第14話
夏休みも終わりに近づき、秋の気配が感じられるようになってきたとある日。
真は窓から差し込む日差しに照らされ目の開けた。
寝ていたベットから上半身を起こし、未だに眠たい目を擦りながら意識を少しずつ覚醒させていく。
目覚まし時計に目をやると時間は昼近い十一時を過ぎていた。
何でこんなに寝ていたのかは理由はわかっている。昨晩、荻野とゲーム動画を投稿サイトに出すため動画の撮影を荻野の家でしていたのだ。
撮影と言っても自分達は録画の機械をセットして普通に喋りながらゲームをやるだけなのだが。やっていたのは人気のレースゲーム。それをオンラインで対戦をずっとしていただけなのだが、思いのほか熱くなってしまい気がつけば二十時からやり始め、終わったのは夜中の二時だった。
細かいことは荻野が全てやってくれるので真のやることはゲームをやるだけなのだが、それでも真は心の底から楽しんでやっていた。
PCなどの関連はあまり詳しくなかった真であったが、荻野に時々教えてもらっていたこともありそれなりには詳しくはなっていた。それでも荻野の知識にはかなわない。
この荻野と言う男ははっきり言って異常なほどPC関連の知識があった。真の聞いた話では、父親がそういう関連の会社に勤めていることもあり幼い頃から使っていたのだから当たり前と言えば当たり前だ。
そんな荻野の家で撮り終わり、細かいことは全て荻野がやってくれるので終わるとすぐに帰ってきてベットに入り、寝て、起きたらこんな時間と言うわけだ。
真は枕元においてある携帯を確認すると大きく伸びをしてベットから立ち上がりとりあえずシャワーを浴びることにする。
シャワーを浴び終えタオルで髪を拭きながら時計を確認すると時間は十二時近くまで時間がたっていた。
それと同時に真のお腹も微かながら音を立て空腹を訴える。
何かないかと冷蔵庫を開けるが大したものがなかったので何か買いに行こうと財布を握り締め家から出て行くのであった。
家から外へ出ると秋も近づいてきてるはずなのだが肌に突き刺すような日差しが真に襲い掛かってくるような陽の照り方だった。
近くにあるコンビニで適当に買いに行こうと真はその場所へ歩き出す。
この時、真は致命的なことを気づかずに。
家を出て真は午後から用事があったのを思い出す。
用事とは何のことはない。平野先生のところに行くだけだ。
大学が始まる前にカウンセリングを受けるだけの事。約束の時間は十六時。携帯を取り出し、まだ余裕があるのを確認した真は目的である昼ごはんを買いにコンビニへ向かう。
コンビニに着いた真は自動ドワを開け店の中に入っていく。
中を確認するとお客は見たところ三人しかおらず、それも全て男性だ。
心の中で安堵の溜息を吐くと、お弁当の売っている売り場まで歩いていく。
売り場でお弁当を選びレジまで持っていくと店員がいなかった。
「すいませーん」
真が呼びかけると奥から店員が出てきた。
「お待たせしました」
出てきた店員を見て一瞬たじろぐ真。なぜかと言うと店員が女性だったからだ。
レジのとこから一歩だけ後ろに下がり、俯きながら手に持っていたお弁当を台の上に置く。
商品のバーコードをスキャンしていき値段を真に伝える。
「859円になります」
値段を聞き真は財布から千円札を取り出し台の上に置こうと手を出したときにそれは起こった。
真の出した手を店員が掴んできた。
突然の出来事に真は一瞬にして頭が真っ白になった。
真は叫び声をあげて手を振り回し何とか掴まれていた手を振りほどいた。
そして手を掴んでいた女性店員に目を向けると、真は恐怖に怯える動物のようによろめきながら後ろに後ずさった。
その様子は真が何回も見てきた眼の力が発動している状態だった。
虚ろな表情なのだが視線は真の事を熱の篭った目で見つめている。
真の叫び声に店にいた他のお客も何があったのかと集まってきていた。
力に取り付かれた女性にとってそんなことなどは関係なかった。
店員のカウンターから出てきた女性は真から視線を一切外さず真に向かって歩いてきた。
一歩近づいてくれば真も一歩下がる。
ここで真は自分の二つの失態に気がついた。
