第61話 ザックル訓練法
三人は森での三日間を終えた。
ラ・セレールも行く当てがないというので、うちに住むかと聞いた。
ひとしきり感動して、ひととおり泣いて、お手伝いさんとして働くと言った。
街に戻る。
まず向かったのはギルド。
ユウが袋を下ろす。
「これ全部」
受付が驚く。
「多いですね」
中身は盗賊たちの武器。
剣、斧、ナイフ。
受付が一つずつ確認する。
「魔力紋を見ます」
武器には持ち主の痕跡が残る。
それで個人判定するらしい。
しばらくして。
結果が出た。
「合計で――」
「金貨五十八枚です」
ユウが固まる。
「え?」
シリューも驚く。
「多くない?」
アリューは笑う。
「いいじゃん」
袋に入る金貨。
ジャラッ。
かなりの重さだった。
次にアリューが取り出す。
「これ」
レッドコングの耳。
受付が目を細める。
「……これは」
「少し時間がかかります」
「鑑定に回します。3日程かかると思いますので、また来週に来てください」
アリューが頷く。
「頼む」
三人はギルドを出た。
そして家に戻った。
扉を開ける。
するとグラナディスがいた。
腕を組んで立っている。
三人とラ・セレールを見る。
そして。
3人に近づいてクンクンと匂いを嗅ぐ。
アリューが嫌そうに言う。
「犬かよ」
グラナディスが一言。
「……魔法使ったな」
三人が固まる。
ユウが言う。
「いや、その」
シリュー。
「仕方なく」
アリュー。
「敵が強くて」
「私を助けるために」
ラ・セレール。
グラナディスは黙る。
数秒。
そして言った。
「言い訳はいい」
三人がビクッとする。
しかし次の言葉は意外だった。
「特別メニューを用意した」
ユウが小声で言う。
「来た…」
シリューも顔をしかめる。
「嫌な予感」
アリューはニヤリ。
「面白そう」
裏庭へ行く。
そこには温泉。
湯気が立っている。
そして。
その中でくつろぐ影。
ワイバーン。
ユウが驚く。
「またくつろいでる!?」
グラナディスは無視する。
その隣。
地面が大きくえぐれていた。
巨大な穴。
中には水がたっぷり。
まるで小さな沼。
グラナディスが言う。
「この中にいる」
三人が覗く。
水面が揺れる。
何かいる。
グラナディスが続ける。
「ゴライアスタイガー」
「魔物化した魚だ」
ユウが言う。
「魚?」
その瞬間。
バシャッ!!
水面から影が飛び出す。
鋭い牙。
巨大な体。
すぐに水中へ戻る。
シリューが言う。
「やばそう」
グラナディスが言う。
「三匹いる」
アリューが笑う。
「いいね」
グラナディスは指を立てた。
「条件がある」
三人が見る。
「殺すな」
ユウが言う。
「え?」
「捕まえろ」
シリューが眉をひそめる。
「どうやって」
グラナディスが言う。
「素手でもいい」
「道具使ってもいい」
そして一番大事なことを言った。
「無酸素でやれ」
ユウが固まる。
「え?」
シリュー。
「水中ってこと?」
グラナディスが頷く。
「そうだ」
アリューがニヤリ。
「面白い」
グラナディスが続ける。
「かなり効果が高い訓練だ」
「名を――」
少し間を置く。
「ザックル訓練法」
ユウが首をかしげる。
「ザックル?」
シリューも言う。
「あ」
アリューが言う。
「それって」
グラナディスは少しだけ笑った。
「昔の友人だ」
三人が顔を見合わせる。
ユウが言う。
「友人?」
シリューが呟く。
「元気かな」
アリューはすでに池を見ていた。
「よし」
服を脱ぎ始める。
「やるぞ」
水面が揺れる。
その下には凶暴な魚。
三人は新たな地獄に足を踏み入れた。




