第25話
9/17日、次回の投稿は家庭の事情の為お休みとさせていただきます。
読んでいただいている方には大変ご迷惑をおかけしますがご了承くださいm(__)m
ベンチでお昼を食べ終わりミスコン会場に移動したのは開始十五分前ぐらいからだ。
会場からはそれほど離れていなく五分ほどで着いたのだが……
会場に入って一つ問題が発生した。
普通に考えれば時間ギリギリ近くに来たのだからわかりそうなものであるがそのことに誰も気がついていなかった。
それは会場に入ると人があふれかえるほどいたのだ。
女性アイドルのライブ会場のように男性の比率が高く周りに男性ばかりであればそう問題にすることではなかったのだが、見てみると見に来ている女性がそこそこいるようで比率的にはパッと見、六対四ぐらいはいるような感じだ。
会場入口で途方に暮れてしまって立ち止まっているところ蒼空が二人に声をかける。
「ちょっと待ってて」
そう言うと蒼空はどこか行ってしまう。
真と慧はどうしていいかわからず蒼空がどこかへ行ってしまうのをただ見ているしかなかった。
蒼空は見える範囲で歩いていたのでその様子を見ていると、蒼空はミスコン主催の関係者がいる場所に向けて歩いていっているようだった。
関係者の傍まで行くと蒼空は関係者と何かを話しているようだった何を話しているのかはここからではわからない。
二人はその様子を見ながら蒼空が戻ってくるのをおとなしく待っているしかなかったのでその場で待っていることに。
しばらくすると蒼空が戻ってきた。
「こっちに来て」
蒼空はそれだけ言うと二人に背を向け歩いていく。
真と慧はお互いの顔を見合わせ首をお互いに傾げながらも蒼空の後に付いて行く事にした。
蒼空についていくとまずは会場の入口を出てエントランスにある階段上がり二階に向かっているようだ。そして二階に上がるととある扉の前に行く。
扉には関係者以外立入り禁止の張り紙が張っており蒼空はその扉を躊躇なく開けるとそこは二階にある席の入口であった。
扉の向こう側は一階のアリーナを囲むような作りになっておりそれほど席はない場所ではあったが真にとっては安心できる場所であった。
そこには関係者以外は出入りできない場所の為一階と比べまばらにしか人はいなかった。
真は入ってすぐにその様子を確認して安堵の表情を浮かべる。
しかし、真は安堵したのも一瞬すぐにこの場所について蒼空に確認することにする。
「ここって俺らが入っていい場所なの?」
真がそんな事を聞くのは当たり前の事であろう。
真と慧はミスコンの関係者などではないので普通であればこの場所に入っていいはずがない。
慧も真が聞いたことに対して同意しているようで蒼空の答えを待っているようだ。
「確認したから大丈夫。私と一緒なら問題ない」
問題ないことを確認した二人はホッとした表情になる。
蒼空は答えながら空いている席に座り、真と慧もそれに続いて座ることに。
座ると真は余裕が生ませたのか周りを見渡す。
二階にいる人達はほとんどがスーツを着ている人間か撮影をしている人間がほとんどであった。
撮影をしている人間達は忙しなく駆け回っている。スーツを着ている人間はまばらながらもそれぞれの場所で座っていた。そこにいた人達は真達が入ってくるとこちらのほうに目を向けるものの何事もなかったかのようにそれぞれが元の状態に戻る。
しかし、そんな人達の中に真達がいる場所の反対側に私服姿で何もせず座っているだけの女性がいた。
長いロングの黒髪で柔らかな色をした服を着ておりパッと見はお嬢様のようにも見える。
その女性は一階のアリーナのほうを見ていたようで真達の事には気がついていないようだ。
何の気なしに見ていた真であったが女性のほうがこちらのほうに気がつく。
そして何かにに気がついたのかその女性は立ち上がるとこちらのほうに歩いてくる。
真がそれを目で追っていると慧が真の様子に気がつき視線の先を確認すると慧は真に声をかけてきた。
「坂本先輩じゃん。先輩のほう見ていたけどどうかしたのか真?」
慧の問いかけに素直に思っていることを聞いてみることにした。