一つは外出するときいつも付けているサングラスを忘れてしまった事。もう一つは出口のほうからとうざかってしまった事だ。
そんな事を思い出したのだが時はすでに遅く、後悔しかなかった。
すぐに逃げればいいだろうと思うだろうがそうはいかない。
一度手を掴まれたことによりすでに真は精神的にも肉体的にも力が入らないほど疲弊していた。
体は小刻みに震えておりこれ以上の行動を起こせるような状況ではなかった。
徐々に近づいて来る女性にとうとう立っているのもままならなくなった真は後ろに尻餅をつくような格好で倒れこむ。
その体勢のまま後ろに後ずさるのだが、背中が突き当たりに逃げ道がなくなった。
それでも更に近づいてくる女性が真の目の前まで来ると、膝をつき真に触ろうと手を伸ばしてくる。
「や、こ、こ、こないでくれ」
真を様子を見て周りにいるお客も流石におかしいと思ったのか、女性の歩みを止めようと一人の男性が体を掴み押さえつけようとするのだが、時はすでに遅かった。
押さえつけられるのもお構い無しに真に接触を図ろうとする。
そして、真は女性に触れられると今日一番の叫び声をあげると、真はそこで意識を手放した。
真が意識を取り戻し目を開けると見たこともない天井が目の前に広がっていた。
朦朧としていた意識を少しづつ取り戻し、少しづつ記憶も取り戻す。
覚醒させている途中で横から声がかけられた。
「おまえなぁ。来いとは言ったけどこんな形で来るとは思わなかったぞ」
声のしたほうに顔を向ける真。
向いた先には椅子に座っている平野先生が呆れた顔で真の事を見つめていた。
未だにはっきりしない真はなんでここに平野先生がいるのかわからないので戸惑っていた。
その様子を見ていた平野先生は笑顔を浮かべると状況の説明してくれた。
今、いるところは大学病院で、平野先生が担当している病棟の一室にいると言う事。そしてここに運ばれてきた経緯とコンビニで起こった出来事。目にしたわけではないのだが意外と詳しい説明に真は驚きながらも、話しを聞いて記憶が戻ってきたのであろう小刻みに体を震わせている。
そんな真の様子を目にした平野先生は席を立つと部屋から出て行ってしまった。その後すぐに戻ってきた平野先生の手にはマグカップが二つあった。
真が寝ているベットの横にあるテーブルにマグカップを一つ置くとそこからジャスミンのいい香りが漂っている。そしてもう一つは真の前に差し出す。
「とりあえずこれでも飲んで一旦落ち着け」
差し出してきたマグカップを受け取るとそのまま口へ持っていく。
一口飲むと多少ではあるが心に落ち着きが戻ってきたようだった。
真の様子を確認した平野先生は椅子に座ると持ってきたマグカップの中身を一口飲むと真に質問してきた。
「とりあえず聞きたいことがあるんだが、もう聞いても大丈夫か?」
平野先生の言葉に真は頷き、それを見てそのまま話を続ける。
「率直に聞こうか! 何でこんなことが起こった?」
ストレートな聞き方に真は迷いが表情にでる。
聞かれたことに対して答えることはできる。しかし、それは普通に考えればありえないことであり、素直に話しても簡単には信じることなどはできないだろう。
そんな考えを頭に巡らしていた真はそれが表情にでていた。
平野先生はそんな表情を見逃すことはなかった。
「おまえ、何か隠しているだろ?」
睨み付けるような眼差しで真を見てくる。
それは見た真はうろたえながら視線を外そうと顔を横に向けようとするが、平野先生に頭を掴まれて強制的に元に戻されてしまう。
向けられた顔の目の前には平野先生の顔がこれでもかと言うくらい至近距離にあった。後、数センチで唇と唇が接触しそうな距離だ。
「で? どうなんだ?」
目を逸らしたいが頭を掴まれている以上どうすることもできないので、目線だけでも逸らそうとあちこちにめまぐるしく動かす。
平野先生は目を逸らさずずっと真のほうから微動だにしないで見つめていた。
これ以上は隠し切れないが、あまり言いたくもないという心の葛藤が真の中でせめぎあっていた。
考えても埒が明かないと思い、真は平野先生に譲歩案を提案する。
