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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第二章:運命の夏
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第51話:結ばれない想い

「もうちょっとだけ一緒にいたい。」

結奈ちゃんがそう行って私の浴衣の袖を掴んだ。私の目をまっすぐ見ている。

「あ、ごめん。いやだったよね…」

「そんなことないよ。」

私がそう言うと結奈ちゃんが私の手をぎゅっと握ってきた。


「好き。恵那のこと好き。」


「え…」

一瞬、世界から音が無くなった気がした。結奈ちゃんが私のこと好きだなんて。でも目は冗談の色を一切していない。女の子からの好意がいやなわけじゃない。ただずっと結奈ちゃんはただの友達だと思っていたから衝撃が大きい。


返事ができない。ほんとはすぐ返事をするべきだと思う。でも告白なんてされたことないからわからない。私が反応に困る様子を察したのか、結奈ちゃんは優しく言ってきた。

「わかってるから。恵那には恵那の好きな人がいるってこと。返事はいいから、今だけでも私の恵那でいてほしい。」

カラオケで女の子が好きと言われたあの夏至の日から、無意識にずっと結奈ちゃんのことを傷つけていたのかもしれない。いや、それより前からの可能性だってある。

「えっと…結奈ちゃん…?その…」

「待って。言わないで。まだ泣きたくない。」

「結奈ちゃん、違うの。聞いて。」

結奈ちゃんは私の手を握ったまま下を向いている。

「私は…」

言葉が続かない。どう声をかければいいのかわからない。先輩のことを隠さず言うべきか、でも言ったら結奈ちゃんとの仲が終わってしまう気がする。それだけは避けたい。

「恵那、私は恵那のこと好きだから。恵那が私のこと好きって言うまで諦めるつもりない。」

結奈ちゃんが私をびしっと指差したまま言った。

「結奈ちゃん…」


結奈ちゃんが私から離れる。さっきまで光ってあった提灯の光が消えたせいで表情が読めない。

「明日の午前中には髪のやり方の動画送るから。」

結奈ちゃんはくるりと後ろを向いた。少し寂しそうな声で、

「ごめんね。」

それだけ言い残して神社の階段を降りて行った。私はしばらくその場に立ち尽くしていた。


10分くらいしてようやく意識がはっきりしてきた。階段の下を見ると結奈ちゃんはもういない。急いで参道の方まで行ったが人はほとんどおらず祭りなんてなかったみたいに静かだった。

歩いて家に帰る。二人で来た道を一人で。結奈ちゃんの顔が頭から離れない。あのときなんて言えばよかったのか。悔やんでもしょうがないことくらいわかる。でも私にとって数少ない大切な友達が一人減ってしまった気がする、そう考えると悔やまずにはいられなかった。

「あ、もう着いた…」

いつのまにか家の前まで歩いていた。玄関のドアを開けて家に入る。

「ただいま。」

リビングに入るとお風呂上がりのお母さんが椅子に座って本を読んでいる。

「おかえり。楽しかった?」

「……うん。」

それだけ言って自分の部屋に逃げるように入った。カバンをベットに置いて帯をほどく。スマホを見ても結奈ちゃんからはなんのメッセージも来ていなかった。先輩から一言だけ。

『明日楽しみだね。』

返信する気力も湧かずさっさと浴衣を脱いでお風呂場に向かった。髪をほどいて湯船に浸る。じわっと涙が浮かんできた。泣きたいのは結奈ちゃんなはずなのに。結奈ちゃんともう仲良くできないのが怖い。

「なんで…私より結奈ちゃんの方がしんどいはずなのに…」

拭っても拭っても涙は溢れてくる。友達としての結奈ちゃんを失いたくない、その一心で今の私は満ちている。

なんとか体を洗って気持ちを少しでも落ち着かせてお風呂から出る。


リビングではお母さんが変わらず本を読んでいた。

「恵那、明日なんだけど……。どうしたの?そんな顔して。」

また目に涙が浮かぶ。

「どうしよう…私どうしたらよかったの……?」

「一旦座って?何があったか聞かせてくれる?」

全部お母さんにぶちまけた。結奈ちゃんに告白されたこと、私がはっきりしなかったせいで結奈ちゃんをまた傷つけたこと、失うのが怖いこと。お母さんは私が話す間ずっと黙って聴いていた。

「恵那、いい?今からお母さんが言うことしっかり聞いて。」

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