第24話:オーガの決闘
巨大なオーガが、アリュウの前に立った。
身長は三メートル近い。
アリュウの倍はある体格だった。
腕は丸太のように太く、胸は岩の壁のようだ。
まさに怪物だった。
その時――
上空から影が降りた。
アルフェリス。
ブモー。
スノウィル。
三匹のワイバーンが、アリュウの背後に舞い降りた。
翼が広がり、森の空気が揺れる。
その瞬間、オーガたちがわずかにひるんだ。
赤い目が揺れる。
ワイバーンは、魔獣の中でも上位の存在だからだ。
その様子を見て、シリュウとユウも草むらから出てきた。
「アリュウ!」
「無茶しないで!」
だが――
アリュウは手を上げて止めた。
「これはタイマンだ」
その言葉を理解したのか、オーガたちは動き始めた。
四匹のオーガが円を作る。
アリュウとオーガリーダーを囲んだ。
さらにワイバーンが介入しないよう、距離を取って囲いを広げる。
どうやら彼らも、この決闘を邪魔する気はないらしい。
そして――
ドン!
オーガの一匹が武器を地面に叩きつけた。
ドン!
また一匹。
ドン!
ドン!
やがて全員が武器を地面に打ち付け始めた。
リズムを刻むように。
ドン
ドン
ドンドン
低い音が森に響く。
さらにオーガたちは声を出し始めた。
「グラァ……ボグラ……グラーデ……」
歌のようなものだった。
言葉はわからない。
だがアリュウは感じた。
これは――
決闘の歌。
戦いを鼓舞する儀式。
オーガたちは本気で、この一騎討ちを認めている。
シリュウが小声で言った。
「本当にやるんだ……」
ユウも息を飲む。
アルフェリスたちも静かに見守っていた。
その中央で――
オーガリーダーが動いた。
巨大な武器を持ち上げる。
大きな戦斧だった。
刃は人間の盾ほどもある。
振れば木も岩も真っ二つだろう。
アリュウは刀を握る。
冷たい汗が背中を流れる。
(受けたら終わりだ)
あの斧を一撃でも受ければ――
刀は折れる。
骨も砕ける。
だから方法は一つ。
躱す。
アリュウは静かに構えた。
雷の魔石が微かに光る。
オーガリーダーが笑う。
そして――
地面を蹴った。
ドォン!!
巨体とは思えない速度で突進してきた。