「慧は知っているんで、慧と相談させてください」
「大山は知っているのか!? なら、すぐに連絡しろ!」
ようやく頭を掴んでいる手を離されて一息つくと慧に連絡をしてここに来るように伝えた。
慧の待っている間、とりあえず通常のカウンセリングをして時間をつぶすことになった。
一時間もしないうちに慧は真のいる病室にきた。病室の窓からは鮮やかなオレンジ色の光が差し込むようになっていた。
カウンセリングも終わっておりこの部屋にいるのは真一人。
部屋に入ってきた慧はベットの傍にある椅子に座ると開口一番
「何やってるのおまえ?」
純度100%といっても過言ではないくらいの呆れた表情だった。
一切の言い訳ができない真は黙って受け入れるしかなかった。
言いたい気持ちはあるのだが今回の件は自分が招いたことなのだから仕方ないことだった。
そんな真を見て慧は察したのだろう、椅子から立ち上がると何も言わず笑っていた。
そして、そのまま窓の窓のほうへ歩いていき違うことを真に聞いてきた。
「まあ、そっちはいいか。で? 平野先生のほうはどうするんだ?」
大まかな事情は事前に説明済みなので本題をすぐに切り出して真に聞いてくる。
答えを出すことに迷っているようだが、慧としては最終的に真に決断してもらおうと思っている。
人の答えにそのまま乗って自分の意思がない答えなど答えとしてはよろしくない。自分の問題は自分で答えを出すのが後々後悔しないで済む。
そんな考えを持ちながらも真の答えるのを待つ。
数分の沈黙の後、真が口を開く。
「とりあえずおまえの意見が聞きたい。俺としては話したくないに気持ちが偏っているんだけど、平野先生だったら俺等とは違う答えを持ってるかもしれないし……。それにもうすぐ夏休みも終わるから大学で何があるかわからないからな。けど普通に考えれば信じられないと考えるのが一般的だと思うから、話したところで……」
そこまで話すとまたもや黙り込んでしまう真。
真としては縋りたい気持ちはあるのだが、荒唐無稽な話しなど信じてもらえない可能性のほうがあきらかに高い。
実際のところ現場を見せれば信じてもらえると思うのだが真にとってのリスクは避けることしか考えてないのでその選択肢は最初からなかった。
真の話と気持ちはわからなくもないがこればっかりは真に決めてもらうしかないと決めているので慧は助言程度の意見を言っておくにとどめておく。
「俺はどっちでも言いと思うぞ。おまえが後悔しないようにしてくれればいいさ」
そお言うと慧はちょっと飲み物買ってくると言って部屋から出て行ってしまった。
部屋に一人残された真は部屋からでていく慧を確認すると後頭部に両手をおきベットの上で一人うなり始めるのであった。
待っている間に何とか考えを決めたところで、数分後、慧は部屋に戻ってきた。平野先生と供に。
慧は真に買ってきたペットボトル投げて渡す。
「どうするか決まったのか?」
傍にきて椅子に座るとすぐに真に聞いてくる平野先生。慧は椅子がないので立っているようだ。
真は言葉には出さず平野先生の顔を真剣な表情で見つめ、その後慧のほうを向く。慧も真の気持ちを感じ取ったのか頷くと部屋の扉を閉めに扉に向かう。
扉を閉めて戻ってきた慧を確認すると平野先生に眼の力の事を詳しく説明する。
真の話を真剣な面持ちでしっかり耳を傾けている。時折、真や慧に質問を交えながら一つ一つの話を飲み込んでいく。
三十分程かけて全てを話した真は慧が買ってきたペットボトルを開け中身を飲み一息つく。
平野先生はその間も何かを考え込んでいるのか目を閉じて押し黙っていた。
その様子を真と慧はどうすることもできなかったので話し出すのを待つことにした。
十分程経っただろうか。目を開き真と慧の顔を確認すると口を開いた。
「にわかには信じられない話だな……」
第一声を聞いた真は予想通りの言葉だったので驚きはなかったが、悲痛な思いを感じた。
しかし、続く言葉を聞いてその気持ちも幾分か和らぐ。
「しかし、荒唐無稽な話だが聞いた感じだとそれがないと説明できないところもいなめないところってとこだな。それにしてもアレだな、おまえにとっては災難だな」
