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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
夏の出会い
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第12話

 そこは異様な雰囲気に包まれていた。


 人々の歓声や罵声など色々な声が飛び交っているが、その声を向けられているのは二人の男である。

 男達は足場は砂、周りは五メートル四方の正方形に金網が囲まれている。

 男達の格好は上半身は裸で下半身は半ズボンと言う格好だ。

 そこで何をしているのかと言うと、単純に殴り合いをしている。よくテレビとかでやっているのとは違いグローブ等のものなどはつけておらず、生身の拳で殴り合っていた。

 

 金網の外側にはかなりの数の観客がいるのだが格好や性別や年齢などは様々のようで、かなりの熱気に包まれているようだ。


 ここはどこなのか? それはCouleurクルールの地下にある殴り合いをする場所。

 地上部分の上の建物ではクラブで楽しんでいる人たちがいるのだが、地下は地下でこのような場所があり、限られた人間が楽しむ場所になっている。

 因みに、この地下の存在は秘匿にされており簡単なことでは入場できないことになっている。

 それはお金がと言うことではなく、秘密を守れる人間なのかどうかが判断になっている。

 まあ、ここでは賭け事も行われているのでお金が全く絡んでないわけではないのではあるが。賭け事と言ってもかけられるお金の上限が一日一人1万円までと決まっているのでここで破産するはずもなかったりする。

 

 ここのルールは単純明快で、相手を気絶させるか、ギブアップさせるかの二択である。ようは、強いのもは誰なのかと言う理念で行われているただの喧嘩である。

 因みに相手を死に至らしめてしまったものは失格となる。今までその場で亡くなることはないのではあるが。

 ここの場所で戦える人達も様々で、素人から経験者まで幅広くいるし、年齢も二十才以上であれば出場資格は認められる。

 認められるまでの調査とかは厳しいのもではあるが、参加を希望する者は後を絶たない。お金がもらえるわけでないのだが、なぜか希望する人間が多いのだ。


 歓声が一段と大きくなる。

 どうやら決着がついたようだ。


 その様子を観客達の後ろ、VIP席のような部屋のガラス窓から、ガラス窓と言っても前面が全部ガラスになっているのだが、そこから男がその様子を眺めていた。


 この男はCouleurクルールのオーナーで大道優志おおみちゆうしと言う。

 黒いスーツをしっかりと着こなし、優しそうな顔立ちではあるのだがどこかに影があるような感じもある男だ。

 決着がついたのを見届けると窓ガラスからは離れ、部屋においてあるソファーに座り、煙草に火を着け煙を一息吐き出した。

 どうすることもなくただ煙草を吸い続けるだけだったのだが、扉がノックされた。


 「入れ」


 入室を促すと一人の男が入ってきた。

 入ってきた者の顔を確認すると煙草を消し立ち上がった。


 「どうだった?」


 大道は男が入ってくるなりそんな事を聞いてきた。周りに事情の知らない人が居れば何のことだかわからないが、入ってきた男は聞いてきた理由など把握済みだ。


 「多分大丈夫なんではないでしょうか」


 「そうか」


 「じゃあ、それでいこうか」


 その言葉を受け取った男は一礼すると部屋から出て行った。

 出て行くのを見届けた後、大道は再びソファーに座り何かを考え込むのであった。





 デートから数日後。


 真はCouleurクルールにバイトに来ていた。もちろん入口で警備をしている。

 不審な人が入場しないようにと、何か問題が起こらないように目を光らせていた。

 時間はもう二十時をまわっている。入口の警備は二人でやっており、時間も時間なのでかなりの人が訪れている。


 真は顔には出ていないが、精神的にかなり疲労困憊だった。

 なぜなら、Couleurクルールに来るのは男性だけではなく女性も来るのだ。それは、どうしようもないことなのでいつも諦めているのだが、今日だけはいつもと違う事情があった。

 

 それは……


 「本当に警備してるんだねぇ」


 真の傍に知り合いの四人が真の様子をみてしみじみと話しかけてきていた。

 もちろん四人とは、慧、蒼空、七海、梓である。

 話しかけてきたのは七海である。

 

