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赤翼のワイダー  作者: 忍絵 奉公


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第71話 掴み取る覚悟


翌日。

三人はギルドに呼ばれていた。

受付の男が袋を差し出す。

「よくやった」

中には金貨十枚。

ユウが目を輝かせる。

「すご……!」

シリューも感心する。

「大仕事だったからな」

アリューは静かに受け取る。

そしてもう一つ。

あの時手に入れた青い魔石。


ユウが聞く。

「売らないの?」

アリューは首を振る。

「いや、持っとく」

魔石を見つめる。

「水系だろこれ」

シリューが頷く。

「ああ、多分な」

アリューが小さく笑う。

「電撃と相性いいかもしれねぇ」

ユウが言う。

「合体技みたいになる?」

アリューがニヤリとする。

「試してみる価値はある」


そして午後。

三人はいつもの場所へ。

池。

訓練再開。


アリューが言う。

「昨日の反省だ」

シリューも頷く。

「上下の隙」

ユウが腕を組む。

「どうする?」


アリューが指差す。

池の端。

岩壁。

「これ使う」

シリューが理解する。

「なるほど」

ユウも気づく。

「三角の一辺を固定するんだ」


作戦はこうだ。

アリューとシリューで挟む。

そして。

岩壁を第三の壁にする。

逃げ場は上。

そこをユウが押さえる。


「いくぞ」

バシャッ!!

三人は飛び込む。


水の中。

濁り。

だが見える。

感じる。

三匹の気配。


アリューが動く。

一匹を選ぶ。

追う。

逃がさない。

シリューが回り込む。

進路を切る。

魚が焦る。

方向を変える。

だが。

そこに岩壁。


完全な袋小路。

魚は上へ逃げるしかない。


ユウが待つ。

水面近く。

目は閉じたまま。

呼吸を整える。

(来る……!)


下で圧が変わる。

流れが上がる。

魚が跳ねる。


その瞬間。

ユウが手を伸ばす。

左手を突き出す。


ガブッ!!

鋭い痛み。

魚が噛みつく。

左手に。


ユウの顔が歪む。

「っ……!!」

だが離さない。


シリューが叫ぶ。

「ユウ!!」

アリューも動く。

「離せ!!」


だがユウは首を振る。

「……大丈夫」

声は震えている。

だが強い。


魚は暴れる。

食いちぎろうとする。

だが、歯が通らない。


ユウの手。

弓を引き続けて鍛えられた握力。

そして水泳で鍛えた筋肉。

その密度はもはや常人ではない。


魚がさらに力を込める。

だが無理だ。

逆に。

ユウが掴み返す。


「逃がさない」

低く。

はっきりと。


そのまま。

ユウは浮上する。

魚をつけたまま。

左腕に噛みつかれたまま。


バシャァッ!!

イルカの如く水面を破ってジャンプする。


アリューとシリューも上がる。

そして見る。


ユウの腕。

そこにぶら下がるゴライアスタイガー。


シリューが呆然とする。

「……マジか」

アリューが笑う。

「捕まえたな」


ユウは息を切らしながら笑う。

「……うん」

少し涙が出る。

痛みと達成感。


その瞬間。

魚の力が抜ける。

完全に捕獲。


アリューが肩を叩く。

「よくやった」

シリューも言う。

「完璧だ」


ユウは座り込む。

左手を見ながら。

「めっちゃ痛いけどね……」

三人は笑った。


池の水面が揺れる。

残りは二匹。

だが。

もう迷いはない。


三人はついに一匹目を捕らえた。


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