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赤翼のワイダー  作者: 忍絵 奉公


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第65話 三人の包囲


グラナディスは言っていない。

「協力するな」とは。

だから三人は考えた。

これはルール違反じゃない。

むしろ、攻略法だ。


作戦は単純。

だが理にかなっている。

アリューが言った。

「最初はユウだ」

ユウが驚く。

「え、私?」

シリューも見る。

アリューは頷いた。

「一番年下だしな」

少し間を置く。

「あと、お前が捕まえられなきゃ、三人同時クリアは無理だ」

ユウは少し黙った。

そして。

「……やる」

小さく頷いた。


放課後。

三人は迷わず裏庭へ向かう。

服を脱ぐ。

構える。

そしてバシャッ!!

同時に飛び込む。

水が跳ねる。


隣の温泉。

そこには三匹のワイバーン。

のんびりと湯に浸かっている。

グラナディスも腕を組んで見ていた。

「……ほう」

小さく呟く。


池の中。

濁った水。

視界はない。

だが三人には見えていた。

水の流れ。

圧。

気配。

そこに三匹のゴライアスタイガー。


アリューが動く。

「こいつだ」

一匹を選ぶ。

水の流れが変わる。

魚が動く。

逃げる。

しかしアリューは追う。

その動きははっきりと二人に伝わる。

言葉はいらない。

シリューが動く。

「そっちか」

回り込む。

進路を読む。

そして塞ぐ。

魚が方向を変える。

だが、ユウが待っている。

三人の位置は、三角形。

中心に魚を追い込む。


シリューが思う。

(来る)

魚が突っ込んでくる。

噛みつく速度。

危険。

だが、今なら、体が違う。

筋肉。

反応。

恐怖が薄れている。

(いける)

仮に噛まれても。

耐えられる。

そして回復魔法もある。

シリューは一歩も引かなかった。


魚が逃げる。

アリューが詰める。

ユウの方へ。

ユウは待つ。

手を伸ばす。

(今……!)

魚の動きが見える。

完全に。

えらの位置。

角度。

流れ。

すべて読める。

(捕まえられる!)

指が届く。

その瞬間。

バシャッ!!

魚が跳ねた。

水面へ。

一気に飛び出す。

光。

そして落ちる。

ユウの手は空を掴んだ。

魚はそのまま、逆方向へ逃げる。

三人の包囲が崩れる。


浮上。

バシャッ!!

ユウが息を吸う。

「はぁ……!」

アリューも上がる。

シリューも続く。

ユウが悔しそうに言う。

「あとちょっとだったのに……」

シリューが言う。

「いや、今のは完璧に近い」

アリューも笑う。

「いけるな」

ユウは拳を握る。

「次は捕まえる」

水面が揺れる。

ゴライアスタイガーはまだ三匹。

しかし、三人の距離は確実に縮まっていた。



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