 真の働いている姿を見ているのは慧だけなので、他の三人は驚きながらも感心していた。

 そんな様子を慧は笑ってみているだけだった。

 真は仕事中と言うこともあり七海の言葉には答えずひたすら立って仕事に従事していた。

 何を話しても答えてくれない真に次第に不機嫌になっていく七海。

 その様子を見ていた真と一緒に警備していた三十代ぐらいの先輩の男性が真に声をかけてきた。


 「おい、真。話すぐらいなら俺のほうで見てるから大丈夫だぞ」


 「いいんですか?」


 「ああ。その程度だったら大丈夫だから」


 「ありがとうございます」


 先輩に深々と頭を下げて真は四人と少し離れたところで話をすることにした。

 まずはじめに七海の機嫌を直すことだろうなと思いながら。


 少し離れた場所についてすぐにまずは文句を言うことに。


 「仕事中は基本的にお客さんとは私語厳禁なんだから、話しかけられても喋れないんだから少しは察してくれ……」


 七海も何か言いたそうだったのだが、先手を打って真が文句を言うことに。

 真の言葉に三人は納得したようだった。しかし、未だに七海だけは完全には納得していないようだった。


 「それぐらいならその場で言ってくれればいいのに……」


 「それが言えないんだって……」


 呆れた様子で七海の不満をぼやきながら答える真。

 慧と梓は苦笑いしながらその様子を見ていて、蒼空は表情も変えずに見ているだけだった。

 

 「七海、どうしようもないんだから納得しろよ」


 少し困っていた真に慧から援護がはいり、七海もようやく納得したようだ。

 それをみて真は聞きたいことを聞いてみることにした。


 「なんで、みんなここにいるの?」


 「それを聞くかね真君」


 慧がニヤニヤといやらしい笑いで真の質問に答える。

 それを見た瞬間、真は嫌そうな表情で溜息を一つ吐く。

 なんとなくはわかっていたのではあるが、言われると言われないとではまったく違うものだ。

 

 「そうか……」


 これ以上聞いても碌なことにならないと思いこれ以上聞くことはやめる事に。

 それに、先輩にも迷惑かけられないと思い仕事にそろそろ戻ろうかと思っていたところに、意外なところから真に質問が投げかけられた。


 「ここが真が働いているところなのね?」


 聞いてきたのは蒼空だった。

 聞きながらも真の方へは顔を向けず、働いている建物に視線がいっていた。

 

 「そうだよ」


 真の答えるのと同時に視線が真のほうに向けられた。

 その目には蒼空にはありえないくらいの興味が光が瞳に宿っているようだった。

 それを見ていた梓は声には出してはいなかったが、その表情はありありと驚きの表情を見せていた。

 それも気にはなっていたのだが、時間は十分程度ではあるがそろそろ仕事に戻らないとまずいと感じ、四人に一言声をかけると真は仕事に戻っていった。

 四人は真を見送ると入口から建物の中に入っていくのであった。





 四人が建物に入っていくのを見届けた真はもう一度溜息をはいた。

 それを見た仕事の先輩が声をかけてきた。


 「あんな可愛い娘達と話しててなんで溜息なんてつくんだ? 逆に羨ましい限りなんだが」


 先輩のぼやきに苦笑いしか出てこない真。

 仕事の仲間であっても病気の事を教えるわけではないので、真の溜息を勘違いしても仕方がないだろう。

 因みに、仕事仲間には病気の事は話してはいない。例外としてオーナーだけは他言無用の条件で知っているだけだ。

 その交換条件として真はあることに携わっているのである。 

 なので真はどういわれようともどうすることも言い返せず苦笑いをしるしかない。

 

