしまった。

 会場のほうはどんどん観客が会場から出て行くが未だに全部の人達がでてはいないようである。

 仕方ないのでそのまま会場にあるロビーにあったベンチに蒼空と慧が座り、真は立って待つことにした。

 一人だけ座らず待つのもどうかと思うが実際のところ座れないわけではない。ベンチのほうは八人ぐらいは由に座れるぐらいのスペースがあり蒼空と慧以外は座っている人はいない。これは真にとっては癖のようなもので大勢の人がいる場所で留まらなければいけない状況になった時、何かあったらすぐに動けるようにしていることなのだ。なので真にとっては日常的なものであるので真としても文句は言わないし長年一緒に居る慧も何も言うことはない。

 ただしその事をわかっていなかった蒼空は真に座るように促してきたのだが真はその説明を蒼空にすることで蒼空のほうも納得した。


 待つこと数十分。


 会場のほうもどうやらある程度すっきりしてきており残っているのは殆どは関係者ばかりのようだ。

 その様子を見ていた真は危険の兆候はないと判断したのだろ座ろうと移動しようと気を抜いた一瞬を点かれたようで至近距離で女性から声をかけられた。

 

 「ここにいたのね真」


 声をかけてきた人のほうに振り向く真だがその様子に怯えや恐怖などは無く、どちらかと言えば呆れや嫌そうな感じだ。

 声を聞いた瞬間から真としてはわかっていたし振り向きたくはなかったのだが向かないと後が怖かったので素直に声のした方に顔を向ける。


 もちろんそこにいたのは真琴である。

 慧のほうも真琴の姿を確認するとベンチから立ち上がりそのまま真琴のほうへ近づいていく。


 取り残された蒼空は困惑していた。

 取り残されたこともあるがそれよりも聞いてた話しと違うことに困惑していた部分が大きい。

 それはもちろん真の病気の事だ。聞いていた話しでは真に女性が近づいただけで恐慌状態に陥り何もできなくなると聞いていたのだが今はどうだ。真琴の傍に居る女性はどう見ても真に対して手を軽く前に出せば触れるくらいの距離に居るのだ。事情を知らない蒼空が困惑するのも仕方がないことであろう。


 そんな事を考えていたところに真が蒼空を呼び寄せる。


 「そういえば蒼空はまだしっかり紹介してなかったよね。ちょっとこっちに来てもらっていい?」


 真の言葉に頷くとベンチから立ち上がり真達のほうに近づいていく。

 蒼空がある程度近づいたところで真が紹介を始める。


 「これが俺の母親の真琴ね。名前で呼ばないと怒るから気をつけてね」

 

