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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第二章:運命の夏
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第55話:長い夜

(言っちゃった言っちゃった...)


布団の中で先輩を起こさないよう静かに脚をバタバタさせる。聞こえてないよね?大丈夫だよね?

聞こえなかったことを祈る。寝息も聞こえるし、特に反応もなかったから絶対寝てる...はず。前にお泊まりしたときといい今回といい、お泊まりしたときしか大胆になれない。前はこっそりほっぺにキスして、今回は大好きだなんて。

「んぅ...」

ばっと布団から体を飛び起こして先輩の顔を見る。ただ寝言のような声を発しただけだった。

「よかった...」

言っておきながら聞こえていないでほしいなんてわがままだけど、まだ先輩に直接言える勇気はない。


寝れない。先輩が寝る前まであんなに眠たかったのに、完全に目が冴えてしまって全く眠れない。一旦水を飲みにリビングへ向かった。冷蔵庫から水の入ったペットボトルを取り出してコップに注ぐ。水を飲んでいると全身に冷たい水が広がる感覚がある。喉から胸の方を通って体の中心部、そして足の指先まで、さらに胸から両手の指の先まで冷たさが広がっていくみたい。水をまた入れて飲む。コップを洗って一旦ソファに座る。眠れないときは無理に寝ようとしない方がいい気がする。ソファにはたしか先輩が使っていたタオルケットが置かれている。


(先輩起きてこないよね...?大丈夫だよね?)

一応階段の方を見に行って確認したが大丈夫そうだ。ソファに戻ってタオルケットを手に取る。

(ちょっとだけ...)

一瞬だけタオルケットの匂いを嗅いだ。先輩の匂いがする。めちゃくちゃ気持ち悪いことをしているのは自分でもわかっている。タオルケットにくるまってソファに座る。なんだか先輩に包まれている気がして心地いい。眠たくなってきた。部屋に戻る気になれない。動いたらまた眠れなくなりそう。

(このまま寝ちゃうか...)

目を閉じるとすぐに眠ってしまった。座ったままだけど不思議と苦じゃない。タオルケットに包まれてゆっくり時間が過ぎていく。


カーテンを閉めきっていなかったっぽい。カーテンの隙間から差し込んできた朝日でうっすら目が覚める。なんだか体の右側が重たい。右を見ると寝ている先輩の頭が私の肩に乗っかっている。

目を擦ってもう一度右を見た。寝ている先輩の顔が私の肩に乗っかっている。

(なんで先輩が...?)

よく見るとタオルケットを二人でかけている。全く状況が理解できない。時計を見るとまだ朝の6時30分。先輩はただでさえ朝が苦手なのにわざわざ降りてきて私の横で眠っているのは意味がわからない。先輩はまだ寝ているから動けない。先輩もまだ寝てるし私ももうちょっと寝よう。再び目を閉じて先輩の体に少し体を預ける。またすぐ寝た。


数十分すると先輩が起きた声で目が覚めた。先輩と目が合う。

「あ、恵那ちゃん...おはよ〜。」

先輩がそう言いながら私にさらにもたれかかってくる。私は体幹もへったくれもないからバランスを崩してソファに横になった。

「ちょっとせんぱーーー」

先輩が私の胸の辺りに顔を置いている。

「もしかして寝ました?」

反応がない。どうやらまた寝てしまったようだ。先輩はほんとうに朝が苦手らしい。

「もう...ちょっとだけですよ?」

先輩の体を優しく抱いた。先輩に乗られる形でソファの上で抱き合っている。先輩はただ眠いだけだろうけど、私は心臓がもたない。ちょっとだけ頭を撫でた。前に先輩がやってくれたみたいに優しく。頭を撫でたまま幸せを噛み締めている。誰がなんと言おうと今世界で一番幸せなのは私だ。異論は認めない。

「次こそはちゃんと先輩が起きてるときに言いますね...」

そう言って少しだけ抱きしめる力を強めた。まだ先輩は起きる気配がしない。このまま時間が止まってほしいとまで思ってしまった。大好きな人を独占できるのがただ嬉しくて。

先輩が起きるまで夜は終わらない。

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