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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第二章:運命の夏
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第52話:抱えたまま

お母さんにいろいろ言われた。要約すると深く背負いすぎる必要はないということ、落ち着いてからで大丈夫だからしっかり返事をすること、今までと変わらず接することと言われた。私は目が赤いまま部屋に戻った。

「動画送るってことは明日来ないでってことかな…」

結奈ちゃんが去り際に髪のやり方の動画を送ると言っていた。おそらく明日は会えない。行ったとしても何かしらの理由をつけて門前払いを食らうだけ。

「返事はしなきゃなのに…」

そのままベットに倒れ込んだ。眠いのに眠れない。頭の中で好きと言われた瞬間が何度も何度も繰り返される。その後の去り際の寂しそうな声も同時に。


気がついたら外は明るくなっていた。結局あのまま寝たらしい。頭はすっきりしないし、まだ昨日からの気持ちの整理ができていない。お母さんには大丈夫と言われたけれど、もう夏休み前みたいな関係に戻れる気がしない。おそらくだけどお互い無意識に避けてしまう気がする。少なくともずっと一緒にいることはなくなってしまうだろう。

スマホが震えた。結奈ちゃんから動画が送られてきた。そのあとに続けて、

『これ見て自分でやって。頑張って。』

とメッセージが送られてきた。頑張っては何に対してなのか。髪になのか私になのか。

お昼ごはんを食べる手が進まない。いつにも増して食欲がでない。先輩には言えないからどうにか誤魔化せるようにはしとかないと。


なんとかお昼ごはんを食べ切って部屋に戻る。まだ手付かずの数学の宿題をした。全く捗らないけど、少しでも進めておいたほうが数日後の自分を助けるはず。15時くらいになって先輩から連絡が来た。

『今日の17時くらいにコンビニ集合でいいんだよね?』

可愛い猫のスタンプが添えられていた。

『はい。楽しみです。』

それだけ返信して宿題に戻る。


なんとか宿題をキリのいいところまで済ませて支度を始めた。浴衣に袖を通す。昨日とは違う白の浴衣。部屋の姿見の前で帯を締めて細かいところを直す。スマホを開いて結奈ちゃんの動画を見始めた。多分妹さんの髪でやっている。しばらく見ていたが途中で動画を閉じてしまった。本来なら今頃結奈ちゃんにやってもらっていたはずの髪の毛。自分で簡単なお団子結びをして髪飾りをつけた。

「行ってきます。」

静かに家を出た。コンビニまで歩いて向かう。ちらほらと浴衣姿の人を見かける。途中で先輩と会った。

「あれ、恵那ちゃん。結奈ちゃんの家行ってるんじゃなかったの?」

「結局自分ですることになったので。」

表情とか声に出なかっただろうか。先輩にはまだ言う必要はないはず。結奈ちゃんのためにも。

「恵那ちゃん浴衣可愛いね。」

「ありがとうございます。」

素直に喜べない。どうしても結奈ちゃんの姿がチラつく。先輩に集中していたいのに、昨日の今日で切り替えるなんて私には無理だったか。

「恵那ちゃん具合悪い?大丈夫?」

「い、いえ…大丈夫です。ちょっと疲れてて。」

「無理しないでよ?しんどくなったらすぐ言ってね。」

「はい。」

先輩と並んで神社の方に歩き出す。足取りは決して軽いとは言えなかった。

参道につくと昨日と同じように屋台がたくさん並んでいた。

「何から食べる?」

「昨日焼きそばとたこ焼き食べたので、なにか違うもの食べてもいいかもですね。先輩は昨日何食べたんですか?」

「私も焼きそばとたこ焼き。あとかき氷だよ。」

「まあゆっくり歩きながら探そっか。」

そう言ってまた歩き出す。人がかなり多い。気を抜いたらはぐれそうだ。

「恵那ちゃん、はぐれないように手繋いどこ?」

「…っ。はい。」

なんとか絞り出すように返事をした。先輩の手を握る力は普段より入らない。なんだか結奈ちゃんを裏切るような気がして。


そこからしばらく歩いて先輩が屋台の方を指差す。

「ベビーカステラ食べようよ。あんまり見ないし。」

「そうですね。食べましょう。」

ベビーカステラを買って神社の階段の方まで行った。

「恵那ちゃん、これ飲んで。まだ開けてないやつだから。」

先輩がペットボトルの水を渡してきた。

「しんどそう。やっぱり無理してない?」

「体調が悪いわけじゃないんです。昨日いろいろあって…」

先輩が私の隣に座る。階段の端の方。

「私でよければ教えてくれる?」

だんだんと階段を登る人が増えてきた。花火まであと少し。

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