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赤翼のワイダー  作者: 忍絵 奉公


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第66話 空と目


その日は結局、ダメだった。

何度やっても同じ。

追い込む。

囲む。

完璧に見える。

だが・・バシャッ!!

ゴライアスタイガーは空へ逃げる。

水面を破り、跳ね上がり、包囲を無効化する。

ユウが悔しそうに言う。

「また……!」

シリューが息を吐く。

「三角はいいけど」

「上下が空いてる」

アリューが頷く。

「完全じゃないな」

水の中だけじゃ足りない。

立体。

それが必要だった。


翌日。

空気が変わる。

訓練ではない。

依頼。

ギルドからの呼び出し。

受付の男が言った。

「北の森に、一つ目ギガントメガデスが出た」

三人は顔を見合わせる。

アリューが聞く。

「ギガント……メガデス?」

男が頷く。

「三メートル級の巨体」

「緑色の皮膚」

「トロールと間違われるが――」

少し間を置く。

「違うのは“目”だ」

空気が重くなる。

「一つ目、そして・・その視線を受けると石化する、と言われている」


ユウが小さく呟く。

「石化……」

シリューが眉をひそめる。

「厄介だな」

男が続ける。

「だから普通は戦わない。見つけたら逃げる。それがセオリーだ」

アリューが腕を組む。

「じゃあなんで依頼に?」

男の表情が引き締まる。

「出た場所が悪い」

地図を指す。

「街に近い。このままだと被害が出る」

沈黙。

三人は理解した。

逃げられない理由を。


外へ出る。

空は高い。

風が吹く。

久しぶりの感覚。

ユウが笑う。

「乗るの久しぶりだね」

そこにいたのは三匹のワイバーン。

アルフェリス。

スノウェル。

ブモー。

それぞれが主を見て鳴く。


アリューがアルフェリスに乗る。

シリューはスノウェルへ。

ユウはブモーの背へ。

手綱を握る。

アリューが言う。

「行くぞ」

三人同時にバサァッ!!

翼が広がる。

風が巻き上がる。

地面が遠ざかる。


空。

久々の感覚。

速い。

自由。

森が下に広がる。

北の森。

深い緑。

静かすぎる。

シリューが言う。

「気をつけろ」

「目を合わせるなよ」

ユウが頷く。

「うん……」

だが。

どこにいる?

見えない。

気配も薄い。


その時。

ブモーが小さく唸る。

「ブモモ……」

ユウが反応する。

「何かいる」

アリューが目を細める。

森の奥。

木々の間。

何かが動く。

ゆっくり。

重く。

そしていた。

巨大な影。

三メートル。

緑色の肌。

そして、顔の中心に一つの目。

ギガントメガデス。

それが、ゆっくりと顔を上げた。

アリューの背に冷たいものが走る。

「見るな……!」

だが、遅い。

その目がこちらを捉えた。

空気が凍る。

視線が刺さる。

ユウの息が止まる。

シリューが叫ぶ。

「目を逸らせ!!」


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