 「そうだとは思いますけど、流石にいきなりこられたらこうなりますって」


 「まあ、それはそうかもしれないけどな……」


 無難な答えを聞いて、先輩はその気持ちを若干ではあるがわかってくれたようだ。まだ、言いたそうな感じではあるが。

 しかし、これ以上はどうすることもいえないので愛想笑いをするしかない真であった。


 「それにしても、おまえにあんな友達がいたとはなあぁ」


 仕事仲間の先輩がこういうのも仕方ないことであろう。

 かれこれ真は働き出してから一年以上たっているのだが、今まで真の知り合いとして来たのは慧だけであり、女のおの字も感じられないくらいだったのだ。

 一時はあっちの噂まであったぐらいである。

 そのな事もあり、真に女性の知り合いがいたことは本当に珍しいことなのである。


 「まあ、慧の知り合いですけどね」


 あんまり変なことを言うとこれ以上何を言われるかわからないので無難ないい訳をしておくことにした真であった。

 慧を言い分けに出したことにも訳があり、真にはなぜだかわからないことではあるが、仕事仲間達は慧のことをえらく気に入っており、かなり仲が良いのだ。

 プライベートでもどこかに飲みに行ったりしてるようで慧の事は仕事仲間の大体の人達はしっている。

 因みに、何で慧と真の仕事仲間達が仲が良いのかと言うと、早い話慧に女性を紹介してもらったり、コンパをセッティングしてもらったりしてるからと言う理由だったりする。

 まあ、慧もタダではそんなこともするはずもなく、真の仕事時の様子などを教えてもらったりしたりしているのであるが、そこは真には秘密にする条件でしっかりと密約を交わしていたりする。

 なので、真には慧が気に入られているようにしか感じられないと言う状況だった。


 「慧ならありえるかもな」


 真の言い訳にも素直に信じている様子の先輩。

 その様子を見ていた真はホッとした表情で仕事に集中することにした。

 

 しかし、真は気がついてはいなかった。

 建物の上の窓からその一部始終を男に見られていたことに。





 建物の中に入った四人は……


 慧以外の三人、蒼空、七海、梓はそれぞれ違う表情をしながらもCouleurクルールに圧倒されていた。

 蒼空は怪訝な表情をしながらもあたりを見回していて、七海は口をあけて言葉も出てこない様子、梓は興奮気味に蒼空の腕を激しく引っ張っていた。

 慧に案内され三人はCouleurクルールのメインの部分まで来た。

 そこには多くの人達が思い思いの事をしながら楽しんでいる。流れている大音量に音楽に踊っている者、テーブルや椅子に座り飲みながら話をしている者、壁際で寄りかかりながら休んでいる者など様々である。


