第28話:赤い魔石
巨大なオーガリーダーが倒れたあと――
森は一瞬、完全に静まり返った。
そして次の瞬間。
ドン。
周囲にいた四匹のオーガが、同時に膝をついた。
巨大な体が地面に跪く。
頭を垂れた。
「グラ……」
「ボグラーデ……」
どうやらアリュウを、新しい長として認めたらしい。
シリュウが小声で言う。
「アリュウ……オーガの王様になっちゃったよ」
ユウも困った顔をした。
「でも……連れて旅できないよね」
その通りだった。
オーガは巨大すぎる。
そして目立ちすぎる。
父を探す旅に、五匹のオーガを連れていくなど無理だ。
アリュウは考えた。
そして言った。
「シリュウ」
「うん?」
「回復してやってくれ」
シリュウは頷いた。
倒れているオーガリーダーへ近づく。
両手をかざした。
すると――
淡い緑色の光が広がる。
柔らかい光。
森の空気が静かに揺れる。
傷口がゆっくり閉じていく。
血の流れも止まった。
しばらくして――
オーガリーダーの体が動いた。
「……グゥ」
目が開く。
ゆっくりと体を起こした。
そして――
アリュウを見る。
次の瞬間。
ドン。
再び跪いた。
完全に敗北を認めている。
しかし。
そのまま――
ガクン。
オーガリーダーは前に崩れた。
気を失ったのだ。
どうやら出血が多すぎたらしい。
アリュウは四匹のオーガを見た。
「お前たち」
言葉は通じているのか分からない。
しかしオーガたちは顔を上げた。
アリュウは指差す。
倒れているリーダー。
「介抱しろ」
四匹はすぐに動いた。
巨大な手でリーダーを抱え、支える。
アリュウは続けて言った。
「これからは、リーダーの指示に従え」
オーガたちは大きく頷いた。
どうやら理解しているらしい。
これで問題はない。
アリュウは振り返った。
「あとはグリフォンだな」
森の奥に、落ちたグリフォンがある。
三人はそこへ向かった。
巨大なグリフォンの死体。
羽は折れ、体は動かない。
アリュウは腹を切り開いた。
内臓を探る。
ぬるい血と肉の感触。
ユウが顔をしかめる。
「う……」
しかしアリュウは慣れていた。
熊を解体した経験がある。
しばらく探って――
硬いものに触れた。
「……あった」
取り出す。
血に濡れた石。
水で洗う。
すると――
美しい光が現れた。
直径6センチほど。
色は――
赤。
炎のように輝く魔石だった。
ユウが目を丸くする。
「すごい……」
シリュウも息をのむ。
「こんな大きい魔石……初めて見た」
アリュウは赤い魔石を手の中で見つめた。
新しい力の予感がした。