後半の言葉を喋っているときの顔はあきらかに面白がっている顔だった。それについて言いたい事があったが、先にそれよりも聞きたいことを聞いてみる真。
真の聞こうとした言葉は違うところから発せられる。
「信じるんですか!?」
オーバーリアクションじゃないかと思うくらいの勢いで平野先生に問いかける慧。
真は先に聞かれてしまい開いた口を開けたまま何もできなくなってしまう。
慧の勢いに平野先生も若干引いていた。
「と、とりあえず落ち着け。なっ」
平野先生の言葉を聞いても落ち着くことはない慧。
真もどうしたらいいのかわからなくなり二人の様子をただただ見ているしかなかった。
数回のやり取りの後、何とか落ち着きを取り戻した慧を見て平野先生は信じたことに対する説明をしてくれた。
説明を聞いて真はなんとなく納得をし、そして聞きたいことができた。
まさに、晴天の霹靂とはこのことを言うのではないだろうかと思うくらいだった。
説明してくれた内容と言うのが真が事故に遭いはじめて力に目覚めた日まで遡る。
事故にあったときに真はこの病院に運ばれてきており、その時眼の力の最初の犠牲者? になった看護婦が関係していた。
実は、その看護婦が平野先生のカウンセリングを受けていると言うことだったのだ。
一応、力からは解放されてはいるのだが普段からは想像もつかない行動だったのでカウンセリングを受けることになったらしい。
因みに、前回蒼空に連れられて平野先生の部屋に行ったときに、隣の部屋にいたのが彼女だったとの事だった。
話を聞いて真は未だに自分の力の事に対してまだ知らないことがあると大いに実感していた。
新たに判明したことが二つあった。
一つは、力を行使した人物、この場合は真なのだが、その人物に対して恋愛感情が働くと言うことではないということ。
平野先生の仮説では性的感情に近いのではないかと言うことだ。
体の繋がりを求めるほうに作用したことからそのような仮説にたどり着いたと言うことを説明してくれた。
もう一つは、二十四時間で効果がなくなると言うことだったが、それは力を授かった時に説明を受けた事だったので、その事を話そうと口を開こうとしたのだが話しには続きがあった。
二十四時間で力からの開放はされるのだが気持ちとしては留まり続けると言うことだった。
意識としては陶酔状態だったのがなくなるのだが、その時に抱いた気持ちがなくなることが無かったと言うのだ。
その二つを聞いた真は力を授けた人物、フレイヤに対して心の底から怒りがこみあげてくるのが押さえられなくなっていた。
真は表情を隠すことなくその怒りを顔に出していた。
慧は今まで見てきた中で明らかに違う真の表情に本能的だろう、本人の気がつかないうちに数歩後ずさりしていることを後から気がつくくらいであった。
流石にどう声をかけていいのか迷っているようで、慧は沈黙している。
平野先生も真が怒っているのがわかっているので声もかけず席を立ち、部屋の外に出てコーヒーを持って戻って席に座ると一息ついている。
真は子供じみた罵詈雑言を頭の中で繰り返し繰り返しフレイヤを罵っていたのだが、流石に何度もやってるうちに次第に落ち着きを取り戻す。
真の落ち着いたタイミングを見計らったかのように平野先生が真に声をかける。
「とりあえず俺のほうから話せるのはこんなところだな。更に詳しい話になると彼女の了承がないと話せないからそこはわかってくれ」
そこの所は真もカウンセリングを受けている身だ、十二分にわかっていることなので納得して頷いて返事をする。
「まあ、状況によっては彼女を呼んで話することもあるかもしれないから、その時は覚悟を決めてくれよ」
「はっ!?」
さらっととんでもないことを言う平野先生に真は間抜け面で言葉を発していた。言っている意味がわからなかったのだ。
「話してくれたってことはそういうことじゃないのか?」
「違います!!」
はっきりといっておかないと後でどうなるかわからないので、拒否の言葉をしっかりと言う真。
慧はそのやり取りを笑ってみていた。
「そうか……」
