第50話:花火の咲く夜空
だんだん暗くなってきた。結奈ちゃんの手には焼きそばとたこ焼きのパックが、私の手にはチョコバナナが握られている。片手は繋いだまま。
「あ、あそこの椅子空いてる。」
「ほんとだ!恵那、あそこで食べよ。」
椅子に座って買った食べものを食べる。結奈ちゃんの焼きそばのトレーにたこ焼きを半分いれて、私のたこ焼きのトレーに焼きそばを半分入れた。
「先にチョコバナナ食べる?」
「デザートから?」
「たまにはいいじゃん。お祭りなんだし。」
結奈ちゃんは私の持っているチョコバナナの先端を食べた。
「恵那も食べなよ?」
「うん。」
私も一口食べる。
「こんな甘かったっけ。」
「こんなもんじゃなかった?」
また結奈ちゃんが一口食べる。そこでなにかに気がついたような顔で。
「今さらだけど気にならない?私が食べたものそのまま食べるの。」
「別に友達同士だし気にしないよ。」
結奈ちゃんはたまにそれ気になるんだ、ってことを気にする。いわゆる間接キスとか、外で手を繋ぐとか。私は友達同士だと全く気にならない。昔は気にしたかもしれないけれど、結奈ちゃんと仲良くなってから気にならなくなった。
「恵那、これ食べ終わったらかき氷探そ。」
「結奈ちゃんは何味が好き?私はメロン。」
「私はいちごかな〜。なんかどのシロップも同じ味みたいな話はあるけどね。」
「あれってほんとに同じ味なのかな。」
たこ焼きと焼きそばを食べてかき氷を探しにいく。けっこう色んな屋台がかき氷を売っているから歩き出してすぐ見つかった。
「もうちょっと歩いてからにしない?」
「そうする。」
少し歩いてからかき氷を売っている屋台に並んだ。前に先輩と真夏さんも並んでいる。
「あれ?結奈と恵那ちゃんじゃん。ほら紗凪、恵那ちゃんいるよ?」
「先輩、真夏さん、こんばんは。お二人ですか?」
「うん。恵那ちゃんも結奈と?」
「はい。」
結奈ちゃんは真夏さんと少し話し始めた。私は先輩と少し話す。
「明日、ここからちょっと降りたとこのコンビニ集合でいいですか?」
「いいけど、恵那ちゃんか私の家じゃなくていいの?」
「結奈ちゃんの家でこの髪型にしてもらうんで。」
ちらっと結奈ちゃんの方を見ると真夏さんが何かを言って結奈ちゃんの顔が赤くなっていた。
「あ、先輩順番ですよ。」
「ほんとだ。ほら真夏〜。何にするの?」
二人がかき氷を受け取ってどこかへ行ったあと私たちも注文した。
さっきの椅子の方向へ進みながらかき氷を食べていると結奈ちゃんが尋ねてきた。
「さっき紗凪さんとなに話してたの?」
「そんな大した話じゃないよ。」
私がそう言うと少し不満そうな顔をした。
「恵那のかき氷一口ちょうだい。」
「いいよ。」
私は持っていたカップをそのまま結奈ちゃんに渡そうとした。
「食べさせてくれないの?」
「やっぱりそっち?」
結奈ちゃんが頷いたからスプーンで掬って結奈ちゃんの口元に運ぶ。
「こっちも美味しい。私のもあげる。」
結奈ちゃんのスプーンからかき氷を食べた。
「美味しい。」
そのあとも屋台をいろいろ見て回っていたらもうすぐ花火の時間だ。神社の階段や神社の建物の前に人が増えてきた。私たちも神社の手を洗うところの近くに立って花火が上がるのを待つ。下を見るとさっき歩いていた参道が屋台と提灯の光でオレンジっぽく輝いている。
「もうすぐだね。」
「うん。楽しみ。」
音楽が鳴り始めた。最初の花火が上がる。その後も次々に小さいものから大きいものまで様々な色や形、大きさの花火が打ち上がる。視界の端にたまにこっちを見る結奈ちゃんが映る。私より花火を見るべきだと思うけど。
花火もフィナーレになってきた。ペースも上がって数もどんどん増えていっている。
隣にいた男性が女性に告白しているのが聞こえた。理想的なシュチュエーションだろう。私も先輩にそうしたい。
花火が終わって人がぞろぞろと階段を降り始めた。私も降りようとしたら結奈ちゃんに引き止められる。
「もうちょっとだけ一緒にいたい。」




