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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第二章:運命の夏
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第44話:真夏の勉強会

夏休みに入ってまだ一日目。もうすでに生活リズムがおかしい。いつもの休日なら7時には起きるのに今日起きたら10時を過ぎていた。お昼から先輩と勉強するからそろそろ起きないといけない。暑いせいで何をするのも億劫だ。

「にゃーん。」

猫が部屋に入ってきた。そういえば名前知らない。昨日お母さんに聞こうと思ってすっかり忘れていた。

「私すぐ出ていくよ?」

私がそんなこと言っても気にせずに部屋をうろうろしている。猫なんてみんなこんなもんか。部屋のドアを少し開けたままリビングへ降りていく。誰もいない。あの子、寂しくて私の部屋に来たのか。このままだとあの子一人になるな。優は多分夕方まで帰ってこないし、私ももうすぐ出かける。お母さんは仕事だから夕方になるまで帰ってこない。遅めの朝ごはんを済ませて着替える。のんびりしていたらいつのまにか12時。

「じゃあ行ってくるね。」


猫にそう言って家を出た。先輩の家までは自転車でそんなに時間はかからない。

「こんにちは。」

「いらっしゃ〜い。上がって。」

先輩の家に入る。いつも玄関の靴箱の上には綺麗なお花が飾られている。

「恵那ちゃん、昨日のニュース見た?8月の12日か13日にペルセウス座流星群が見られるんだって。こないだ言ってたお泊まりその日にしない?」

「8月の12日か13日ですか?すみません私その日おばあちゃんの家に泊まりに行くんです。」

「そっか〜。じゃあお泊まりはまた別の日だね。」

「でも!星見ながら電話はできます。」

先輩は何か言いかけたがやめて、また何か言おうとしてやめて、というのを3回くらい繰り返した。その間、先輩はずっと笑顔だった。

「じゃあ寂しくないね。」

「え?」

「恵那ちゃんと会うまでは部活のときも寂しいなって思って星見てたけど、今は恵那ちゃんがいるから寂しくない。」

私は少し下を向いてその言葉を反芻したあと顔を上げて先輩の目を真っ直ぐ見る。


「本気になっちゃいますよ?そんなこと言われると。」


言い終わって一気に恥ずかしくなった。ほんとに何言ってるんだ。ばかじゃないか。先輩の方をちらっと見ると先輩は先輩で耳が少し赤い。期待できるのか、これ。

「冗談のつもりじゃないんだけど。恵那ちゃんは大事な後輩だし。」

やっぱりそうか。わかってはいたけど。先輩から見たら私はただの後輩。特別だなんて私の一方通行なのか。

でも、と先輩が付け足す。

「こんなこと言えるのは恵那ちゃんくらいだから。」

「……そうですか。」

なんかそっけない感じで返事してしまった。全然そんなつもりなかったのに。嫌われてない?大丈夫?ただ嬉しくて、でも照れくさいだけなんです。

「早く勉強しましょう。そのために来たんですから。」

私は持ってきた夏休みの宿題を取り出した。数学と英語が特に多いから優先順位は高いはずだけど、国語と社会ばっかりやっているせいで終わっていない。

「先輩、ここ教えてもらっていいですか?」

「ここはね〜…」

何回聞いても先輩の解説はわかりやすい。脳が先輩の言葉を一言一句逃さず聞こうとするからびっくりするくらい情報が入ってくる。普段の授業は意識して聞いてもここまで頭に入ってこない。

「先輩って先生になるんですか?」

「ん〜。選択肢には入れてるけど。なんで急に?」

「先輩って教えるのすごい上手なんで。」

「そんなに?」

先輩はふ〜んと言いながらペンをくるくるしている。

ときどき休憩中にじゃれあいながら勉強を続けていた。先輩に私は脇腹が弱いことがバレてしまってからは、私の手が止まっていたらペンでつつかれるようになって変な邪気を無くして勉強することができた。

「あんまり遅くまでいたら迷惑だと思うのでそろそろ帰りますね。今日はありがとうございました。」

「いえいえ〜。またお泊まりできる日教えてね。楽しみにしてるから。」

玄関で話しているとぽんちゃんが走ってきた。

「ぽんちゃん、お外は出ちゃだめだよ。」

先輩がぽんちゃんを抱き抱えている。

「じゃあね〜。」

ぽんちゃんの腕を振る先輩に見送られながら自転車に乗って家に帰った。

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