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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第二章:運命の夏
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第56話:言いたい衝動

朝日が完全に昇っているであろう時間。まだ先輩は私の腕の中で眠っている。私が無理やり体を動かすとかしない限り起きる気配がない。さすがにちょっと動きたい。私は完全に目が覚めているから水も飲みたいし、体を動かしたい。あとようやく感覚が戻ってきて気がついたけど先輩の体と私の体がくっついているから結構暑い。夏だから当然といえば当然だけど。

「んん...」

先輩がもぞりと動いた。そろそろ起きるかな?

「んあ...恵那ちゃん?おはよ...」

「おはようございます。先輩。」

眠たそうに目をこする先輩。ようやく脳に電源が入ってきて今の状況を把握したらしい。

「あ...ごめん。重かったよね...?」

「大丈夫ですよ。」

そう言っているのに先輩は私から離れようとしない。しばらく二人とも固まっていたが先輩が体を起こして立ち上がる。先輩がいなくなった瞬間、言い表しようのない寂しさが襲ってくる。おそらく一晩、ずっと触れていた先輩が今は離れている。その事実がどうしようもない寂しさを呼び起こす。

「先輩、聞こうと思ってたんですけど、なんでここで寝てたんですか?」

「こっちのせりふなんだけど。夜にちょっと目が覚めて布団見たら恵那ちゃんいないんだもん。それで部屋から出たら階段の下から光が漏れてきてて、それで一階にいるってわかったから。」

「眠れなくて...それで水飲んでたんです。」

「ソファ見たら恵那ちゃんが私のタオルケットにくるまって寝てるからびっくりしちゃった。」

見られてたんだ。なにかの拍子でずり落ちたタオルケットをかけてくれたわけじゃなくて、私がくるまっていたところに後から先輩も入ってきたんだ。

「なんか可愛かったよ?寝顔とか、タオルケットに包まれて寝てる恵那ちゃん。」

心臓が跳ねる。不意打ちの可愛いは何回言われても慣れない。先輩は大した意味を含ませてはいないだろうけど、私はやっぱりそういう風に受け取ってしまう。だって好きな人に言われる「可愛い」ほどドキドキするものは私は知らない。

別に変な意味はないってわかっていても、もしかしたら...なんて思ってしまう自分が嫌だ。そんな先輩の言葉一つ一つにいちいち反応していたらキリがない。


お昼前になると少し天気が曇ってきた。今日はお祭りの最終日。特に行く予定もないし天気がどうなろうが構わない。ただ家の庭から花火が見えない可能性があるのは少し寂しい。

「恵那ちゃん、お昼ご飯食べてく?」

「いえ、さすがにそこまでしてもらうのはわるいので帰ります。」

私がそう言うと一瞬空気が変わって、その後先輩が照れ気味に、

「私が作るよ...?」

「食べてから帰ります。ぜひ食べさせてください。」

かなり食い気味に返事した。一晩くっついて寝たあと手料理まで食べられるなんて。ていうかなんで先輩あんな照れ気味だったんだ。


少し考えると結奈ちゃんの顔が浮かぶ。そういえば結奈ちゃんもなんでこんなこと気にするんだってこと気にしてた。それが好意の表れだとしたら...

(いやいやいや...さすがに自惚れ過ぎ...先輩が私のこと好きなんてないから...)

そう自分に言い聞かせてなんとか自分を保つ。無いとわかっていても結奈ちゃんのことがあったからもしかしたらなんて思ってしまう。

先輩がエプロンをつけてキッチンに立っている後ろ姿が見えた。

「あ、好き...」

届けるつもりの無い呟きが包丁の音にかき消されて消えた。将来のことはほとんど考えたことがないけど、あの人がいない将来の想像ができない。私以外の隣で笑う先輩の想像なんてしたくもない。

キッチンに立つ先輩の後ろ姿をこっそり写真に撮る。ある意味私の将来の夢かもしれない。


言いたい。先輩のことが大好きって。ちょっと前までは私の中だけに留めておくつもりだったけどもう我慢できない。全部伝えたい。恋も独占欲もなにもかも。

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