第54話 森の工夫
夜の戦いは、すぐに終わった。
最後の一匹。
狼がシリューに飛びかかる。
しかしシリューの方が速かった。
「来たな」
地面を蹴る。
ドン!
狼の背中へ飛び乗った。
「暴れるな」
ナイフを握る。
そして――
ザク!ザク!ザク!
何度も突き刺す。
狼は暴れた。
転がる。
木にぶつかる。
それでもシリューは離れない。
最後に。
グサッ。
狼は動かなくなった。
静寂。
ユウが言う。
「終わった…」
アリューが頷く。
「四匹か」
シリューは狼の体を切り開く。
しばらく探る。
そして取り出した。
小さな石。
青白く光っている。
「魔石」
大きさは
1〜2センチ。
ユウが目を輝かせる。
「売れる?」
アリューが言う。
「たぶんな」
シリューは水筒の中に入れた。
「あとで魔石屋」
三人は焚き火のそばで眠った。
翌朝。
空はまだ紫色。
森の朝は早い。
アリューが目を覚ます。
「寒いな」
三人は川へ行った。
顔を洗う。
冷たい水。
眠気が消える。
シリューが言う。
「ナイフだと」
「近すぎる」
ユウも頷く。
「昨日怖かった」
アリューが言う。
「武器作ろう」
午前中は
武器作り。
アリューとシリューは槍。
長い枝を探す。
まっすぐな木。
ナイフで削る。
先端を尖らせる。
石で叩く。
さらに硬くする。
シリューが試す。
「悪くない」
ユウは別の作業。
弓を作っていた。
しなる枝。
細く削る。
問題は弦。
ユウは狼の毛を集めた。
束ねる。
ねじる。
結ぶ。
試しに引く。
「おお」
意外と強い。
シリューが言う。
「いい感じ」
矢も作る。
細い枝。
先端を尖らせる。
簡単だが十分だった。
昼。
三人は狼の肉を焼いた。
焚き火。
肉の匂い。
しかし。
ユウが一口食べて言う。
「……」
シリューも食べる。
「……」
アリューも食べる。
「……」
ユウが言った。
「味」
シリュー。
「ない」
アリュー。
「肉味だけ」
塩がない。
香草もない。
正直――
あまり旨くない。
ユウが言う。
「調味料ほしい」
シリューが頷く。
「ハーブとか」
アリューが立ち上がる。
「午後は」
「それ探そう」
森を歩く。
葉。
花。
匂いを嗅ぐ。
ユウが言う。
「これ?」
シリュー。
「草」
アリュー。
「ただの草」
しばらく歩く。
その時。
アリューが上を見た。
「お」
木の枝。
そこにあった。
大きな塊。
黄色い。
丸い。
ユウが言う。
「まさか」
シリューが言う。
「それ」
アリューが笑う。
「ハチの巣だ。」
ユウが目を輝かせる。
「蜂蜜!」
シリューが冷静に言う。
「でも」
上を見る。
周囲を飛ぶ影。
ブン…
ブン…
ユウが小声で言う。
「蜂」
アリューが笑う。
「だな」
シリューが言う。
「刺される」
ユウが聞く。
「どうする?」
アリューは腕を組んだ。
そして言った。
「簡単」
地面の枯れ葉を拾う。
「煙」
ニヤリと笑う。
「蜂は煙に弱い。」
三人の顔に悪い笑みが浮かんだ。




