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赤翼のワイダー  作者: 忍絵 奉公


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第58話 洞窟の怪物


 洞窟の中は暗かった。

 湿った空気。

 水滴の音が響く。

 ポタ……ポタ……

 アリューが先頭。

 その後ろにシリュー。

 少し遅れてユウが入る。

 三人はゆっくり奥へ進んだ。

 やがて。

 広い空間に出る。

 そこには・・男たち。

 椅子に座り込んでいる。

 酒を飲んでいる。

 笑っている。

 全部で

 十三人。

 賊たちだった。

 奥には大きな布で覆われた巨大な何か。

 アリューたちは普通に歩いて入った。

 スタスタ。

 賊たちが気づく。

「……あ?」

「誰だ?」

 ざわつく。

 中央に座っていた男。

 太った男。

 首領らしい。

 その男の目がユウに止まった。

 ニヤリと笑う。

「おい、いい女じゃねぇか」

 立ち上がる。

 ユウに近づく。

「かわいがってやるよ」

 手を伸ばした。

 その瞬間。

 ドスッ。

 男の手のひらに槍が突き刺さった。

「ぎゃあああ!」

 首領が叫ぶ。

 アリューが槍を首領の手に突き刺した。

 首領は慌てて後ろに下がる。

 血が流れる。

 怒鳴る。

「お前ら!何ボーっとしてんだ!やれ!!」

 残りの十二人が一斉に立ち上がる。

 ナイフ。

 剣。

 斧。

 賊たちが襲いかかる。

 しかし、戦いは一瞬だった。

 シリューが突く。

 ドスッ。

 一人倒れる。

 ユウの矢。

 ヒュン!

 ドスッ。

 また一人。

 アリューの槍。

 ズバッ。

 首に刺さる。

 賊たちは混乱する。

「なんだこいつら!強いぞ!」

 しかしもう遅い。

 数秒後。

 床には十二人の死体。

 静寂。

 首領だけが震えていた。

「ば……化け物……」

 後ろへ逃げる。

 洞窟の奥。

 布に手をかける。

 そして・・バサッ、布を引き剥がした。

 そこにあったのは、巨大な檻。

 中にはレッドコングか?。

 全身赤い毛。

 巨大な腕。

 鋭い牙。

 狂暴な魔物。

 首領は慌てて鍵を外す。

「こいつらを!殺せ!」

 ガチャッ。

 檻が開く。

 レッドコングはゆっくり立ち上がった。

 目が赤く光る。

 興奮している。

 そして最初に見たのは、目の前の男。

 首領だった。

 首領が叫ぶ。

「おい!こっちじゃ・・」

 その瞬間。

 ドンッ!!

 巨大な足。

 首領を踏みつぶした。

 骨が砕ける音。

 血が飛ぶ。

 首領は一瞬で死んだ。

 ユウが呟く。

「……あ」

 レッドコングは檻の外へゆうゆうと出てくる。

 アリューたちを見る。

 ゴォォォォ!!

 咆哮。

 洞窟が震える。

 シリューが槍を握る。

「でかいな」

 ユウが弓を引く。

「本気だね」

 アリューは笑った。

 槍を構える。

「いいね」

 そして言った。

「面白くなってきた。」

 巨大な魔物と三人の戦いが始まろうとしていた。



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