 最後の方は苦笑いを浮かべながら紹介してたのだがすぐさま真の頭に張り手が飛んでくる。

 実際はそんなに強くは無かったのだが真は大袈裟に痛がっており、頭を抑え叩いた真琴の方を睨んでいる。


 「そんなに強く叩いてないじゃないの。大袈裟な子ね。私が真の母親の神代真琴よ。この子と同じ同じ名前だから真琴さんで呼んでちょうだいね。それで、えーと……」


 「伊吹蒼空です」


 蒼空はそれだけ言うとそのまま軽く頭を下げる。

 それにあわせて真琴のほうも同じく軽く頭を下げる。


 「七海ちゃんも梓ちゃんも思ってたけど蒼空ちゃんも綺麗な子ねー。それにさっき一緒にステージにいたってことはもしかして蒼空ちゃん前年の準ミスなのかしら?」


 真は母親の言葉に何か引っかかるものを感じたのだが声には出さず蒼空とのやり取りを聞くことにする。


 「いえ……私は前年の準ミスではないです」


 「そうなの!? ごめんなさい。そうだと思い込んでたわ。当年の準ミスに渡す人っていつも前年の準ミスの人だからてっきり…………」


 「準ミスではなくて…………ミス双葉です」


 恥ずかしいのか最後の方は声が小さくて真と慧には聞き取りづらかったの真琴にはしっかり聞こえていたようだ。


 「あらーそうなの!! 綺麗だとは思っていたけどまさかミス双葉だったなんて。それにしてもミスのほうを出すなんてレギュレーションが変わっちゃったのかしらねー」


 流石にそこまで言われて気にならないわけがなかった。真はそのまま会話に割り込み気になることを真琴に聞いてみることにした。

 それとついでに先程の事も纏めて聞くことに。


 「ちょっといい? 何で母さんそん詳しいこと知ってるの? それにさっきのステージの事といい……。説明してもらっていいかな?」


 真琴に詰め寄ろうかと言わんばかりの勢いで近づきながら真琴に質問をする。

 自分の息子の勢いに多少押されはしたもののすぐに建て直し言われたことについて応えようと少し考え込むような仕草を見せた後、真琴は答える事に。


 「真に教えてなかったかしら……。ここの大学の卒業生で昔のミス双葉でもあるのよ。それに関係して歴代のミス双葉に選ばれた人はティアラ授与を勤めることになっているのよ。もちろんボランティアでね。蒼空ちゃんも何時かやる事になるから覚えておいたほうがいいわよ」


 初めの部分は全員に聞かせるように話していたのだが最後の方は蒼空のほうを向き話す真琴。

 真琴は話している間は気がつかなかったようだが話し終え蒼空から全員を見回すように視線を向けると今の現状に気がつく事に。

 真琴は一瞬どうしていいかわからなくなってしまうがそこに助け舟? かどうかはわからないが着替えを終えた七海と梓が真達の下へ駆け寄ってきた。


 「おまたせー…………ってどうしたんですか真琴さん?」


 先頭で駆け寄ってきた七海が現状の状態に状況がつかめずすぐに困っている様子の真琴に聞いてみることにしたようだ。

 現在、真、慧は完全に固まっており放心状態に近いかもしれない。残されている蒼空は二人とは違い問題なさそうであるが二人の様子を無表情でジッとみているだけであった。


 とりあえず真琴は七海と梓に経緯を説明することにした。


 



 経緯の説明を聞いた七海と梓は真と慧の二人と同じ状況に陥りそうになったが何とかこらえることに成功する。

 説明している間に真と慧の二人も何とか元に戻ったようだ。

 そして元に戻り落ち着きを取り戻した二人は興奮気味に真琴に詰め寄る。今度は完全に詰め寄り落ち着きを取り戻しても全く意味がなくなるほどである、


 「そんな話一回もしてないだろ。なんでそういいことはもっと前に話さないんだよ!!」

 「聞いてないですよ真琴さん。そういう面白いことは事前に教えていただかないと!!」


 「ちょ、ちょっと待ちなさい二人とも…………」


 二人の言っていることに齟齬はあるものの両方からまくし立てられどうしていいか困惑していく真琴。

 そんな真琴の様子などお構い無しに真と慧は詰め寄るのではあるが、流石にその状況は見逃せなかったのであろう七海と梓が二人係で真と慧を止めにかかる。

 止めると言っても真のほうは物理的に止めることはできないのでとりあえず七海と梓の二人で慧のほうを引き離し真だけにする。

 親子間の会話であれば多少は興奮していても大丈夫だろうという七海と梓の思惑だ。

 真琴の方も何とか二対一という状況から一対一になったことで対処もしやすくなったのであろう、まくし立ててくる自分の息子を何とか宥めようと必死になっている。


 慧のほうも引き離されたこともり落ち着きを取り戻し真と真琴のやり取りを傍観している。

 

 話し合うこと数分。

 何とか落としどころを見つけ真を宥めることに成功する。まあ完全には納得してないらしく離れるときも聞こえないが何かブツブツ言っていた。

 それを見ていた慧と七海と梓は苦笑いをするしかなかった。


 なんとかなったことによりこれからの事の確認の話をする真琴。


 「さっきも聞いたけどご飯食べに行くの一緒に行ってもいいのかしら……?」


 もちろん聞いているのは真を除く四人にである。

 

 「問題ないですよ。一名を除いて全員に確認してますから」

 

 笑いながら真に視線を向け、真琴に説明をする慧。

 他の三人も真のほうに顔を向けている。

  

 「そうなの。ごめんなさいね」


 真琴もそう言いながらも真に顔を向ける。


 全員の視線を感じ溜息を大きく吐く真。状況を見るに拒否権はないように見える。

 

 「わかったよ!!」


 真はそれだけ言うと出口に向かって先に進んでします。

 五人は真のその様子を見て笑いながら真の後についていく。


 会場からは人も殆ど居なくなり特に問題なく出口を通り外にでるとすぐに声が聞こえてくる。

 何事かと先頭を歩いていた真が声のしたほうに目を向けるとそこには道に正座させられている男の人とその目の前に立ち怒声を上げているレイヤが居たのであった。 

お読みいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