第59話 禁じられた魔法
レッドコングは想像以上に強かった。
ユウが弓を構える。
弦を引く。
ギリ……
狙う。
放つ。
ヒュン!
矢はまっすぐ飛んだ。
しかし――
カンッ。
弾かれた。
ユウが驚く。
「え?」
もう一度。
ヒュン!
今度は刺さる。
だが。
ほんの少しだけ。
レッドコングはまったく気にしていない。
「ゴォォ!」
腕を振り回す。
アリューが前に出る。
「なら」
槍を構える。
全力で突く。
ドンッ!!
強烈な一撃。
しかし。
レッドコングは片手で槍を掴んだ。
ミシミシ。
バキッ。
槍が折れた。
アリューが舌打ちする。
「硬すぎ」
その横で。
シリューが動く。
地面を蹴る。
速い。
左へ。
右へ。
レッドコングの視界をかく乱する。
「こっちだ」
槍を突く。
しかし。
レッドコングは腕を振る。
ガシッ。
槍を掴まれた。
シリューの体が持ち上がる。
「やば」
そのまま――
ブンッ!!
投げられた。
シリューは空を飛ぶ。
そして。
ドガァン!!
洞窟の壁に叩きつけられた。
槍が壁に突き刺さる。
シリューは地面に落ちた。
ユウが叫ぶ。
「シリュー!」
シリューはうめく。
「……生きてる」
レッドコングはゆっくり歩く。
動きはそれほど速くない。
だから、三人とも避けられる。
しかし、決め手がない。
アリューが殴る。
ドン!
しかし効かない。
レッドコングが殴る。
三人は逃げる。
戦いは続く。
時間が流れる。
息が荒くなる。
ユウ。
「はぁ……」
アリュー。
「くそ……」
シリュー。
「硬すぎる」
三人とも疲れてきた。
その時、ユウが止まる。
目を閉じる。
手を前に出す。
空気が変わる。
アリューが気づく。
「おい」
ユウは呟く。
「……魔法」
シリューが叫ぶ。
「ダメ!」
しかし、ユウは止まらない。
魔力を練る。
アリューもニヤリと笑った。
「なら、俺も」
手を上げる。
バチバチと音がする。
電撃。
シリューが叫ぶ。
「魔法禁止でしょ!!」
しかし遅かった。
ユウが叫ぶ。
「爆裂!!」
アリューも叫ぶ。
「雷撃!!」
二つの魔法が同時に放たれた。
バチィィィィ!!
電撃がレッドコングを包む。
レッドコングの目が白目。
そして。
ドォォォォン!!
爆発。
煙。
洞窟が揺れる。
静寂。
煙が晴れる。
そこには――
レッドコングの体。
腹に
巨大な穴。
ゆっくり倒れる。
ズドォン。
死んだ。
ユウが息をつく。
「勝った……」
アリューが笑う。
しかし。
シリューが近づく。
地面を見る。
そこには魔石。
粉々。
シリューが言う。
「……あ」
ユウも見る。
「砕けてる」
アリューも肩を落とす。
「残念」
レッドコングの魔石。
本来ならかなり高く売れる。
しかし、粉々だった。
三人は顔を見合わせた。
そして、同時に笑った。
「まあ・・生きてるしな」
洞窟の奥で戦いは終わった。




