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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第二章:運命の夏
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第54話:散らばる火花

お風呂から先輩が出てきた。長くてすらっとした脚が見える。さすがに脚出し過ぎじゃないか。一応目の前にいる人間は先輩のこと好きなんだけど。そんなこと言えたもんじゃないけど。

「先輩、そんなに脚出してたら蚊に噛まれますよ。」

「ちゃんと虫除けするから大丈夫だよ。」

噛まれても知りませんからね、とだけ言って庭に出た。虫除けスプレーを腕や首、脚などにして花火の準備をする。バケツに水を入れて準備万端。花火が二袋。二人でするには多い気もしたがそこには触れないでおいた。先輩が楽しそうだったから。

「先輩、どれからやります?」

「線香花火以外なら好きなのやりなよ。私もよくわかんないし。」

私はとりあえず一番近くにあった花火に手を伸ばした。火の色がどんどん変わる花火。火をつけて花火を見ている。先輩もたまたま同じ花火を選んだらしい。二人で並んで変化する火を見ている。

「綺麗ですね。」

「うん。」


その後もいっぱい花火をした。思っていたより火が強いのもあったし、なんだか不思議な燃え方をする花火もあった。残りは線香花火だけ。

「もう線香花火だけになっちゃいましたね。」

「勝負しようよ。負けた方は...まあなんかしよ。」

「良いですよ。」

こないだおばあちゃんの家でやったばっかりだし、なんとなくコツは体が覚えている気がする。多分勝てる。根拠はなにもないけど。

二人でほぼ同時に火をつける。優とやったときもそうだけど、線香花火をするときはなんだか黙ってしまう。

どちらもまだ落ちる気配はない。火花がいろんな方向に散っている。

「先輩、来年もまた一緒にこうやって花火したいです。」

先輩がちらっとこっちを見たのが視界の端に見えた。

「私も。」

それだけ言って先輩が顔を逸らす。自分で言っておきながら照れてるらしい。そういうところも好き。

「先輩に結奈ちゃんのこと聞いてもらって、なんか自分の中でまとまった気がします。結奈ちゃんは私の大切な友達で、これからもずっとそうでありたい。その気持ちはしっかり伝えます。」

先輩は小さくそっか、と呟いてまた線香花火に集中する。ほぼ同時に火が落ちた。

「同時だね。もう一回やろ。」

次の線香花火を袋から取り出して火をつける。

「言えたらでいいんだけどさ、前恵那ちゃんって好きな人がいないときに告白されたらOKするかも、みたいなこと言ってたじゃん?」

「はい。」

結奈ちゃんに聞かれたちょっとあとに先輩にも同じことを聞かれたから全く同じ反応をしたことを思い出した。たしかにそう言ったはず。先輩の前なのに。

「結奈ちゃんからの告白はなんで振るの?」

心臓がきゅっとなる感覚がした。

「結奈ちゃんとはこれからもずっと仲良くしたいんです。もしお付き合いしたとして、別れて疎遠になるのは嫌なので。あと、私好きな人いるんで。」

先輩がえっ、という反応をした。私はもう半分やけになっている。

「そんなに意外ですか?」

「なんか、恵那ちゃんが他の人のこと恋愛的な目で見ることあるんだなって思って。」

平静を装っているが普通に心臓は破裂しそうなくらいドキドキしている。動揺が手から溢れるように線香花火の火が落ちた。

「「あ」」

同時に声が出た。落ちたのは私の火だけなのに先輩まで驚いている。

「なんで先輩までびっくりしてるんですか。」

「なんか急だったから...」

ゆっくり立ち上がって花火の持ち手部分をバケツに入れる。

「私の負けです。何すれば良いですか?」

「あー...そういえばそんなこと言ったね...」

「別に今すぐじゃなくてもいいですよ。明日私が帰るまでに考えといてください。」

バケツの片付けをして家の中に戻った。眠たい。お布団を敷いてもらってそこに横になった。今日は先輩も眠いらしい。せっかくのお泊りだけど早めに寝ることにした。私はまだ眠れていないのに、先輩の寝息が聞こえてきた。ゆっくり体を起こして先輩の顔を見ると寝ている。当たり前だけど。


「先輩、大好きです。」


ぼそっと呟いてばっと布団に潜った。

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