 「すごいねぇ」


 「本当に……」


 七海と梓はかなり圧倒されているようで言葉がそれぐらいしか出てこないようだ。

 しかし、蒼空はずっと怪訝な表情をしたまま黙っている。

 慧が気になって蒼空に話かける。


 「どうしたの? 蒼空ちゃん」


 「…………」


 問いかけられても何も答えない蒼空を、慧と七海と梓の三人は顔を見合わせ首を傾げた。

 特に梓はこの中で一番付き合いが長い分、一番不思議な表情をしているようだ。


 「どうしたのさ蒼空?」


 「…………」


 梓に問いかけられても黙ったままだった。

 そして、何も語らずそのままどこかにいってしまった。

 三人がどうしていいかわからず手をこまねいているところに、不意に声をかけられた。


 「慧じゃん。何でいるの?」


 話しかけてきたのは横山寛よこやまひろしという男だった。

 この男は慧と七海と同じ歯学部に通っていて、見た目と同じく軽い性格をしている男である。

 慧と七海はあからさまに嫌なのに出会ったなぁみたいな顔をしているのだが、当の本人はそれに気がついていない。

 梓だけは知らなかったので当たり前なことを聞いてきた。


 「この人は?」


 答えたくなさそうであったが仕方なく慧は教えてあげることにしたようだ。七海はあからさまに顔を背けていた。


 「こいつは俺と七海が通っている歯学部の同期で、横山って言う奴なんだ。まあ覚えなくてもいいけど……」


 棘のある紹介を受けた梓は、慧達の態度からなんとなく察したようだ。

 しかし、そんな紹介をしてもらった横山はもちろん怒るのは当たり前だろう。


 「おい! 慧。そんな紹介ないだろう」


 「冗談だからそんなに怒るなって」


 実際のところ冗談ではないのだが、仕方なく慧は宥めるように言っている。


 「そうか。それならいいんだよ」


 慧の言葉にあっさりと機嫌がよくなる横山。その様子を見て慧と七海は溜息をつきたくなるのを何とかこらえ梓に改めて紹介してあげた。

 その紹介を受けて横山は梓に話しかけた。


 「はじめまして、横山寛です。よろしくねー」


 「よ、よろしく……。森本梓です」


 勢いのある自己紹介に若干戸惑い気味に返事を返す梓。横山は梓から紹介してもらいすぐに慧のほうをみて再度問いかける。


 「それで、何で慧はここにいるの? あと七海も」


 「ついでみたいに言わないで。ここはクラブなんだから来たって問題ないでしょう」


 「それもそうだな」


 七海に言われて思っていた疑問にあっさりと納得する。

 

 そんな中、蒼空が三人のところに戻ってきた。

 横山はそれを見て激しく動揺している。蒼空は横山の様子を見て首を傾げていた。


 「この人どうしたの?」


 蒼空は慧に問いかけるが、あえて慧は首を振るだけだった。

 当の横山というと、何かを言いたそうにしているのだが言葉が出てこないようで、口はあけっぱなしである。

 蒼空は梓のほうを見て何なのか目で問いかける。

 

 「あんたは仮にも大学じゃ結構有名なんだからそれ相応の態度なんじゃないの?」


 「そうだよ、蒼空さん」


 梓の言葉に七海も納得して相槌をうつ。慧も頷いている様だ。

 そんなやり取りをしていると、横山も落ち着きを少し取り戻した。


 「な、な、何で伊吹さんがいるの? というか何で一緒にいるのよ慧?」


 「何でって言われても、友達だから一緒にいるのは当たり前だろ?」


 「友達!? 友達ってなによ?」


 「いや、友達は友達だろ?」


 「そ、そうだな……」


 動揺は激しいようだ。自分が何を言ったのかわかってなかったようで、かなり混乱している。

 慧と横山のやり取りを見ていた蒼空、七海、梓は残念な人を見るような目でその様子を眺めていた。


 慧は横山をほっといて帰ってきた蒼空に話しかける。


 「急にいなくなったけど、何処に行ってたの?」


 「一通り見てきた」


 「そうなんだ」


 「急にどこか行っちゃうんだもん心配したよ」


 「そうだよー」


 三人は苦笑いで蒼空に声をかける。特に呆れていたのは慧だった。

 この後、案内しようと思っていたのに、見てしまったのでこの後の予定が狂ってしまったが、仕方ないと諦めることにした。


 そして、この後どうしようか悩んでいると放置されていた横山が声をかけてきた。


 「これからどうするんだ? 俺も一緒にいていいか?」


 どう見ても下心丸出しな感じが漂っていたので慧はすぐに拒否した。

 七海も頷いている。

 何度もしつこく頼み込んできたのだが、最終的に蒼空と梓が否定の言葉を言ったところで肩を落としながら横山は去っていった。

 その後姿からはドナドナが聞こえてきそうなほどであった。


 横山がいなくなったことで落ち着いたので、これからどうするか考えていた慧だったが不意に横から見知らぬ男性に声をかけられた。

 

 「ちょっといいかな?」


 声をかけられて訝しげな表情で声をかけてきた男を見定めるように見つめる。

 蒼空、七海、梓も見つめている。


 黒いスーツを着た優しそうな顔の男だった。歳もそれなりに若そうであったが逆にその事が四人の警戒心を煽ることになったのである。


 とりあえず代表して慧が話すことに。


 「すいませんが、どなたですか?」


 「これはすいません。申し遅れました。私はCouleurクルールのオーナーで大道と申します」


 自己紹介を受けて慧は驚くことに。いきなり声をかけられてオーナーなどと言われれば驚くのも無理はないことではあるが。

 しかし、疑問も出てくる。オーナーと名乗る男から話しかけられる用事などあるはずもないのだから、更に疑り深い目で大道と名乗る男を見てしまう。

 その視線に気がついいたのであろう大道は懐から小さいカードケースのようなものを取り出し中から紙を一枚取り出した。


 「まあいきなり話しかけられて疑われるのは当たり前の事でしょうね。これは名刺ですよ」


 そういうと、慧に名刺を差し出す。

 名刺にはしっかりCouleurクルールのオーナーであることと、名前が大道優志としっかり書かれていた。

 慧は名刺を受け取ると書いてあることをしっかりと確認をして七海に渡す。そして七海から梓、蒼空へと渡り皆が間違いがないことを確認する。

 真偽の確認が取れ、少し落ち着いたので慧は聞いてみることにした。


 「そのオーナーの大道さんが私達に何の御用でしょうか?」


 