残念そうな顔つきで落ち込んでいく平野先生。
気持ちが残っていると聞かされたのにそんなことするわけが真にはありえなかった。
どう見ても新たなことの発見に学者としての顔が見えていたので、どんな顔をされてもそんなリスクの高いことに乗るわけはないのであえて何も言わないことにする。
ある程度の話しが終わったのでどうするか考えたところで真はふと疑問にかられ平野先生に思ったことを聞くことにする。
それは、いま病室に知ると言うことは入院したと言うことではないのかということだ。しかしそれは平野先生の言葉に杞憂に終わる。
状況としては運ばれてきているのだが特に体にも問題ないし、ここにいるのは平野先生の指示なのでこのまま帰ってもらっても問題がないことを告げられる。
その言葉を受け取った真はベットから降りると身支度を整え帰ることにする。
それに伴い慧も一緒に部屋から出て行く。
平野先生もそれについていく形で部屋から出ると看護師に指示を出して真をナースセンターに寄って帰るように言うとそのまま自分の部屋に帰っていった。
ナースセンターに寄った真は治療費の書かれた紙を渡され、一階にある会計で支払いをして病院を後にする。
病院から出た真と慧はもうすぐ夕闇に包まれそうな帰りの並木道を話しながら歩いていた。
「今更ながらなんだけど、平野先生に話してよかったのか?」
「本当に今更だな。それは問題ないよ。信じてもらえたし、夏休みが終わって学校が始まったら何が起こるかわからないからその点で平野先生には期待はしてるから。それに俺達だけでは対応できないときがあったら頼れそうだし。まあ、不安がないといえば嘘になるけど、教えてしまったものは仕方ないかなと思ってるけど納得もしてるから……」
「おまえが納得してるならこれ以上は何も言わないわ」
慧の言葉を聞いて本当にありがたいとしみじみと思った真はふと思い出したので慧に声をかける。
「今日はすまなかったな……」
「……気にするな。まあ、とりあえずは貸し一つだからな。覚えておけよ」
真の謝罪の言葉に大きく目を見開き驚いていたのもつかの間、すぐに笑顔で気にしてないことを伝えながらも冗談ともつかない言葉を言ってくる慧。
流石に今回はよほど悪いと思っていたのであろう、素直に頷いている真。
その後、他愛のない会話をしながらそれぞれの家路に向かう二人。
そのまま二人の家の方向に分かれる道の差し掛かる手前で慧が真に話しかけてくる。
「夏休みが終わったら学園祭だな。覚悟しておけよ」
おまえは何処の悪人だと言いたくなるような悪そうな笑みを湛え真に言い放つ。
覚悟しておけというのは間違いなくCouleurでの約束の事を言っているのであろうと予想をする真。
流石に思い出したくなかったのか嫌そうな顔つきながらも約束してしまった以上は達成しないことを祈りつつ慧に答える。
「約束は守るさ。まあ、達成できたらな」
「覚えているんならそれでいいさ。楽しみにしてるよ。じゃあな」
「……ああ」
慧の勝利宣言のような言葉に訝しさを覚えながらも慧と別れることにした。
首をかしげながら真は家路につくのであった。
家にたどり着くと部屋着に着替える真。
ベットに横たわると今日の出来事を自己反省も交えながら考えに耽っていく。
眼の力の事を少しでも知れたことは収穫だったが、その前のコンビニでの出来事は流石に自分の注意不足だと大いに反省する。
そして平野先生という味方ができたことに対しては頼もしくありながらもこれからのトラブルの原因になりそうかもしれないなとこれからの事を考えている間に気がつくと時間は二十一時をすぎていた。
そのまま、軽めのご飯を作り食べるとすぐに眠気に襲われその日は過ぎていく。
そして夏休みも残りわずかの間、何事もなく夏休みは終わりを迎える。
お読みいただきありがとうございます。
とりあえず一章終了になります。
ラストの終わり方の変更あるかもしれません。
来週の投稿はプロットの修正作業及び家庭の事情によりお休みさせていただきますm(__)m
再来週より投稿予定です。
もしかしたら途中で閑幕入れるかもしれません。