「俺達と同じようにあんまり関係者には見えなかったから気になって……。あの人の事知っているのか慧?」
「ああ……そう言う事ね。あの人は四年生の坂本雪江さんで、去年のミスコンで準ミスになった人だな。こっちにくるみたいだけどどうしたのかな」
慧の言うとおり坂本先輩はこちらのほうに歩を向けてくる。
すぐ傍まで来ると話かけたきた。話しかけた相手は蒼空だった。
「蒼空ちゃん今日はどうしたの? 来るとは思わなかったわ」
蒼空がきたことに対して驚いているようで素直にどうしたのか聞いてきていた。
蒼空のほうも淡々とそれに答える。
「友達が出るから見に来ただけ」
「そうなの。こちらの二人も友達なのかしら?」
「そう」
蒼空の言葉を聞いて坂本先輩は真と慧に視線を向ける。
真は最初慧が知り合いなのかなと思っていたのだがそうではないようだ。
そんな考えをしている横目で慧が坂本先輩に嬉しそうに自己紹介をしていた。
真もそれに習い慧が終わった後に続いて簡単に自己紹介をする。
二人の自己紹介を聞いた坂本先輩は特に気にすることもなく蒼空のほうに顔を向けると会話の続きをはじめる。
それを見て慧は残念そうにしているが真は特に思うことはなく視線をアリーナのほうに向ける。
蒼空と坂本先輩はしばらくミスコンの事や世間話をしていたのだがそろそろ開始の時間が迫ってきたのを確認した坂本先輩は一言挨拶をするとまた元の場所へ戻って行った。
坂本先輩が戻っていったのを確認すると真は蒼空に聞きたいことがあってので聞いてみることにした。
「さっきの坂本先輩だっけ……あの人は何でこんな所にいるの?」
真が疑問に思ったのは唯単純にそれだった。
真達は真の病気の事もあり蒼空が関係者に頼んでここに入れてもらっている。
しかし、坂本先輩は見た感じには関係者には見えず、真達よりも先にこの二階にいたのだからなにか関係者として来ているのではないかと思い聞いてみたのだ。
「坂本さんは審査の関係でここで見ている。本当は村上さんもいるはずなんだけど体調崩したみたいで今日は坂本さんだけ」
真の予想はあっていたようで蒼空の答えで納得はしたのだが聞いたことがない名前が出てきたのでそっちも聞いてみることにした。
「村上さんって誰?」
しかし、真の疑問に答えたのは蒼空ではなく慧だった。慧は若干呆れ気味に真に教えてくれた。
「お前少し考えればわかるだろう……。準ミスは二人いるんだから坂本先輩と一緒に選ばれた人で、村上真由美先輩のことだよ」
「……それもそうか。言われて見ればそうだな」
慧にいわれて考えがいたらなかったことに納得する真。
そして先程の蒼空がやっていたイベントで蒼空が代打で出ていたことを思い出しそのときに聞いていた理由とかも思い出す。
(そういえば急にいけなくなったっていってたな)
居ない人物、村上先輩の事を思い浮かべながらも先程の蒼空の言葉でもう一つ気になったことを聞いてみることにする。
「審査の関係って審査員とは違うの?」
「審査員とは違う。参考程度の事をやる」
「ふーん。そうなんだ」
蒼空は参考程度といっているのだが実際のところはかなり違っている。
審査員は表面上は五名となっており、それを示すように一階の会場のところには五人の審査員が並んで最前列の横のほうで座ってみている。
しかし、実際は前回の準ミスも隠れ審査員として採点に加わっている。
ミスに輝いた者に推薦する権利が付くように準ミスには審査員としての仕事が付いてくる。
だがこの事は基本的に極秘事項になっており準ミスにも守秘義務が課せられる。
なので蒼空が知らないのは当然なのだ。
しかし、なぜミスではなく準ミスの二人が審査員をやる事になるのかには疑問が出てくるところではあるがこれにもしっかりとした理由がある。
毎年ミスと準ミスとの差は大してあるものではなくごく僅かな差しかない。そのごく僅かな差で負けてしまった事でミスコンで何が悪くて負けてしまったのかを学び経験として刻まれる。その経験が次代のミスコンにも反映させるべき要素として入れるべきと主催者側は考えているのである。