 「入口のところで神代君と話しているところを見かけてね、それでちょっと声をかけさせてもらったんだけど、君達は神代くんの友達なのかな?」


 「そうですけど……」


 慧の言葉に嬉しそうに何度も頷いている大道。

 四人は何の用事があって声をかけてきたのか早く知りたいようだったが、どうしていいかわからず戸惑っているのだが、その中で一人そうでない人物がいた。蒼空である。

 蒼空は一歩前に出ると大道に問いかけた。


 「それで何か用があるの?」


 「君達に聞きたいことがあってね。聞いてもいいかな?」


 「教えられることだけなら」


 「別にたいした事ではないんだよ。今日は何で君達がこの店に来た理由を知りたくてね」


 笑顔で聞いてくる大道に対して蒼空は特に表情に変化なく答える。


 「真の働いているところを見に来た。それだけ。この店には興味はない」


 蒼空の言葉を聞いて驚いた梓はすぐさま蒼空の後ろか口を押さえ、慌てて大道に謝った。


 「すいません。この子も悪気があっていったわけじゃないんで」


 そのやり取りを見ていた大道は声をあげて笑っていた。

 その様子を見て蒼空以外の三人は茫然としていた。蒼空は何かを言っているのだが梓に口をふさがれて何を言っているのかわからない。


 ひとしきり笑った大道は落ち着きを取り戻し、着ていたスーツの襟をただし話しかけてきた。


 「別にかまわないよ。来る目的なんて人それぞれだからね。それにしては君はなかなかはっきりと自分の意見を言う人なんだね」


 蒼空に話しているのだが当の本人は未だに口を塞がれていた。

 そのことに気がついた梓は慌てて手を蒼空の口から放した。

 

 「ごめん。蒼空」


 「……」

 

 梓の言葉に何も言わない蒼空。見る限り若干怒っているようにも見えるのだがいかんせん蒼空なのだ、いまいち読み取れない。

 しかし、流石に付き合いが長いだけある梓はしっかり怒っているのを感じ取ったのであろう、再度蒼空に謝って、蒼空も今度も無言だったがちゃんと頷いていた。


 一つ咳払いをして大道は再度四人に向かって話しかけてきた。


 「話を戻しても大丈夫かい?」


 「あっ、はい。どうもすいません」


 梓は大道に頭を下げしっかり謝った。


 「君達は全員、神代君に会いに来たって事でいいのかな?」


 「はい。そうです」


 「そうか……」


 慧の答え後、大道は考え込むように黙り込んだ。

 数十秒後、四人に大道は聞いてきた。


 「君達は口は堅いほうかな?」


 急に脈絡もないことを聞かれ四人は戸惑った。

 どう返していいかわからずにしていると再度大道から聞かれた。


 「まあ急に言われても仕方ないかな。しかしこの質問に答えてくれたら神代君の事で面白いことを見れることを約束しよう。どうかな?」


 「…………」


 慧は考えているが横からその答えはすぐに出てきた。


 「私は大丈夫」


 もちろん答えたのは蒼空だ。

 蒼空の言葉を聞き、慧は七海と梓に目を向ける。七海と梓も一瞬考えたのだがすぐに首を縦に振る。


 「俺達も大丈夫です」


 四人の答えを聞いて大道は笑顔になると懐から携帯を取り出し、慧達から少し離れるとどこかに電話をかける。

 電話が終わると再び慧達の傍に来ると


 「とりあえず付いて来てくれないかな?」


 「何処行くんですか?」

 

 「私の部屋で書いてもらいたいものがあるんだよ」


 「何をですか?」


 「守秘の契約書さ」


 そう言うと大道は四人を促し、自分の部屋へ連れて行くのであった。

お読みいただきありがとうございます

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