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赤翼のワイダー  作者: 忍絵 奉公


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第29話:緑の力


 三人はグリフォンの死体の横で座り込んでいた。

 手にはそれぞれ魔石。

 風の魔石。

 赤い魔石。

 アリュウはそれを見て言った。

「シリュウ」

「うん?」

「これ、お前が使え」

 アリュウは水色と薄緑が混ざった風の魔石を差し出した。

 シリュウは目を丸くする。

「え、いいの?」

 ユウが笑う。

「シリュウって攻撃魔法ないもんね」

 確かにそうだった。

 シリュウの魔法は回復系。

 戦闘では支援ばかりだった。

 アリュウは頷いた。

「風なら攻撃にも使えるだろ」

 シリュウは少し考え、嬉しそうに受け取った。

「ありがとう」

 次にアリュウは、赤い魔石をユウへ渡した。

 炎のように輝く石。

 ユウの魔法は――

 爆発。

 相性は明らかだった。

 ユウは目を輝かせた。

「うわ……これ絶対強くなるやつ!」

 アリュウは腕を組んで笑った。

「次は俺の番な」

「いい魔石見つけないとな」

 三人は少し笑った。

 そのとき。

 シリュウが自分の首に下げている緑の魔石を見た。

「ねえ」

「うん?」

「この緑の魔石ってさ」

 シリュウは首を傾げた。

「回復だけなのかな?」

 アリュウとユウは顔を見合わせる。

「さあ?」

「試してみれば?」

 シリュウは目を閉じた。

 いつもは「回復」をイメージする。

 傷を癒す光。

 だが今回は違う。

 何もイメージしない。

 ただ――

 魔力を流す。

 その瞬間。

 ザワッ

 周囲の草が揺れた。

 次の瞬間――

 ニョキッ

 草が伸びた。

「え?」

 さらに。

 ニョキニョキニョキ!!

 周囲の草木が、急に成長し始めた。

 枝が伸びる。

 葉が広がる。

 小さな木が一瞬で背丈ほどに伸びた。

「うわっ!?」

 ユウが叫ぶ。

 アリュウも目を見開いた。

「なんだこれ!?」

 さらに周囲では――

 オーガたちが大騒ぎしていた。

「グォォ!?」

「グラァァ!!」

 森の植物が急成長する光景に、完全に恐れおののいている。

 その中で。

 シリュウは首を傾げた。

「……もしかして」

 ニヤリと笑う。

「植物、動かせたりして」

 そう言って、もう一度魔力を流した。

 近くにあった小さな木。

 その根が――

 ズボッ

 地面から抜けた。

「え?」

 根っこが広がる。

 まるで足のように。

 そして。

 トコトコ。

 小さな木が歩き始めた。

 さらに。

 クルン。

 クルン。

 ダンスを踊り始めた。

 ユウは口を開けたまま固まった。

 アリュウも言葉を失う。

 オーガたちはパニックだった。

「グォォォォ!!」

「ボグラァ!!」

 その中で――

 シリュウだけが腹を抱えて笑っていた。

「ははははは!!」

 踊る木。

 驚く仲間。

 大騒ぎのオーガ。

 全員があっけにとられていた。



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