その為、ミスではなく準ミスが選ばれているのだ。
そして、このミスコンは大学の学生が競い合うミスコンなのだから学生の意見も取り入れるべきとの意味合いもある。
その為準ミスの二人は毎年審査員として参加しているのであった。
蒼空の間違っている解答に二人は納得をしミスコンが始まるのを待つことに。
一階のアリーナは始まる前の期待や待っている人達の話し声で喧騒に包まれていた。
その喧騒も急に流れた音楽により幾分か収まりをみせる。
建物のライトがおとされ真っ暗になる。
そしてアリーナのところにあるステージにスポットライトを当てられ一人の女性がステージ脇より出てきた。
「お集まりの皆様お待たせいたしました。これより双葉大学ミスコンテストを開催いたします」
スピーカーより司会の女性の声が流れ喧騒は収まり拍手で迎えられる。
その後、司会者より審査員の紹介が行われ一人ずつ紹介を受けると立ち上がり頭を下げる。
紹介が一通り終わり最後に司会者の自己紹介で締めくくられる。
「それでは予選を突破した十一名の紹介を行います」
司会者の言葉にあわせステージにライトがともされステージ脇より名前を呼ばれた女性がが次々と出てくる。
一人一人出てくるたびに大きな拍手で迎えられる。
出てくる女性は思い思いの格好をしており十人十色だ。
さすがに顔の知らない女性が出てくると真は軽く拍手をする程度であったが流石に知り合いが出てくるときにはそれなりの拍手をしていた。
七海は三人目。梓は八人目にでてきた。
梓以降に出てくる女性は知らない女性だろう流しながら見ていた真だったのだが最後の女性が出てきたとき真の時が止まるかのごとく視線を送っていた。
「最後に本名・F・レイヤさんです」
何か引っかかりを覚えた真は最後に出てきたレイヤから視線を外せなくなっていた。
レイヤは紹介をうけステージに出てくると方々に手を振って笑顔で応えていたのだが一瞬真のほうに顔を向けたようにも見えた。
気のせいだと感じながらもステージ上、レイヤを追いかけててみてしまう。
そんななか蒼空からミスコンに関しての情報がもたらされる。
「最後に出てきたのが予選の一位」
「そうなの!?」
声をあげて慧は大いに驚いていた。慧も知らない事柄だったらしい。
真も違う意味で驚いていた。
それは以前五人で集まっていたときに予選の途中経過を見ていたのを思い出す。
その時七海が余裕で予選突破できることと一位で突破すると話していたような気がしたからだ。
真はそのことを確認しようと慧に声をかけようとしたのだが慧が気になることを呟いた。
「レイヤが一位かぁ……。けっこうやるなぁ……」
多少聞き取りづらい声であったが横にいた真にはしっかり聞こえていた。
その言葉を聞いた真は瞬時に驚いた顔で慧のほうに顔を向ける。
真が顔を向けたのに気がついた慧は少し後ずさるような感じの表情だ。しかしなぜ真が自分の方に向いているのかわかってはいない感じもあった。
「急にこっち向いてどうしたんだ真?」
慧の言葉に内心驚いてしまったがとりあえずは聞いてみることにした真。
「なんでお前あの子の名前を知っているんだ?」
「えっ!?」
真に言われたことに対して本当に驚いた顔で真のほうを見ている。慧の驚いた声に蒼空も慧のほうを不思議そうに見ていた。
慧からの反応でもわかるとおり自分で言ったことをわかっていないようで無意識に近い状態で呟いたのであろう。
真は慧の様子をみてそう予想
はしたのだがその様子には気にも留めず慧からの答えを聞くために再度聞いてみる事と、若干の焦りと戸惑いがあるようなので多少の状況の説明もしてあげることにした。
「だから何でお・ま・え・はあの子の名前を知っているんだよ? さっき『レイヤが一位かぁ』とか言っていたぞ」
「俺そんな事言ってた!?」
「……ああ」
真の予想は当たっていたようで慧は自分で言っていたことを意識していなかったもしくは心で思っていたことを口から勝手に出てきたというところだろう。
そんな事を口走っていたなど露知らない慧は明らかに動揺の色が目に見えて顔に出ていた。
