第68話 見えない戦い
アリューが低く言う。
「つまり」
シリューが続ける。
「倒すしかない」
ユウが拳を握る。
「やるしかないね」
三人は地面に立っていた。
だが。
普通の着地ではない。
シリューの魔法。
地面一面に広がるふさふさの草。
それがクッションとなり、三人の命を救った。
そして、決める。
アリューが言う。
「目を閉じる」
シリューが頷く。
「見たら終わりだ」
ユウも深く息を吸う。
「……うん」
三人は同時に目を閉じた。
暗闇。
完全な闇。
だが、全く怖くない。
一週間以上にわたる訓練。
いや、それ以上。
水の中で得た感覚。
気配。
流れ。
音。
それが今、すべてを映し出す。
ズシン……ズシン……
来る。
ギガントメガデス。
巨大な気配。
重い足音。
そして止まる。
シリューが小さく言う。
「来るぞ」
次の瞬間。
ブンッ!!
風を切る音。
何かが飛んでくる。
アリューが叫ぶ。
「石だ!!」
三人が同時に動く。
避ける。
背後でドゴォン!!
大木が砕ける。
ユウが言う。
「見せようとしてる……!」
シリューが頷く。
「ああ」
「目を開けさせるためだ」
次々と飛ぶ石。
枝。
土。
あらゆるもの。
罠。
フェイント。
だが三人は開けない。
絶対に目は。
アリューが笑う。
「無駄だ」
シリューも言う。
「全部見えてる」
ユウが小さく言う。
「感じてる」
ギガントメガデスが止まる。
苛立ち。
そして突進。
ドォォォン!!
地面が揺れる。
アリューが動く。
「行くぞ!!」
剣を抜く。
踏み込む。
見えていない。
だが、分かる。
位置。
距離。
タイミング。
ズバァッ!!
斬撃。
手応え。
だが浅い。
皮膚が硬い。
シリューが横から入る。
「こっちだ!!」
瞬発力。
異常な速度。
足元に手をつく。
魔力が流れる。
植物魔法。
ドゴゴゴゴ……!!
地面から巨大な根が突き上がる。
ギガントメガデスの足を絡め取る。
動きを止める。
ユウが構える。
弓。
呼吸を整える。
「今……!」
矢を放つ。
だがただの矢じゃない。
爆発魔法付き。
ヒュンッ!!
一直線。
そして・・ドォォォン!!
爆発。
衝撃。
巨体が揺れる。
アリューが叫ぶ。
「畳みかけるぞ!!」
手に雷を宿す。
バチバチバチ……!!
稲妻。
剣に纏う。
そして突進。
ギャァァァァァァ!!
ギガントメガデスの咆哮。
アリューが跳ぶ。
そしてズバァァァァッ!!
雷斬。
深く入る。
シリューがさらに拘束を強める。
「逃がすな!!」
根が締め上げる。
ユウが連射する。
「終わらせる!!」
ドォン!!ドォン!!ドォン!!
爆発。
連続。
煙。
衝撃。
そして。
静寂。
しばらくして。
巨体がズゥン……
倒れた。
動かない。
完全に。
ユウが息を切らす。
「……やった?」
シリューが慎重に言う。
「多分な」
アリューが近づく。
気配を探る。
そして。
「終わりだ」
三人は目を閉じたまま。
動く。
慎重に。
ギガントメガデスへ。
アリューが言う。
「血を使うぞ」
シリューが頷く。
ユウも準備する。
しかし誤算だった。
稲妻の魔法と爆発の魔法。
これがギガントメガデスの血液を凝固させてしまっている。
血は手のひら一杯分搾り取るのが精いっぱいだった。




