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赤翼のワイダー  作者: 忍絵 奉公


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第53話 竜のサバイバル訓練


 翌朝。

 まだ空が白い時間。

 グラナディスは三人を叩き起こした。

「起きろ」

 アリューが目をこする。

「早い…」

 ユウはまだ半分寝ている。

 シリューは布団の中で丸まっていた。

「寒い」

 グラナディスは容赦しない。

「出発だ」

 三人は顔を見合わせる。

「ほんとにやるのか」

「森?」

「三日?」

 グラナディスは荷物を放り投げた。

 袋が三つ。

 中を見る。

 ナイフ一本。

 水筒一本。

 それだけ。

 アリューが言う。

「少なすぎないか?」

 グラナディスが答える。

「十分だ」

 ユウが言う。

「食べ物は?」

 グラナディス。

「現地調達。」

 シリューがため息をつく。

「絶対そうだと思った」


 三人は森の入口に立っていた。

 朝霧が漂う深い森。

 木が高い。

 影が濃い。

 鳥の声。

 風の音。

 グラナディスが言う。

「三日」

 指を立てる。

「生き残れ」

 ユウが聞く。

「何してもいいの?」

 グラナディス。

「いい」

 少し笑う。

「ただし魔法は禁止。あと・・」

 目が細くなる。

「助けない。」

 三人は顔を見合わせる。

 アリューが言う。

「死んだら?」

 グラナディス。

「その程度だ」

 シリューが言う。

「厳しい」

 グラナディスは森を指した。

「行け」


 森の中。

 三人は歩いていた。

 アリューが言った。

「でもさ。俺たち小さい頃から、誰もいない村で暮らしてきたんだよな」

 しばらくしてユウが言う。

「そうだね。でも魔法禁止だってさ。・・まず食料だよね」

 シリューがうなずく。

「水も」

 アリューが周囲を見る。

「川を探そう」

 三人は森を進む。

 やがて水の音。

 小さな川だった。

 ユウが喜ぶ。

「よかった!」

 シリューは石をひっくり返す。

「魚いる」

 アリューが言う。

「じゃあ」

「今日は魚だ」


 昼。

 シリューがナイフで枝を削る。

 簡単な槍。

 ユウが火を起こす。

 石と乾いた葉。

 アリューが川に入る。

 アリューは川に電気を流すと、魚が簡単に取れる事を知っていたが、魔法は禁止だ。

 まじめに魚を狙う。

 しばらくして

 バシャ!

 魚を突いた。

 ユウが喜ぶ。

「やった!」

 シリューが笑う。

「今日は豪華」

 魚を焼く。

 煙。

 香ばしい匂い。

 三人は少し安心した。


 しかし。

 夜。

 森は別の顔になる。

 音が変わる。

 風。

 枝の音。

 遠くで。

 グルルル…

 低い唸り声。

 ユウが小声で言う。

「今の」

 シリューも聞いた。

「魔物」

 アリューが立ち上がる。

 森の奥。

 目が光る。

 三つ。

 いや。

 四つ。

 影がゆっくり近づく。

 牙。

 毛。

 狼のような魔物。

 ユウが言う。

「四匹」

 シリューが槍を構える。

「囲まれる」

 アリューは拳を握った。

 少し笑う。

「ちょうどいい」

 ユウが驚く。

「え?」

 アリューは言う。

「グラナディスの」

 頬の傷を指で触る。

「特別メニューだろ。」

 狼が飛びかかる。

 その瞬間。

 アリューが踏み込む。

 ドン!

 一匹が吹き飛んだ。

 シリューが横から木の棒を突く。

 ユウが火の枝で牽制する。

 森の夜に戦いが始まった。


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