その顔を見た真は怪しさを感じ取り更に慧に詰め寄り聞くことに。
「それで……何で知っているんだ?」
真の言葉にわかりやすいぐらいの言いたくなさそうな顔になった慧。
射抜くように鋭い瞳で見つめる真に押され渋々な感じではあるが白状することにしたようだ。
「……実は……」
慧の話はそう驚くべきものではなかった。
学園祭の期間中に知り合いになった女の子で知り合ったのは慧が学際期間中にやっている店で知り合ったらしい。何でも向こうから話しかけて来たらしく二人で出かけたりして仲良くなったらしい。以前に真が見たのもそれのようだ。
慧らしいなと思いながらも続きを聞くと、どうやらミスコンの終わった後に俺達に紹介するつもりだったらしい。
しかし、慧の様子を見る限りまだ何かを隠していそうな感じで話していた。それだけではなさそうだったので更に問い詰めることにした真。
真に問い詰められた(暴力的な意味で)慧は更に話していく。蒼空は話の続きにしか興味が無いようで真が問い詰めているところは完全にスルーしていた。
慧はレイヤがミスコンに出ることを知ったことで一計を案じたらしく、七海と梓のどちらかがミスか準ミスに選ばれなかったとしてもレイヤがいれば何とかなると思っていたということだ。
そして言い訳としては紹介をして知り合いになったからと言うつもりだったとのことだ。
(どう考えてもどうにかなるわけないだろう……)
頭が痛くなり両手で頭を抱えながらも呆れて何もいえなくなりながらも胸のうちではそう思っていた。
約束では七海か梓がって事だった筈だと思い出しながら確認をし、蒼空に同意を求めるようにそちらを見てみると蒼空も呆れているようで口をあけて固まっていた。
蒼空の様子を見て真は違うことを考えてしまう。
(なんか感情が豊かになってきたなー)
真がそう思うのは仕方がないことだろう。
始めてであったときは感情など読み取れないほどごくわずかな変化しかなかったのだ。
それが今となっては周りから見てもわかりやすくなっている。
慧の事など頭には無く蒼空の事をマジマジと見てしまう真。
蒼空も真が見ているのに気がついたようで真のほうに視線をむけてきていた。
お互いの瞳で見つめ合っているところに司会の声で我に返る真。
すぐに司会の声のするほうに顔を向きなおし何事も無かったかのようにステージを見つめる。
しかし、顔は赤くとても恥ずかしがっているのが丸わかりだった。
慧は真の隣でニヤニヤしながらそれを見ているだけで何も言葉は発することは無かったのだった。
ステージ上では予選突破者全員の紹介が終わったらしくこれからのスケジュールを説明しているところだった。
真はステージ上に列で並んでいる参加者の中にいるレイヤから視線を外せないでいた。
出てきた瞬間から何か引っ掛かりを覚えていたのだがその何かを思い出そうとしてもなかなか思い出せないでいた。
意識の奥底から必死に思い出そうとするのだが全く思い出せずに悩んでいるところに慧から声がかかる。
「なんか悩んでいるようだけどどうかしたのか真?」
「ちょっとな……お前の知り合いのレイヤって子がちょっと引っかかってて。なんか以前にどっかであったことあるように思えるんだよな」
「そうなのか? けどレイヤは夏休みにうちの大学にきた留学生だぞ」
意外な情報が慧からもたらされる。
それを聞いた真は勘違いかなと考えるのをやめようとしたのだがステージ上にいるレイヤと目があったような感じがした。
真達が見ている席からステージ上まではそれなりの距離があり真が気のせいかと考えるのを止めようとしたとき真の眼に痛みが走る。
目を抑え蹲る真。
「どうした真?」
真の様子に異変を感じた慧は声をかけてくるが真の耳にはその声は届いていなかった。
真の耳に聞こえていたのは頭の中に響いている声だけだ。
「(眼鏡を取ってこっちを見なさい)」
頭の中に響く言葉に従い眼鏡をとってステージ上を見る。
真の目に映っていたのは出場しているレイヤの姿ではなく真に強制的に眼の力を授けたフレイヤが映っているのであった。
お読みいただきありがとうございます




